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あやちゃんの探し物

作者: NIKO

あやちゃんには、好きなものがたくさんあります。

黄色のポシェット、緑の帽子、青色の靴、赤い髪どめ、橙色のワンピース、ピンクの靴下、まだまだたくさんです。

ある日、あやちゃんが目を覚ますと、あやちゃんの住んでいる街からあるものが失くなっていました。

台所では、お母さんが困っていました。

「困ったわ、黄色と緑色の違いが分からないわ。黄色のレモンを使いたいのに分からないわ。」

あやちゃんは失くなったものを探しにお外にお出掛けすることにしました。

道路ではバスの運転手さんに会いました。バスの運転手さんも困っていました。

「困ったな、信号が青色か赤色か分からないぞ。これじゃ、進んでいいのか、止まらないといけないのか分からないぞ。」

あやちゃんはどんどん道を歩いていきました。そして、お花屋のお姉さんに会いました。お花屋のお姉さんは困っていました。

「困ったわね、橙色とピンク色の花の違いが分からないわ。ピンク色の花束を作りたいのに困ったわね。」

あやちゃんはもっと道を歩いていきました。今度はワンちゃんをつれたおじいさんに会いました。

おじいさんは困っていないようです。あやちゃんはおじいさんに聞いてみました。

「おじいさんは困っていないの?」

すると、おじいさんは言いました。

「私は困っていないよ。」

あやちゃんは不思議だったので、聞いてみました。

「みんな困っているのに、どうして?」

すると、おじいさんは言いました。

「私はだいぶ目が悪いから、良く見えないんだよ。だから、色が分からなくても、あまり気にしないね。それに、うちのワンちゃんもきっと気にしていないよ。」

あやちゃんはとっても不思議に思って、また聞いてみました。

「ワンちゃんも困っていないの?」

すると、おじいさんは言いました。

「ワンちゃんは人と同じように色は見ていないんだ。とっても鼻が良いから、目で違いが分からなくても鼻で違いが分かるんだよ。そう、目で見えることだけが、大事なことじゃないんだよ。」

あやちゃんは良くわからなかったけれど、お話ししてくれたおじいさんにお礼を言って、お別れしました。

あやちゃんがもっともっと歩いていくと、公園に着きました。

公園には女の子がいました。女の子はニコニコ笑っていました。

あやちゃんは女の子にも聞いてみました。

「困っている人もいたし、困っていない人もワンちゃんもいたけど、あなたはどっち?」

女の子は笑って言いました。

「私は困っていないわ。とっても嬉しいの。」

あやちゃんは不思議に思って聞いてみました。

「どうして嬉しいの?」

すると、女の子は言いました。

「いつも髪の毛の色がみんなと違うって、お友達にいれてもらえないの。でも、色が分からなければ、仲間外れにされないわ。」

あやちゃんは考えました。お母さんもバスの運転手さんもお花屋のお姉さんも色がなくなって困っていました。でも、女の子には色がなくなった方が嬉しいのです。おうちからずっと歩いて、失くなった色を探しに来ましたが、どうしたら良いでしょうか。色を見つけたら、女の子を悲しませてしまうかもしれません。

そういえば、おじいさんは言ってました。あやちゃんは女の子に言いました。

「目に見えることだけが大事なことじゃないって、おじいさんがいってたよ。だから、あやはあなたの髪の毛の色がどんな色だって、お友達になるよ。」

女の子はおめめをくりくりさせてあやちゃんに聞きました。

「一緒に遊んでくれる?」

だから、あやちゃんはニッコリ笑って言いました。

「うん、一緒に遊ぼう。」


それからどうなったかって?

二人がおうちに変える頃には街には色が戻っていました。

お母さんもバスの運転手さんもお花屋のお姉さんもみんな喜んでいました。おじいさんとワンちゃんはいつも通りお散歩していました。

あやちゃんと女の子は、二人とも探していたものを見つけました。そして、今日も二人で遊んでいます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 食べ物の熟し具合を色で判別できないのはちょっと困りますね。 でも、髪色なんてささいなもので差別が起こるのなら、色なんて無くなってしまってもいいかもと思いました。 良くも悪くも、日本はみなと…
[一言] せっかくの「色」を区別ではなく差別に使ってしまうのは、あまりに寂しいことですよね。そんな人々の姿に嘆いて、色たちが逃げ出してしまったのかしら。 色のない世界では、あやちゃんのような発見をし…
[一言] 最後皆が幸せになる結末で良かったです。 大事なもの見つかりましたね。
2021/01/13 15:17 退会済み
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