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夢と夢 ~自我に問え~  作者: 神果みかん
短編集 1話~6話 番外編
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「夢(番外編)」神果みかん

「夢(番外編)」神果みかん

気が付くと、俺はそこに居た。


「ここ…は?」


白い箱の中。


四方八方を、白い壁で覆われている。


そんな、何もない部屋。


気分も、別に悪いわけではない。


ふわふわした感覚が、脳に居座っているだけだ。


その感覚に戸惑いながらも、俺は冷静に現状を確認した。


そんな時、目の前の光景は一瞬にして変わった。


そう、瞬きをした時だ。


その瞬き一つによって、目の前の景色は『学校の教室』へと変化していた。


更に言えば、周りの人間に見覚えがあり、身長が小さく、幼かった。


そう、ここは、“小学校”だ。


何もかもが懐かしく、みんなの顔が輝いてる。


笑顔が溢れて、遊びまわって、はしゃいでいる。


「…あ、昔の俺が」


その中で、昔の自分の姿を見つけた


「みかんくん!さっかーしよお!」


「うん!いこう!」


見覚えがある顔の子に誘われて、昔の俺は外に遊びに行った。


「…懐かしいな。そんなことも…あったな」


少しだけ、笑顔が零れる。



次の瞬間


俺は、瞬きをしていた。


「…これは」


その瞬きの後に待ち構えていたのは


「みかん、俺は知らんからな?」


「みかんが悪いんだから、みかんがなんとかしろよ!」


「そーだそーだ!」


「うっ…ひぐっ…」


「あ~、先生~、みかん君が勝手に泣きました~」


そう、悲痛な思い出だ。


俺と言う存在を、誰もが嫌い


俺は、泣いて縋るしかなかった。


そんな、心を知った時の俺だ。


その時から、自分以外の他人が化け物に見えるようになって、自分を塞ぎこむようになった。


でも、まだ心を通わせれる人が居たから、俺はまだ、純粋なままで居れたんだ。


でも、いつの間にか涙を、少しだけ零していた。



再び、瞬きをした。


すると、さっきよりも大人びた制服へと変わる。


そして、教室の雰囲気も変わっていた。


そう、次は“中学校”の光景が目に映る。


ここもまた懐かしく感じてしまう。


もちろん、昔の俺の姿もあった。


その時の俺は、アニメを知るようになって、小説に興味を持ち始めた時だ。


だから、休憩中も小説を読むようになった。


そして、部活動にも所属していた。


スポーツ系の部活動だ。


「お~い!みかん!一緒にやろーで!」


「もちろん!」


この頃は、楽しいことが多かった。


身体的疲労はあるけど、みんなと共に熟せていて、楽しかった。


だけど、そんな時間もあっという間に



消えていくんだと知った。


「こいつ、バカって言われても動じないらしいから、みんなで言おうぜ!」


「まじか(笑)せーの!」


「バーカバーカバーカバーかバーカバーカバーカバーカバーカバーカバーかバーカバーカバーカバーカバーカバーカバーかバーカバーカバーカバーカバーカバーカバーかバーカバーカバーカ」


「うぅ…」


そして、あくる日は


「お前、練習やれよ!!!!!やんないのなら死ねば!?!?」


「うっ…」


そして、あくる日


「お前、こんなボカロも知らねえの?なら、俺たちのグループに入んな。」


「…」


そして、ついには


「かかってこいやぁ~wwww」


「っ!!!!」


拳を突き出して、相手の鼻に直撃


鼻から、赤い液体が出てくる。


「……」


全てが嫌になった。


こんな自分が嫌になっていった。


純粋な心は、崩壊していった。


人と関わりたくない。


誰も信じられない。


そこから、思想に染まった。


誰にも心を打ち明けない。


打ち明ける場所なんて、この世界に無い。


そう思っていた。


だけど、


「泣くな!」


「…っ!」


俺は唯一、心を開けて話せる人が居た。


担任の教師だ。


その先生は、いつでも俺の声を、しっかりと聴いてくれた。


どんなに泣いてる時でも、


「泣くな」と、叱ってくれた


どんなに悔しい時でも


俺の心に、安らぎをくれた。


そして、どんなトラブルも解決してくれた。


その先生が居てくれたおかげで、


俺を大切にしてくれる数少ない友人の存在を、失わずに済んだ。


「みかん、バトミントンしよ」


「う…うん!いいよ」


そう。


本当に信頼できる人も見つけることができた。


いつのまにか、涙で、視界は溢れていた。


そんな、バトミントンをしている彼らを見ながら


目を閉じる。



再び目を開けると、“高校生”の自分へと変わる。


1年生の時


全てが新鮮な空気で、知らない人ばかり


不安な気持ちと楽しみな気持ちの板挟み状態


そんな幕開けだった。


でも、展開は速かった


「お、このアニメ、お前も知っとん?」


「同じ駅の方面か!よろしくな~」


そんなこんなで、いろんな範囲の人と話すようになって


とにかく、自分の性格を少しでも出さないように、笑顔で居続けた。


そして、優しく居るようにした。


嫌われるのが怖くて、人に頼られるのが嬉しくて


自分を出さないように、心がけてきた。


だけど、


続く筈もなかった。



瞬きをすると


トラウマのシーンが蘇ってきた。


そう。


自分が正しいと思い込んでるやつに言われた一言から、全てが始まった。


「体験してないことを、書けるわけないじゃん」


と。


それには、俺も激怒した。


なんなら、そこはクラス全員が揃っている場所でだ。


「お前がすべて正しいと思うなよ!じゃあお前は、宇宙戦争も、転生も体験できるんだな!?」と。


だけど、それだけでは俺の心は、晴れなかった。


それから、俺の暮らしは一変した。


脳内で何度も蘇ってくる、そいつの戯言。


それに反論して


勝手に蘇ってきて


反論して


蘇って


反論して


の、永遠ループ。


嫌でも、勝手に脳内に浮かんできて


どれだけ反論しても、ずっと脳内で木霊し続けてきた。


親に話しても、友人に話しても、効果は無かった…。


本人からの謝罪もなく、時が経つにつれて、人との付き合いが悪くなっていった。


いつのまにか、人との話し方が分からなくなっていった。


そう、


人間不信だ。


自分の心が傷つくくらいなら、人と関わるのをやめればいいと


またこうなる前に、自分を塞ぎこんでいればいいと


そう思うようになった。


その心を抱くようになって、俺は、学校で話す時が、殆どなくなった。


まるで、俺と言う存在が死んでいるかのようになっていた。


そして、周りの友人も次第に、会話を交わさなくなっていった。


先生への相談をしようにも、就職試験に行く人への対応で勤しんでる為、いつしか、話そうとも思えなくなった。


そして、友人のひそひそ話でさえも、俺の悪口を言っているようにも思えるようになっていった。


そんな日々に耐えられなくなり、本当は、死にたかった。


だけど、死ねなかった。


俺は、小説を書いていたから、死ねなかった。


俺は、応援してくれる人がいたから、死ねなかった。


そして、死んだら、奴らの思うつぼだと、捉えれるようになった。


きっとこれは3度目の試練なんだろう。


俺は、天井に手を掲げた


そして、一つ、瞬きをする



「俺は!負けねぇ!これが、俺の覚悟だ!!」


と、叫ぶ。


そして、ふと我に返ると


「あれ…ここは?」


自分の部屋に戻っていた。


意識もはっきりとする


気持ちもよい


身体を起こすと、机の上で起動しているパソコンに目をやる。


なにやら、メモ帳が開いている


それを確認すると


【人生は、瞬く間に移ろいで行く。その一瞬一瞬の想い出を飾るのは今しかできない。過去は捨てて、今を彩れ。】


と、書かれている。


「ふっ…やってやる。今を生きてやるよ。」


俺は、別のメモ帳を開いて、続きの小説を書き始めた。







これからも、俺はストーリーを紡ぎ続ける。


誇りに思いながら‥‥。

…ありがとうございました

そしてこれからも、よろしくお願いいたします。

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