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興味

レオナルド視点があります。

 

 レオナルドが珍しく積極的に武器が作りたいと言い。僕も一緒に、茜のところに尋ねていた。


「ん~~~……こんなもんかね」


 茜がレプリカで作製したのは――()()

 刃の形状は逆刃で、峰に立ち乗りこなせる仕様になっている。

 見た目は弱弱しい。武器と運用するのは難しいが『ソウルオペレーション』で乗る為なら別。

 レオナルドが試しに持って「おお、軽い!」と感動した。一応、茜は説明する。


「素材はヒノキ。スキルは、ルイスの注文通り『大鷲の加護』三積みだよ」


 レオナルドは乗る前に少しでも身を軽くする為、普段来ている衣服のコートやマフラーも僕に預けた。


「これでどんくらい速くなるかな」


 期待と興奮を隠しきれない様子のレオナルド。

 以前は()で逆刃鎌を作ったが、鉄自体が重いので『ソウルオペレーション』の操作速度も低下していただろう。軽い素材なら、少なくとも鉄よりは速くなる。

 レオナルドが僕に聞く。


「『大鷲の加護』って何? 前やってた武器軽くする『羽毛の加護』って奴じゃねーの??」


「『大鷲の加護』は武器での攻撃速度を上昇させるスキルだよ。『ソウルオペレーション』は一応操作攻撃だからね」


「あー、なるほど」


 木目が丸出しの木鎌を『ソウルオペレーション』で操作し、峰に乗るレオナルド。

 僕でも分かるほど、速度が出ていた。通常の『ソウルターゲット』ほどの速度はあるだろうと感じる。

 相変わらず上手く乗りこなし、楽しむレオナルドを僕が微笑ましく見守っていると。

 茜が咳払いし、念押すように言う。


「レオ! レオナルド!! 木製だから耐久力は低いよ! あと火には気をつけな!! 一発受けただけでも燃え尽きるから!」


「あ、はい! わかりました!!」


 デメリットは高い。

 木製の耐久力なら、そこそこレベルのある妖怪の一撃を受け止めただけでも破壊される。

 攻撃も受けず、回避に専念しなければならない。


 しかし、木製だからこそ鉱石ほど手間暇を有しない。

 加工に時間はかからず、ダークブルーに白の模様を塗装して完成。シンプルだが洒落た逆刃鎌になった。

 レオナルドが、早速『木鎌』を装備して僕に告げる。


「俺、これでちょっと練習すっから。終わったらメインクエスト進めようぜ」


「うん、わかった。待ってるよ」


 自棄に急いで店に転移するレオナルド。

 僕も一旦戻ろうとした矢先。茜が呼び止めるように話しかけて来た。


「アンタたち、最近は大丈夫なのかい」


「はい。ご心配かけてすみません」


「……そ。ならいいんだけどね」


 茜の反応も何故か、小雪たちと同じく意味深。僕にはそれが理解できないものだった。





 レオナルドの言う『練習』は、確かに意味あるものだった。

 ルイスに隠れて、ムサシとクエストを受けた点を除けば。

 無論、他プレイヤーの目に届かないよう、メインクエストだけしか行っていない。


 やはり、逆刃鎌の動きをムサシに見て貰いたいのが、レオナルドの本心だった。

 決して自慢などではなく、ルイス以外の意見や指摘が欲しい。

 ルイスとレオナルドだけでは、気づかない部分は必ずあるだろうから、それを知りたい。


 クエストが終わってからも、レオナルドはムサシの家で他にも色々と質問する。

 最近購入どころか、意識すらしていなかったスキルの構成などレオナルドは参考にしていた。

 攻撃速度を上昇させるスキルが複数あり、純粋にレオナルドは尋ねる。


「これとこれって重複しねーの?」


「しない」


「へー」


 イベントでの騒動もあり、引きこもり気味だったので、気分転換にNPCの店に足運ぼうかとレオナルドは考えた。

 彼の熱心な姿勢に、ムサシは相変わらずの仏頂面で聞く。


「お前は強くなりたいのか」


「あー……違うんだけど、違わねーのかな」


 返答に悩む表情でレオナルドが言う。


「俺さ、カサブランカが気になるんだよ」


「……………………」


「好きとかじゃねーよ!? 恋愛的なアレじゃなくて、なんだ。ルイスと同じで、カサブランカみたいな奴も初めて見るんだ。それで気になるっていうか」


「………あの女は人を殺してもおかしくない」


 平然とそう述べるムサシに、レオナルドも少々ギョッとしてしまう。

 否定できないのが困り所だった。何故か気まずそうに、レオナルドは唸って言葉を選ぶ。

 陰口は叩きたくない。必死に思案した末、レオナルドは話す。


「心配だよな。アイツはさ、独りでも平気なんだろーけど。放っておくのも駄目じゃねーかって」


 でもなぁ、とレオナルドは頭をかく。


「強い奴じゃないと論外って感じだよな。アイツに興味持たれるには、強くならねーといけないっていう」


 他人の事ばかりのレオナルドだったが、ふと思い出した。


「マルチエリアって、どんな感じ? 俺、まだ行った事ねえから分かんねーんだ」


「メインより広い。空を飛びたければマルチに行け」


「花畑とかよりも広い?」


「相当」


「凄そうだな。でも……PKとかいるのか?」


「普通に」


 ムサシが即答するのに、レオナルドは「マジか」と意欲が損なう。

 自身の実力やルイスの忠告も含めて、マルチエリアに挑戦するのは無謀か。

 項垂れるレオナルドをムサシが横目で見つめていた。


皆様、感想・誤字報告・評価・ブクマありがとうございます。

次回の投稿は明後日になります。

よろしくお願いします。

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