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助っ人


<夏イベント第一弾 真夏の料理店コンテスト>

 初の生産職向けイベントが開催!

 夏の層をより一層熱気に包む、美食の芸術を競う闘いが今、始まる!!


~イベント参加について~

 イベントの参加は出店枠と審査枠で分けられております。

 出店枠で参加した場合、審査枠には含まれず、他店の飲食によるポイント獲得は不可とさせて頂きます。

 また、審査枠で参加した場合、店の営業に加担するのは不正行為とみなします。


※店の営業妨害、他プレイヤーを不快にさせる言動等を行った場合、

 強制退去・今イベントの参加権を剥奪します。

 他プレイヤーのご迷惑にならないよう、よろしくお願いします。


~イベント開催期間~

 一次予選:7/9、7/10 18:00~23:59

 二次予選:7/17

 決勝戦:7/30、7/31


~イベント参加報酬~

 ・貢献度1000ポイント

 ・夏石×100


~イベントの流れ~

 <一次予選>

  夏の層全体が大規模な予選会場となります。

  出店枠で参加されるプレイヤーの皆様には用意された仮設店舗を自由に改装していただき、

  料理を提供。

  二日間、より多くのポイントを獲得した上位10店舗が二次予選に進出します。


  審査枠で参加されるプレイヤーの皆様は、料理の注文、料理の完食、

  店の接客・内装等を含めた評価をすることで限定アイテムと交換するポイントを獲得します。


  一次予選の詳細なルールは以下の通りです。



=出店枠=

 ・参加申請は7/5 23:59までとさせて頂きます。

  同時に提供する料理(※最大五品)の提出。

  従業員の登録をお願いします。7/5までに登録しなかった従業員は出店枠の参加はできません。

  ご注意ください。


 ・7/6 09:00に全店舗の配置図を公表、店舗の改装を解禁します。

  店舗に最低限のテーブル席がない場合、または食器類がない場合、

  営業不可として参加を認めません。

  店舗の改装は7/8 23:59までとさせて頂きます。

  以降、装飾品等の配置は行えません。


 ・予選期間の7/9、7/10共に23:30の注文をラストオーダーとします。


 ・食材不足が発生した場合、提供可能な注文をラストオーダーとみなし、

  その日の営業を強制終了させて頂きます。

  食材の備蓄等を事前に持ち込む等、対応をよろしくお願いします。


 ・お客様の行列による混雑時、運営側から助っ人NPCが派遣され整備誘導を行います。


 ・料理の注文数×100ポイント

  料理の完食数×300ポイント

  店の評価である星の数×500ポイント

  以上の合計ポイントで順位が決定され、獲得したポイントは限定アイテムと交換可能!



=審査枠=

 ・イベント開催前から終了時まで、いつでも参加していただけます。


 ・料理一品につき100ポイント、料理の完食で300ポイント、

  店の評価をつけることで500ポイント獲得できます。獲得したポイントは限定アイテムと交換可能!



 ※イベントポイントは二次予選、決勝戦にも引き継がれます。

 ※二次予選、決勝戦の概要は一次予選終了後に公開します。



~イベント限定アイテム一覧~


…………


………


……





 イベント概要に関しては、こんな具合だ。

 そして、ムサシの件や『神隠し』の件で悪目立ちしてしまったせいで、概要が発表される前から色んな生産職が『ワンダーラビット』を訪ね、タッグを組もうと頼んでくる。


 正直、僕はウンザリしていた。

 これも少しの辛抱。時が経つにつれて落ち着くだろうと信じたい。

 ……訳あって、僕とレオナルドは『出店枠』で参加する。

 ただ、僕らだけが抱える問題が重く圧し掛かっていた。


 それは料理を僕一人で受け持たなければならない事。

 調理場に出入りする薬剤師の()()が料理に影響を及ぼす以上、僕以外に『()()』の薬剤師がいて欲しい所。

 それに加え、料理を運ぶホールスタッフも調理場に出入りする以上、全季の方がいい。


 そう。これが一番厄介で面倒な奴だ。

 プレイヤーに設定された隠し属性『季節』。


 これは従業員以外にも、客の季節も考慮して料理を考えなければならない。

 『季節』を絞った料理店にするか。

 全ての『季節』を対応する為、幾つも調理場を作り、仕切るか。


 僕らが全季で統一すれば、どの季節のプレイヤーも集められるが、テーブル席は少なめにし。一部、整理券の配布を行いたい。

 これが可能か、現在、運営に問い合わせ中だ。

 向こうの返答が遅れているのは、整理券の配布が想定外の発想だったのかもしれない。


 ただ、それでも。

 僕とレオナルドの二人だけで、やり切れる自信は到底ない。

 苦渋の決断だったが、唯一頼れる『全季』のプレイヤーに頼んでみる事となった。


「……どうですか、()()()()()。他の店舗と既に組まれたなら、そちらを優先して全然構いません」


 意外というか。

 僕も正直、驚いてしまった。

 僕らが『新薬』販売を行う際、茜たち、他プレイヤーの『季節』を鑑定した際、彼も僕らと同じ『全季』だった。


 プレイヤー全員に周知されてしまうほど、割合が少ない『全季』。

 現時点で、僕とレオナルド、ミナト、カサブランカ。

 薬剤師系オンリーギルド『ヒュギエイア』のギルドマスター・オズワルド。

 全ギルドランキング第一位に君臨し続ける『太古の揺り籠』のギルドマスター・琥珀。

 あと、格闘家系のジョブ3『武闘家』に昇格したギルドマスター。名前はなんだったか。


 とにかく、全季はこの七人だけ。

 基準は分からないが、もう少し割合を増やして欲しいくらいだ。


 僕がミナトの店に赴き、イベントで使用する制服の依頼をする際、彼に尋ねてみた。

 常に平静なミナトだったが、この時ばかりは手元が石化したように静止し。

 ぎこちない様子を見せる。

 不満、よりも納得いかない、もどかしさを感じさせる表情を浮かべつつ、ミナトは言う。


「私以外に………全季の方は、店にお訪ねにならなかったのでしょうか」


「はい。SNSや攻略サイトの情報を真に受けるつもりではないですが、やはり全季のプレイヤーが少ないのだと思います」


「……そうですか」


 妙に重い雰囲気を醸すミナト。

 改めて、彼の人格は……想像つかないほど読めない。

 物事に動じない性格だと、普通なら判断する。僕も最初はそう思っていた。

 だが、やはり彼の奥底には何か秘めていて。

 ひょっとしたら、僕と同じ。無暗に面倒事へ首を突っ込みたくないタイプなのかも分からない。


「わかりました。私でよければ手伝います」


 …………

 既に彼の表情は落ち着きを取り戻し、いつもの平静さを保っている。

 一体、どういう……何故だ? 本当に意図が分からない。

 いや……自分に面倒な役回りが押し付けられた嫌悪さではなく、他に全季のプレイヤーが現れず。自分が選ばれた事に困惑していた――のだろうか?


 一先ず、僕は営業スマイルで「本当ですか、ありがとうございます」と告げた。

 ミナトは淡々と話を始める。


「ルイス様とレオナルド様の目的は――こちらでしょうか」


 彼が指し示したのは『イベント限定アイテム一覧』にある交換必要ポイントが最も高い、特別な衣服。


『浅葱色の薄衣』

  効果:MP自動回復(薬剤師系プレイヤー装備時、SG自動回復)


 『神隠し』イベントで入手したのと同じ、スキル付与された衣装。

 しかも『MP自動回復』は通常のスキル付与にない特別スキル。

 これを狙うプレイヤーは多いだろう。

 魔法使い系のようにMP消費が激しいジョブは、夏季バトルロイヤルに向けて入手したい代物だ。


 確かに、これが僕らの狙いだった。

 レオナルドは『ソウルターゲット』や『ソウルシールド』『ソウルサーチ』でMP消費は避けられない。

 彼がカサブランカ目的で、夏季バトルロイヤル参加の意向を示している以上。

 今度こそ、勝つ為の作戦を立てて挑もうと彼に約束した。


 ただ、刺繡師系はMPの使用が変わっていて、この衣装の恩恵は無意味に等しい。

 ミナトがイベントで狙うのは、恐らく作製成功率上昇が付与された武器や素材になる。

 僕は申し訳なさを前面に「そうですね」と答える。


「バトルロイヤルに参加するうえで、レオナルドには必須の衣装なもので、どうしても欲しいんです」


「いえ。これは仕方ないでしょう。審査枠で入手できるか怪しい交換ポイント数です。微力ながらお力添えさせていただきます」


 改めて、ミナトの表情を伺うと真剣かつ本気の目つきだったものだから。

 ますます、彼の心中が理解できなかった。





 凡人の私が、尊き存在と肩を並べるなど、おこがましい。

 ……不届き者が足を引っ張るよりは、良いと思いたい。




ブクマ数314突破しました!

新たに評価ボタンを押して下さった皆様もありがとうございます!!

さらにさらに、累計PVが20万超えしました!!

これほど皆様に見て頂き感謝で一杯です。

続きが読みたいと思って頂けましたら、ブクマ・評価の方を是非よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 僕のフレンドの周りが鬱陶しい 全員やべーやつなんじゃ…… [一言] 前回のチャラクラスメイト君もう登場してるのかな 誰だろう
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