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一面ボス戦

 

 いよいよ一面のクエストが始まる。

 今までとは異なり、頭上には夜空が広がり暗黒に包まれた森がボスのステージだった。

 すると、チュートリアルで登場した妖精『しき』が姿を現す。


「みんな! ここから先に強い妖怪がいるヨン!! 今まで戦って来た妖怪とは違うヨン、気を付けるヨン!!」


 しつこい語尾を強調させつつ、彼女は助言を終えると七色の粒子化して姿を消した。

 周囲の雰囲気も影響の一つになるが。


『しき』の警告で初心者の鍛冶師と武士の二人は、緊張気味になっている。


 格闘家の少女や、剣士たちは、ゲームでよくある演出だと深く受け止めていない。


 臭い前振りに呆れた様子のレオナルド。


 問題のカサブランカは『しき』の存在に目もくれず、周囲を見回していた。


 僕たちがステージに降りた位置から前方、真っ直ぐに道なりは続く。

 リーダーの剣士が先頭になって、僕らは奥へ向かう。しかし、先は見えない。

 もしや、既にボス戦は始まっているのか?

 僕がレオナルドに声をかけようとした時。カサブランカは静かに大鋏を取りだすと――()()()()()()()()()


 彼女の異常な行動に反応したのは、僕と格闘家の少女だけだった。

 僕の予想通りだ。

 カサブランカのSTRは、大鋏の刃を片方ずつ持ち二刀流にする為の割り振り方なのだ。

 大鋏はレオナルドの大鎌より軽い。片方だけなら剣より少し重い。

 鋏の状態なら攻撃範囲は限定されるが、分解してしまえば剣を二刀流で持つのと変わりなくなる。


 だが、彼女は剣のように刃を振るうのではなく。

 持ち手部分にレオナルドから貰った糸を括り付け、刃を回転させ始めた。

 風を切る音で誰もが振り返った瞬間。彼女は躊躇なく一点に向け、刃を飛ばす。


 ポッカリと虚空に開かれている裂け目に刃が飛び込むと、何かに刺さり、裂け目から甲高い鳥の鳴き声が響いた。


「みんな、伏せろ!?」


 剣士が叫んだところで、格闘家の少女は舌打ちをして僕らの隊列から飛び出す。

 少女は、カサブランカに先越された事を腹立っていた。木々の間から他の裂け目を探す。

 一方、僕は剣士の彼が叫ぶよりも前に、レオナルドの体を突き飛ばし、転倒させ、僕もそのまま倒れ。レオナルドの背後を守る。僕自身は籠を背負う事でガードした。


 遠距離から矢が連続で射貫かれる。

 油断していた魔法使いの女性が頭部を攻撃され、一瞬で体が粒子化した。

 頭部への攻撃は急所判定だろう。レベルの低い僕らは、即死に近いダメージを受ける。


「ぬう!? こりゃいかん! 『挑発』!!」


 慌てて盾兵の老人が挑発で攻撃をひきつけようとしたが、逆効果だった。

 彼の死角。盾で防御不可の背後から矢を撃たれ。他にも無数の矢を連続で受けると、魔法使いの女性と同じく粒子となって消滅してしまう。


「う、嘘!? ちょ、メイン盾消えられたら、キッツ……」


 聞き覚えない声が耳に入る。

 寡黙を貫いていた銃使いの女性のものだった。

 ヘイト役の盾兵がいなくなっては、遠距離型の銃使いと弓兵は不利になってしまう。


「見つけたぁ!」


 格闘家の少女が、漸く裂け目に一撃。正しくは、裂け目から顔を覗かせていた巨大な鳥の頭部に拳を叩き込んだ。まだ見ぬ鳥の咆哮が響き渡る。他にも数体いる。複数体のボスだった訳だ。

 レオナルドが小声で「おい!」と呼ぶのに、僕は我に返った。


「ごめんよ。でも、伏せたままの方が良い。それよりもレオナルド。『ソウルターゲット』だ。あの敵には有効なはずだ。きっと不意打ちを狙えるよ」


「ふ、不意打ちねえ……」


 レオナルドは倒れた体勢のまま、手のひらに魂を灯す。

 魂は、所謂『人魂』と称される青白く浮遊する火の玉だった。


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