表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢と夢 ~自我に問え~  作者: 神果みかん
短編シリーズ① 7話【向日葵】
8/18

「夢⑦ 前半」向日葵

「夢⑦ 前半」向日葵

この世は弱肉強食で形成されている。

強き者は弱き者を支配して、精神も身体も貪っては食い尽くされる。

動物を殺して食料にする人間は確かに、世界の弱肉強食の頂点に君臨していると言っても過言では無い。

だが、人間は知性を持ってしまった。

本能に従順な動物とは違い、人間は考える力を与えられた。

そして、高い知性が生んだのは多数の感情だ。

感情は人間の脳を簡単に支配して、固執する考えを植え付ける。


正義か悪かの判断が付かなくなっていくのだ。


そうして、人間は多数の感情に支配され生きている。

感情はやがて、人間を傷つける武器にもなる。

こうして人間は高い知性と多数の感情によって、人間の中で弱肉強食を無意識に作っている。


その武力行使は立派な犯罪かもしれない。

人の痛みが分からなければ、人が人を傷つける世界は終わらない。


だが、この世界には知るチャンスがある。


蠑ア閧牙シキ鬟溷シア閧牙シキ鬟溷シア閧牙シキ鬟溷シア閧牙シキ鬟


  夢と夢 第7話 前編


      向日葵


蠑ア閧牙シキ鬟溷シア閧牙シキ鬟溷シア閧牙シキ鬟溷シア閧牙シキ鬟


下校のチャイムが鳴り響く学校

彼女は俯きながら、急ぎ足で校門を通り過ぎる。

だが、いつも通りの帰路ではなく、家と反対方向の道を進む。


その原因は数日前の事。


「ただい‥‥ま‥‥!?」

いつも通り学校から家に帰った彼女は玄関前で一度立ち止まって、何の前触れもない光景に絶句しながら立ち尽くす。

彼女の目の前には無造作に倒れた掃除機


それだけならどれ程良かったのだろうか。

うつ伏せで倒れ込む…母親の姿も同時に見えてしまった。


「お…お母さん…!?お母さん!!!」

必死に呼びかけをしても、まるで返事が無い。

瞠目するような焦りから、手の震えは加速して止まらなくなる。


「そ…そうだ!救急車を…!!」

昔から置かれている固定電話の受話器を取って、救急への連絡を急ぐ。

だが、内心では既にパニック状態。

何が起きたのか、住所は何処なのか…何も伝えられずに

「お母さんが…お母さんが…」

と、同じ言葉をオウム返しのように繰り返して、何もできない自分に涙を流した。

(言わなきゃ…!言わなきゃいけないのに!!)


だが、救急隊からの言葉が彼女の震えを止めた。

「今は君がお母さんを助けてあげるんだよ、落ち着いて。住所を教えてくれれば、次は叔父ちゃんたちが絶対にお母さんを助けてあげるから!お願い!」

受話器を持つ手を強める彼女。

涙を拭って、住所と安否を嗚咽交じりに伝えた。


すぐさま救急車と救急隊が駆けつけてきて、担架に乗せられた母親は家の近くにある病院に運ばれていった。

その夜は…一人、夜と言う長い時間を過ごした。


家と反対方面の道を歩く彼女は…母親の入院する病院に向かっていた。


(お母さん…!待ってて…!)

意識が回復している事を切に願いながら、道を進む。

胸にぽっかりと穴が空いたように寂しい感情を噛み殺して、街中を掻き分けながら…。


すると、赤信号となった横断歩道によって歩みを一度止める。

無我夢中だった彼女は、初めて街中を見渡す。

すると…華々しく彩られた花屋を発見して…


(…お母さんに買って行ったら、喜ぶかな…?)

綺麗に着飾られたドアを潜り、店内へと足を踏み入れる。

『チリリン』と気持ちの良い鈴の音が鳴り響き、店内に入った事を知らされる。


鼻腔を良い匂いが擽り、色鮮やかな花が彼女を迎えた。

彼女にとってどの花も、それぞれの感情を持っているかのように見えた。


赤き情熱を宿した花

青き悲観を感じる花

ピンクは美しく高嶺であることを証明している。


それぞれの花を見ながら店内を散策する彼女は、一つの花に目を奪われて動きを止める。

その花を世間では【向日葵】と呼ぶ。

黄色い花びらを咲かせ、こちらを見つめているかのように感じてしまう。


(貴方は…私を見てくれるの…?)


「気に入りましたか?お嬢さん?」


「ひっ…!?」

突如、店員さんと思わしき男性が声を掛けてきた。

その言葉に驚き、足を少し後ろに引く。


「突然すみません。熱心に向日葵を見られていたので、声を掛けようと思いまして…」

男声は一度深く頭を下げ、笑顔を浮かべる。


「あ…いえ…すみません。これ…買います」

怯える彼女はパニックに陥りながらも、購入する意思を告げる。



支払いを終え、店内を後にしようとすると…

「また来てくださいね」

と、後ろから声を掛けられる。


彼女はその声の主に対して、無言のまま踵を返す。


再度『チリリン』という音を響かせて、彼女は店を後にする。

1本の向日葵を大切に抱えて、赤く染められた信号機を見ながら横断歩道前で静止する。

すると…


「おい、お前」

と言う声と共に、左肩を2度叩かれる。

聞き覚えのある怖声色を辿って後ろを見てみると…


(誰…だっけ?)

学校のクラスメイトと思わしき男子が、笑みを浮かべて立っていた。


「こっち来いよ、面白い物を見せてやるよ。」

そう言って彼女の腕を強く掴んで、全速力で脇道に逸れていった。


(はぁ…はぁ…痛い…)

腕を引っ張る男子と同じ速度で走らなければならない為、猛烈な息切れと動悸が彼女を襲う。

拒絶する言葉はいくらでも思いついている筈なのに、声が出せなかった。

彼女にとっては…この現状がちょっぴり嬉しかったから…。


そして、狭く暗い路地裏に連れ込まれる。


(どこ…ここ…怖い…)

彼女の心を恐怖が支配した。

今まで感じた事のない恐怖で、脳内はパニックへと陥る。


すると路地裏の奥にある、少し大きな空間の行き止まりで立ち止まり…


「着いたよっ!!!」


「きゃぁ…!?」

彼女は掴まれた腕を男子に投げられ、身体を倒されて膝を地面に強く打ち付ける。

足を擦り剥いたような感覚があり、その痛さによって目頭が熱くなっていく。

ふと手元を見ると…向日葵が手から離れていて、前に落ちていた。

その方向を見ると…


「気持ち悪いから、そんな奴近づけんなよ~」

「それな?あー臭い臭い」

座って笑い合う、クラスメイトらしき二人の男子が鼻をつまんで、こちらを睨んでいた。


「二人とも~、こいつが面白い物を見たいんだってよ~」

後ろの男子が言うと、二人の男子がこちらに詰め寄ってくる。

すると、一本の向日葵を見て微笑みながら見下ろす。


(なに…なにをするの…?)

身体が怯んで動かせず、怯えたまま座り込む彼女。

買った向日葵を取り戻そうとして、手を伸ばすと


「おらよ!」


『ぐしゃ』という音と共に、向日葵は踏み潰された。


「‥‥っ!ど…どうして…!」

踏んだ男子の顔を見上げると、愉悦に浸っているかのような顔があった。

(ひっ…)

その顔に再び怯み、涙が一粒零れていった。


すると、一人の男子は顔を近づけて言い放つ。

「お前、ウザいんだよね。せっかく俺らが悪いデマを拡散してやったのに、何でまだ学校に来てんだ?もしかしてお前…自分が全校生徒から無視されてるの気づいてないのか‥‥!?」


その後ろに居た男子も便乗して

「無言で適応するんだもんな?マジでつまらんかったわ~」


彼女の手を引っ張った男子も

「だからさ目の前から消えて欲しいんだよ。俺たちの玩具にすらなれないなら、死んだ方がマシだぜ?」


3人は一人の少女に理不尽な言葉を投げ放った。

だが、彼女は目の前に立つ男子を見ていた。


「でも…」


「あ?なんだよ」


「でも、この花に罪は無いよ…」


男子を見る彼女の瞳は今にも涙が零れそうになり、振動するかのように動いている。

それでも、彼女は睨まなかった。

目だけは暖かさに満ちていた。


だが、男子の足はおもむろに彼女の頭上に置かれた。


「じゃあ…この花みたいにしてやるよ!!」


置かれた足に力が加わり、頭が地面に激しくぶつかる。

激痛が走り、衝動によって涙が地面に落ちていく。


「‥‥っあ…痛い…やめて…」


「聞こえねえなぁ!お前らも踏めよ!なにボーっとしてんだ!」


「いや…それは…さすがに…」

「そうだよ…やりすぎだよ…」


「何を勘違いしてんだ?」


頭を踏む足は強さを増していく。


「この場に居る時点で、お前らも同罪なんだよ。今更良心が痛むか?馬鹿じゃないってんならやってみろよ!こいつを蹴ってみせろ。そうすれば、お前たちだけは助けてやるぜ?」


「「‥‥っ!」」


会話は終わり、泣きながら嗚咽を繰り返す彼女の横に立つ二人

そして


「ひう‥‥っ…」


腹部に一発

背中に一発

頭に一発


彼女は同時に蹴りを入れられた。

その瞬間…彼女から目のハイライトは消え、意識の炎も掻き消された。






(どうして…私だけなんだろう…)


彼女はずっと独りぼっちだった。

手を繋いで歩いていたかつての友人は全員、鋭い目でこちらを見ながら去って行った。

それでも、彼女を支え続けた一人の少女が居た。


「絶対に、私が守ってあげるからね…!何があっても!」


私の手をずっと握っててくれた、只一人の少女。

心を預ける事ができた、只一人の友達。


だが、一人だけだった友人は忽然と姿を消した。

転校では無い。

不登校でも無い。


自殺だった。


机には花と笑みを浮かべる友人の写真だけが、揃えて置かれていた。


それから


彼女を見る者は誰一人として居なくなった。


彼女の手を握る者は誰一人として居なくなった。


そこに自分が居るのか


それすら考えることを放棄して


息を潜めながら黒板を眺めて


時間が来れば誰とも会話をせずに教室を立ち去る。


それが彼女の学校生活。


傷つくこともないし、寂しいと感じることもない…そんな平穏が続いた。


それでも彼女は生きることを辞めなかった。


「おかえり…今日もよく頑張ったね」


家に帰れば、彼女の大好きな母親が居るから。

母親だけが唯一の理解者であり、彼女を見てくれる存在だったからだ。





「‥‥っ」


彼女は闇に包まれた路地裏で目を覚ます。

頭、腹部、背中への痛みを我慢しながら、ぼんやりと見える辺りに目を向けた。

どうやら3人は帰ったようで、誰一人として人影が無い。


立ち上がって、地面を見た。


「これじゃあ…お見舞いには行けないな…」


踏まれた向日葵を抱えて、家への帰路を辿った。









…気が付くと彼女はそこで寝ていた。


「ここは…どこ?」


彼女はぼんやりとする目を擦りながら、その場所に立ち上がる。


辺りを見回した彼女はその光景に呆然とする


背丈よりも短い向日葵が、見える限りの辺り一面を埋め尽くすように咲き誇り、オレンジ色に輝く太陽の光が彼女を照らす。

その全ての花が太陽の方を見つめているかのようで、まるで整列をしているかのようである。

そんな風景の中に、彼女は一人立ち尽くす。


「ここは…夢…?」


非現実的な状況を目の当たりにして、彼女は少し前の状況を思い起こそうとする。

すると、あの男子3人の顔が脳裏に浮かび上がり、歯を食いしばる。


「あの男子3人だけは…許さない‥‥」


独り言が衝動的に出てしまう。

すると、何かに気づいて彼女はふと目の前の向日葵に視線を向ける。


「どうして…私の方を見てるの…?」


そう‥‥太陽の方を向いていた、一本の向日葵が首を回転させ、彼女の方に視線を送っていた。

彼女は不思議に思い観察するが、それ以降動くことはなかった。

首を傾げ、彼女の方を向く向日葵を横目にして再び状況を思い起こす。


だが…


「なんで…なんで、あいつらの事ばかり頭に浮かぶの…!?」


脳裏に浮かぶのは3人の男子の顔。

顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。


「‥‥っ!!!消えてよ!!!」


それでも浮かぶ顔。

顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。


「気持ち悪い…吐き気がする…!やめてよ!!!」


顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。顔。


恨みは加速していき、光景が鮮明なものとなっていく。

「お前、ウザいんだよね。せっかく俺らが悪いデマを拡散してやったのに、何でまだ学校に来てんだ?もしかしてお前…自分が全校生徒から無視されてるの気づいてないのか‥‥!?」

「無言で適応するんだもんな?マジでつまらんかったわ~」

「だからさ目の前から消えて欲しいんだよ。俺たちの玩具にすらなれないなら、死んだ方がマシだぜ?」

何度も脳裏を反響して聞こえてくる有象無象の言葉。


「黙れ…!ゴミが!!お前らみたいなクズの玩具になる気なんてねぇんだよ!!」

目を見開き、脳裏を支配されそうな感覚に耐えようと両手で頭を抱え、蹲りながら否定を大声で叫ぶ。


「やめろ…キモイ…黙れ…ゴミ共が…殺してやる…殺してやる…!死ねよ…お前が中心で世界は回ってねぇんだよ…!!!消えろ!!!!」

嘆く声は夕焼けの空に消えていく。

だが、脳裏から恨みが消えることは無い。


蹲る彼女が顔を上げると…


「‥‥っ!?」


全ての向日葵が彼女の方を見ていた。

ただじっと…視線だけが彼女に集中していた。


「みんなは…私を見ていてくれるの…?」


向日葵は言葉を話さない。

だが、彼女には何かが聞こえているようであった。


「そっか…貴方たちの仲間が踏まれちゃったからね…私が…報いないとね…」


そう言いながら立ち上がる。

四方八方を向日葵からの視線で埋め尽くされなれながら、彼女は一言。


「私…奴に復讐してくるよ。見ていてね」


その瞬間に向日葵の花弁は赤く染まり、夕焼けが沈む。

闇に包まれながら、彼女は気を落としていく‥‥。










…意識が少しづつ戻り、カーテンから入る光に照らされながら目を覚ます。

無音が室内を包み、無言で身体を起こす。


「・・・・・・・・・・・」


虚ろな目のままベッドから立ち上がり、学校の用意を始める。

いつも通りの制服を身に纏い

いつも通りの鞄を背中に背負い

いつも通りの時間に自室の扉を開く。


そして、いつもと違う明かりの点いてないリビングに姿を消した。










下校のチャイムが鳴り響く学校

彼女は俯きながら、急ぎ足で校門を通り過ぎる。

だが、いつも通りの帰路ではなく、家と反対方向の道を進む。


街中を掻き分けながら進んでいく。

昨日入った花屋を通り過ぎて、道を曲がった。








「あいつ、ドМだよな~」

「だよな!昨日あんなことがあったのにさ、今日も学校来てたぜ?」

「きっとまだ分かってないんだよ~自分がイジメに合ってるんだってさ!!」


彼女を蹴り飛ばした3人の声が路地裏に響く。

笑い合いながら、奥の方に進んでいく。


すると、一人が呟いた。

「なぁ…誰かいないか?」


その言葉を受けて、二人は薄暗い路地裏の奥に視線を向けた。


また一人が呟く。

「あいつ…何やってんだ…?」


すかさずリーダーが声を上げる。

「お前、また蹴られに来たのか?」


3人の目の前には


彼女の姿があった。


鋭い眼光で手を握り、立ち尽くしている。


その光景を見て面白がったリーダーは呟いた。

「おい…もう一回、あいつの身体に教えてやらないとダメみたいだな!」


だが、二人は一歩退いた。

「お…おい、もうやめとこうぜ…?」

「そうだよ…もう蹴りたくなんてないよ…」


だが、二人の肩を掴んだリーダーが呟く。

「俺、昨日も言ったよな?お前らはもう後には引けねぇんだよ…だったら分かるよな?俺の従順な犬でいてくれよぉ…?犬はな、ご主人様の言うことを聞いてれば安全に暮らせるんだよ!!」

片足でその辺にあったドラム缶を蹴飛ばす。


「あいつを拘束しろ。犬ども」


「「‥‥っ!」」


その光景と言葉に身を震わせた二人は彼女の方を鋭く見つめ

次の瞬間、彼女目掛けて走り出した。


だが


「「うっ…!?!?」」


二人は動きを止めて、彼女の前で腹を抱えながら地に伏した。


リーダーはその光景に目を見開いた

「お前…何をしやがった!!!」


彼女の手には此処に廃棄されたであろう杖を片手に持っていた。


そして蹲る二人の背中を


「ぐぁ…!?」

「やめろ…!やめてくれ…!ぐあっ!?」


順番に足で踏みつけていった。

何度も、何度も、何度も。

足で踏みつけて、杖で突いて。


「あはは…あはははははは…あははははははははははははは♪」


彼女は愉悦に満ちた顔で、二人の身体を壊していった。

その狂気に似た笑顔で自分を偽りながら、何度も痛めつけていった。


光景を見ていたリーダーは

「お…俺は悪くない…!あいつがすべて悪いんだ…!勝手に狂った、あいつが全部悪いんだ!」

そう言いながら、足をバタバタとさせて逃げていった。

その光景を見ながら、彼女は攻撃を止めた。


彼女は蹲る二人に一言呟いて、その場を後にした。









綺麗に着飾られたドアを潜り、店内へと足を踏み入れる。

『チリリン』と気持ちの良い鈴の音が鳴り響き、店内に入った事を知らされる。


鼻腔を良い匂いが擽り、色鮮やかな花が彼女を迎えた。

だが見て周るわけでも無く、すぐさま向日葵を手に取った。


「いらっしゃいませ。昨日ぶりですね」

と、彼女の顔を見るなり笑顔で一言放った。


その言葉に無言を返し‟11本の向日葵”をレジに持って行った。



会計を済ませ、無言で踵を返す彼女。

だが、店主は暖かな笑顔で遠ざかる背中に一言。


「また来てくださいね」


その言葉に反応するように彼女は店主の方を向く。

すると


「何度でも、ここに来ても良いですか…?」


か弱い声色に


「いつでもお待ちしておりますよ」


店主は笑顔で一礼した。




鈴の音は店内を反響して包み込んだ。










一枚の扉を横にスライドさせる。

すると、4人がベッドに横たわっていた。


その中の一人は彼女を見るなり笑みを返した。

ベッド周りのカーテンを閉めて、外界からの視線をシャットアウトする。


「来てくれたんだね…美架みか


「お待たせ…お母さん」


抱き抱えていた向日葵を傍の机に置く。


「綺麗な向日葵ね、買ってきてくれたの?」


こくりと無言で頷くと


「ありがとう。お母さん、嬉しいよ」


「‥‥っ!」


美架は無言のまま、母親に腕を回して抱き付く。

母親はその光景に笑みを浮かべながら、頭を撫でる。


「お母さんね、明日の朝で退院できるって」


「良かった…本当に良かった…」


布団が涙で濡れ始めていった。


冷たい身体が少しだけ暖かくなっていくような感覚を嚙み締めた。

これは正義だろうか?悪だろうか?

どちらにしろ、人間は都合を秤にかけて判別する。

この先の展開を貴方は、どう見る?


☆ ☆ ☆


こんみか!神果みかんです!

夢と夢シリーズも初の試みで、短編シリーズを執筆することになりました!

次回、後編でまたお会いしましょう!!!

あと、皆さんにお聞きしたいんですが…


貴方は向日葵が好きですか?


では!


☆ ☆ ☆


評価や感想お待ちしております!

Twitterで随時、活動報告も行っております☆彡

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ