表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/315

晒され

(3/14)一部、内容変更しました

 店に戻り、早々にレオナルドが謝罪する。


「悪い。あのままだと、あの子。アレ以上に酷く騒ぎそうだったからさ」


 何となくそんな気がしていた。

 ムサシの時と同じで、彼は魔法使いの少女の動向を観察。自身の経験則で、彼女への対応を考え。

 あれ以上、無駄な挑発を促し、騒ぎ立てないよう引き下がった。


 レオナルドは落ち着いていたが、僕は糞餓鬼の鬱陶しさに苛立っていたので。

 最悪憤りを爆発させていたかも分からない。

 僕は盛大に一息つき「こっちこそ」と返事をした。


「僕に気使ってくれて、ありがとう」


「それより……参加取り下げちまったし、軽く騒がれたから、ミナトさんにも伝わってるだろーなぁ」


 名残惜しそうにレオナルドが触れているのは、ミナトに依頼した衣装の事だろう。

 穏便に事が済んだが、僕も不安要素があった。

 目に通したくないが、手元のネット接続で確認していくと……やはり。


 まず『ホノカ』はムサシと同じく界隈で有名人だった。

 SNSも立ち上げ、本名の『天野ほのか』でアカウントを持ち、ギルドのメンバー募集や自身のアバターからメンバー紹介をしている。

 糞餓鬼こと、魔法使いの少女も紹介されている。

 プレイヤーネームは『サクラ』。SNS用に撮影した写真では良い子気取ってるのが腹立たしい。


 今回は大人しく引き下がったが、再び絡んでくる可能性も否めない。

 また鬱陶しい餓鬼の方か、ホノカの方か。

 僕らの噂は、今の所SNS上で飛び交っていないが、サクラが切っ掛けで何等かの晒しに合うのも。


 一先ず、僕も落ち着きを取り戻し、レオナルドに指示する。


「レオナルド。マーティンとのフレンドを解除……いや、ブロックしておいて」


「え? なんで」


「君の個人情報は彼から流れたからだよ。ムサシがホノカに情報を渡したとは思えない」


 ムサシは……念の為に、情報収集した時に知ったが。

 彼は過去に同級生から執拗な嫌がらせや晒上げで現住所をネットにバラまかれた経験がある。

 レオナルドの情報を公で明かす真似は――しない方だろう。


 僕の言葉に、レオナルドは気まずそうな表情で尋ねた。


「多分、何となく話しちまったんじゃねぇか? ギルドに入ってるならともかく、入ってない奴の情報って重要でもないだろ」


「そうかもね。でも解除して。念の為だよ」


「……おう」


 あとは……ミナトに衣装の件を伝えて。

 倉庫の備蓄も確認しておくが、薬品作製に問題ない。残る問題は――武器か。

 当分、事が冷めるまで無暗に町へ向かうのは危険だろう。


 武器の耐久力回復は適当な鍛冶屋ばかり選んで、行きつけはない。

 今回のイベントで、レオナルドが使用する武器を作製してくれる鍛冶屋を慎重に選びたかっただけに、まだ決めあぐねていた。


 ふと、レオナルドが手元の画面を開いたまま、チャットを行っているような動作をしている。

 マーティンとのフレンド解除とブロックに手こずっているのか?

 僕の視線を感じたのか、レオナルドは教えてくれた。


「今回のイベント、出れなくなったってムサシにチャット送ってたんだよ」


 は?


 ホラとレオナルドが普通にムサシとのフレンドチャットを見せてくれる。

 淡白な返事だが、レオナルドのメッセージに受け答えていた。

 一応、ムサシのアカウント状況を確認するが、レオナルド以外のフレンド登録者はいない。


 訳が分からない。

 レオナルドには心を開いているのか? 冷徹無比な鬼人と恐れられている彼が。

 ……待てよ。


「レオナルド。彼から行きつけの鍛冶屋を紹介して貰えないかい」


「鍛冶? 教えてくれっかな」


「多分、教えてくれるよ」


 界隈の有名人だからこそ、下手にそこらの鍛冶屋で武器の作製や手入れをしない。

 動画内でも、ムサシが武器の耐久力回復を行っているシーンをカットしてあり。

 ムサシが現れた鍛冶屋の噂は巷でも聞かない。彼が信頼する鍛冶師が確実に存在する。


 やや時間を置いて、ムサシからメッセージが届いた。

皆さま、感想・評価・ブクマありがとうございます。

誤字報告等も感謝です。

気圧の影響で執筆がはかどりませんが、明日はいつも通りに投稿します。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ