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バンダースナッチ

バンダースナッチ戦ラストです

長くなってしまったので、長さに注意です


 『発狂』状態に突入してから二分は経過したが、未だに第二段階が続いている。

 だが、レオナルドの体力は減らず。

 僕は常に彼のステータスを確認しながら、薬品を使用する。

 そして、次に避難する建造物に滑り込むと同時に『ホーミング弾』が襲い掛かった。


 『ホーミング弾』はレオナルドにも襲い掛かっている。回避しても追撃を止めないので、障害物に衝突させ撃沈させる他ない。

 大鎌で破壊も可能だが、耐久度が削られる手段を取るのはよろしくない。

 何より、残る第三段階が待ち構えている。


 僕は倒壊しそうな建造物から避難。

 庭の柵や看板、階段の段差を利用し、『ホーミング弾』を誘導し爆破。武器の鞄と『火炎瓶』を駆使する。

 ゲームだから駆け巡り続けられる。現実だったら無理だなと僕は想像した。


 唐突に攻撃が止んだ。

 何とか耐えた。しかし、ここから先も難関が待ち受けている。

 レオナルドの魔力を回復させ、僕自身も体力回復。


 すると――僕の足元にポッカリと裂け目が出現。あっという間に落ちてしまう。

 ここは異次元。

 バンダースナッチが姿を隠すのに使用する別空間だ。

 そして、異次元空間では無酸素状態――ゲームの設定上『風の魔素』がない場所。

 水中と同じだ。あちらは『水の魔素』しかない為、無酸素状態となる。


 加えてここでは無重力になる。宇宙空間に放り出されたようなものだ。

 僕だけではなく、レオナルドも異次元へ放り込まれたのを遠目で確認できる。

 これはプレイヤー全員が強制的に異次元移動されるイベント。回避は不可能だ。


 レオナルドが『ソウルシールド』を使用。

 これで無酸素状態は克服。

 次に、レオナルドは僕に木製の逆刃鎌を『ソウルオペレーション』で渡す。

 僕が柄を掴み、僕自身の薬品の効力が終わったのを確認する。


 逆刃鎌がレオナルドの元に移動。

 ようやく僕らが再会できたのもつかの間、前方に最終形態状態のバンダースナッチが登場。

 疑似肌が剥がれ落ち、ところどころ機械部分が剝き出し。

 奴の片目はカメラレンズ状に、細かいカラフルな導線と繋がっているのが分かる。

 機械翼から何らかのエネルギー放出により無重力空間での自在飛行を実現していた。


 第三段階では『ソウルシールド』を使用し続けなければならない。

 なので、これもまた僕の生存が必須。

 『ブライド・スティンク』戦と同じく、レオナルドが僕の持つ逆刃鎌を操作回避を行う。


 そして、バンダースナッチの攻撃手段も変化する。

 遠距離攻撃は光弾に、接近戦用に両腕を変化させた武器もビームソードに。

 もう完全に、ロボット系を好む開発者が担当したと象徴しまくっているレベルだ。


 エネルギーで生み出される光弾は、様々な形状に変化させてくる。

 広範囲の弾幕やバンダースナッチ本人から遠距離攻撃で直接放たれるパターンも。

 ビームソードも同じで、プレイヤーとの間合いに合わせ長さを不規則に調整してくる。

 ネタのような攻撃も、実際に相手すると厄介極まりない。


 僕が必要最低限のアイテムだけ残し、使わない薬品を捨て、重量を軽くする。

 幾度も身をかすりながら、レオナルドの操作で光弾を掻い潜った。

 僕は必死に鎌を掴み続ける中、レオナルドとバンダースナッチの死闘が繰り広げられる。


 ビームソードは長さだけではなく、形状も変化し、高速回転で接近する大鎌を受け流すカーブのある盾になっていた。

 レオナルドは全ての大鎌を使用した。

 彼自身『ソウルターゲット』により無理な軌道で強引に体を引っ張り。

 四本の大鎌でバンダースナッチの四方を囲む。

 格闘家系の『波動』と似たエネルギーの衝撃波で大鎌は弾かれる。そこにレオナルド本人が突撃するのだ。


 視覚を奪う為だろう。

 わざとバンダースナッチの顔目掛けて肉体をぶつける。

 無論、武器もない無防備状態のプレイヤーは恰好な獲物だ。鬱陶しく周囲を旋回し、邪魔するレオナルドに攻撃をしかけた。

 だが、背後より舞い戻った青薔薇の逆刃鎌がバンダースナッチを襲う。


 どうやら、レオナルドは第二段階の時点で幾度も狙ったのだろう。

 今の攻撃でバンダースナッチの片翼が落ち、本体のバランスが大きく崩れた。

 レオナルドは立て続けに大鎌の追撃を続ける。


 入り乱れで攻撃する大鎌と、その大鎌に猿のように飛び移り続けるレオナルド。

 時には、鎌に乗り移らず『ソウルターゲット』のバックステップで弾幕やビームソードの変化に対応し回避するものだから、僕は冷や冷やした。


 回避は成功している。

 しかし、やはり攻撃の入りは甘い。

 ダメージは与えられているが、攻撃自体は避けられ続ける事が多い。

 他の戦闘系ジョブと比較しても、墓守系には決定打がない。

 必殺技というか、大ダメージを与える攻撃系スキルが皆無。なので、長引くのは当然。


 しかし、他ジョブと渡り合うバンダースナッチの動画と比較しても、挙動が妙。

 『ソウルターゲット』と『ソウルオペレーション』で浮遊する大鎌を使ったレオナルドの不規則な動きに対応しようと、動画にはないビームサーベルの形状変化が多い。


 接近していたレオナルドが気づき叫ぶ。


「ルイス! 来るぞ!!」


 先ほどレオナルドが破壊したのも含め、翼からエネルギーを放出していた部位、左右合わせ十二個が分離。

 高圧エネルギー、レーザービームを放ち出す。

 しかも、分離した部位は自在に動く。レーザービームに一度でも命中すると、身動き取れないほど立て続けにダメージを受け続ける為。実質『即死』と捉えていい。


 凶悪な攻撃が始まり、バンダースナッチの高密度の光弾弾幕とビームソードの接近攻撃を回避するだけで手一杯になる僕ら。

 だが、こうなると回避するだけだ。


 バンダースナッチ戦開始前を思い出せば、後の展開に説明がつく。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 『マザーグース』を防衛する為、表に居続ける必要があったから?

 いいや、ロボットを巡回させ、自分は安全な異次元で引っ込めばいいのに。


 そう。ここにヒントがあった。

 何気ない些細な彼の行動がヒントだった。

 バンダースナッチには異次元に居続けられない理由がある。


 仮説だが、この異次元は『魔素』が存在しない。

 きっと酸素だけではなく重力も『魔素』が関係しているからこの異次元は無重力状態なのだろう。

 そして。

 妖怪の生態設定は不明だが、バンダースナッチのこの膨大なエネルギー……『魔素』を活用していると考えられる。

 例えば、周囲の『魔素』を取り込み、エネルギーに変換。


 つまり、僕らを異次元に引き込み、トドメを刺そうと全エネルギーを解放しているバンダースナッチ。

 どうなるかと言うと……段々と攻撃は止み、奴の挙動がおかしくなる。

 ()()()()()()()だ。

 表に通ずる時空の穴を生み出し、逃走を図る寸前。


 レオナルドが『ソウルターゲット』で急接近。

 青薔薇の逆刃鎌を振るい、バンダースナッチを撃破するのだった。

皆様、感想・誤字報告・評価・ブクマありがとうございます。

ラストに時間をかけてしまい、大分遅刻する事になりました。

申し訳ございません。

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