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チュートリアル

 

 周囲が森に変化し、舗装された平坦な一本道が続く場所となった。

 僕の前に『マギア・シーズン・オンライン』のマスコットキャラ『しき』が登場する。

『しき』は少女の姿をしたフェアリーだ。


「ようこそ! 魔法と四季の世界へ!! 私の名前は『しき』。これから貴方に冒険の基礎を教えるヨン!」


 奇妙な語尾を持つ彼女の指示通り進めていく。

 モンスターに連続攻撃を続けると、自動的にコンボフィニッシュが発動。強力な一撃と共に、コンボは一旦途切れる。


 敵を倒しドロップする宝石は、ゲーム内の硬貨・マニー。

 宝石の色で数値が決められており、緑は1マニー、赤は10マニー、青は100マニー、黄が1000マニー。最も高価な10000マニーは白。


 アイテムは宝箱でドロップする。宝箱の外見で中身のレア度が判別可能。

 木製はコモン、銅はレア、銀はSレア、金はSSレア。極稀に虹色のプラチナがあるとか。


 更に『しき』からアイテムの説明をされる。


「アイテムのスタック数は最大99個ヨン! それ以上同じアイテムを拾う事は出来なくなるから気をつけて欲しいヨン!! あ、装備武器や防具、装飾品はスタック出来ないから注意するヨン!」


 スタック可能なのは薬品系、矢や銃弾などの消耗品だ。


 チュートリアルで幾つかアイテムを拾っていくと、少しながら武器(籠)に重さがある。

 武器を背負って歩く、走る。

 まだ量が少ない為、実感が湧かないけども、重さが増すごとに移動速度が低下しそうだ。


「そうだったヨン。貴方は薬剤師だったヨン。薬剤師は消費アイテムを連続で使う事ができるヨン! 他のジョブはアイテムを使うとクールタイムが発生するけど、薬剤師はそういうの無いヨン!!」


『しき』は悩ましい表情を浮かべた。


「ぶっちゃけ薬剤師の強みはそれだけヨン……攻撃やサポートみたいな能力はないし、ジョブポイントで獲得できるスキルもMP消費するものは使う事が出来ないヨン。スキル買う時はMP消費するものか確認するヨン」


 裏を返せばMP消費する必要ないスキルがあるようだ。

 気を取り直して『しき』は、調合に関するチュートリアルを開始する。


「素材はあげるから、色々調合してみるヨン!」


 調合できる薬は


<回復薬>

 体力が少し回復する。


<増強ドリンク>

 一定時間、STRを強化する。


<延長剤>

 強化の持続時間が延長する。


 の三つ。

 薬の調合に必要なのはハーブのような薬草系と水、貝殻やモンスターの角。

 一つ完成させるのに数十秒ほどかかったが、DEXをあげれば調合スピードが速くなると『しき』がアドバイスをくれる。

 三種類全ての調合を終え、アイテムの使い方をレクチャーされた後。

 少し場所が移動し、森の開けたところにモンスターが三体出現していた。『しき』が言う。


「そろそろレベルが上がりそうヨン! モンスターを倒してレベルアップするヨン!!」


 チュートリアルでレベルが上がってしまうのか。

 僕はステータスを開いて、ゲームシステムとは別の、撮影機能を立ち上げた。

 SNSと連携しているMMOは近頃多い。VRMMOも同じでゲーム内で撮影したものをSNSに乗せる事が可能だ。

 僕の場合はSNS用ではなく、ステータスの数値を記録する為だけど。


「早くモンスターを倒すヨン!」


 自棄に急かしてくる『しき』は無視。撮影したものを保存し、改めてモンスターを倒す。

 レベルアップの効果音と共に、自動でステータスが表示された。



 ルイス <薬剤師>


 Lv2

 HP:150/150

 MP:-


【ATK】5

【DEF】5

【INT】17


【STR】7

【VIT】15

【DEX】12

【AGI】7



「レベルアップするとステータスポイントが3貰えるヨン! 早速、ポイントを入れてみるヨン!!」


 VIT=持久力・体力が優秀なら、優れている能力は5。他は2程度の値を貰える。

 ATKとDEFに変化がない。伸びにくいのだろうか。断言するには早いか……


「ポイントを入れるヨン!」


 体力はともかく、STRとAGIにも……自然に伸びる分と薬剤師が持てる最大アイテム数200状態の籠を持ってみない限りは闇雲に割り振りはしたくない。


「ポイントを入れるヨン!」


 それと気になるのはINTだ。

 事前に専門用語を流し見したけど、INTは魔法攻撃に分類されているらしい。

 MPがない(世界観設定上では魔力を持たない)薬剤師には無縁。


「ポイントを入れるヨン!」


 INTの数値=MPの数値ではないなら、このゲームではINTは魔法攻撃だけではない。

 INTは『Intelligence』。知能、知性、諜報……情報の解析能力。

 賢さ? なら、薬剤師の知能を上げる事は、調合に関わってくる能力値が故に上昇するのだろうか。


「ポイントを入れるヨン!」


 ………


「ポイントを入れないと先に進めませんか」


 僕が渋々尋ねる。

 やれやれな厭きれ顔する『しき』が答えた。


「ま、まぁ……ポイントは後でも入れられるヨン。割り振ったステータスポイントは途中で減らしたり増やしたり変えられないから注意するヨン!」


「それ先に説明した方が良いですよ」


「ヨン……そ、そういうこともあるから、初期設定からチュートリアルの間だけリセットできるヨン!」


「そうでしたか」


「ポイント振って、色々試してみるヨン?」


「結構です」


「ヨン……」


 さて、チュートリアルも終わるかな。

『しき』が改めて、プレイヤー全員に配布されるプレゼントを紹介した。


 ・5000マニー

 ・JP(ジョブポイント)3000

 ・レア武器上限解放チケット×3

 ・Sレア武器上限解放チケット×1

 ・SSレア武器上限解放チケット×1


「きっと冒険の役に立てる筈ヨン! 上手く使って欲しいヨン!!」


 最後にゲームの世界観・バックストーリーが『しき』から語られる。


「平和だった世界に、さっき貴方が倒したモンスター……『妖怪』が現れるようになったヨン。世界に『妖怪』が現れるようになった原因がある筈ヨン。それを解明して欲しいヨン!」


 周囲の森が消え、一帯が光に包まれた。


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