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皆さま、誤字報告・感想・評価・ブクマありがとうございます。
(作中が)段々と鬱陶しくなっていくのでご注意ください。
(3/14)内容を大幅に変更しました。
本当に誰だ、コイツは。
レオナルドも少女に見覚えがないといった態度だ。
当たり屋のようになりふり構わず因縁吹っ掛ける迷惑プレイヤーなのか。
僕らが魔法使いの少女に尋ねる前に、向こうから勝手に喋ってくる。
「ホノカちゃんに嘘ついたでしょー! この嘘つきー!!」
「えーと……誰?」
レオナルドが本当に覚えがない返事をすると「サイテー!」と少女は喧しく叫ぶ。
流石に周囲の他プレイヤーも不審な視線を注ぐ。
「ギルド入ってるって嘘ついたじゃない! 初心者だから参加するなって言われたからでしょ!!」
…………
「初心者は参加すんなー! 参加すんな、下手糞ー!!」
鬱陶しい糞餓鬼が……
大凡原因はわかった。何故、僕の嘘がバレたかも。
しかも、コイツは自分が気に入らないモノを徹底的に排除したい輩だ。
将来は営業妨害を引き起こすような悪質なクレーマーに成長する。
魔法使いの少女が挙げる『ホノカ』は、前に接触してきた格闘家の少女だ。
そして、レオナルドがギルドに所属しているか分かるのは、フレンド登録者のみ。
レオナルドのフレンドは、僕とムサシ。
そして最初にパーティを組んでフレンド交換したマーティンだけ。
マーティンがホノカにレオナルドの情報を渡したのだろう。
「下手糞は参加するな! 下手な奴がいると皆の迷惑になるの知らないワケ~?」
自棄に挑発して、僕らをわざと怒らせたいのか?
僕が沸々と憤りを感じる傍らで、レオナルドは不自然なほど冷静さを保っていた。
鬱陶しい顔膨らませた少女の様子を伺い、レオナルドが決断する。
「――わかった。今から参加を取り下げる」
「レオナルド」
自ら行動を委縮させるような真似を、公の場で見せるのは良くないというのに。
レオナルドは、僕に無言でアイコンタクトを送り。
それから、不満気な魔法使いの少女に告げた。
「参加取り下げるところ、ちゃんと見ててくれよ。これでまた参加を疑われるのは嫌だからな」
「ふーんだ! どうせまた参加し直すでしょ!!」
「しないって。ああ、ホラ。広場でイベントの実況中継やるって概要にあったろ。そこの広場にいるよ」
「ほんと~!?」
「そん時の証拠写真撮ったりするから」
嘘ついた相手に半信半疑な票素でムスッとしたうざったい表情は変わらないままの少女。
だが、レオナルドが異常に淡白かつ冷静なのに、故意な煽りが出来ないようだ。
仕方なく「早く参加取り下げなさいよ!」と吠える。
レオナルドがそそくさと参加取り下げを少女に見せびらかす。
相変わらず、何かが気に入らない様子で、今度は僕の方を睨んできた。
「アンタ、参加しないでしょーね!」
「僕は医者だよ。戦闘なんて出来っこない」
レオナルドの行動を無駄にしないよう僕も話を合わせる。
僕のジョブを聞いて、意外そうな反応をする少女。
「医者とか役に立たないジョブなんでやってるワケ? 意味分かんない!」
腹立たしいなこの糞餓鬼……
カサブランカの方が何十倍もマシだと痛感してしまうほどだ。
人を馬鹿にする少女を宥めるように、レオナルドが尋ねる。
「今回の件、一応ホノカに謝っておきたいんだけど」
「ホノカちゃんは今、バンスナ倒すのに忙しいの! アンタらに構ってる暇ないんだから!!」
一方的に言うだけ言って、魔法使いの少女は立ち去る。
レオナルドは平静に周囲の様子を見回す。僕もつられて確認したが、変な視線は感じない。
「店に戻ろうぜ」とレオナルドが耳打ちしたのに、僕は頷いて転移をした。