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006:中間報告と今後の予定

主人公が全く活躍しません。

まだ、活躍出来るだけの下地が無い、初期開発フェーズだからなのですが。

 「”仮想PC”は暫定版が完成した。

 併せて、スクリーンエディタと開発環境の強化も、単体試験レベルだが、皆に見せられるところまで実装した。

 これでトシとした約束はクリアしたと思う。確認を頼む。」


 パーティ毎にチェックを受ける、”パーティ連携チェック”を控え、俺の開発はある程度進んだ。

このタイミングでパーティに公開するのは、”魔法”や”物理”を”解析”で取り込み、自分用にカスタマイズする為だ。

同時に、”俺が出来るようになった事”を、パーティ内で把握して貰う事にする。


連携練習用に準備されている空き地で、俺はちょっと誇らしい気持ちで”仲間”に宣言した。


 「解った。それじゃ、まずは起動からだな?

 このファンタジー世界で、PCに似た環境を、どう実現したのか、それを見せて貰おう。」



----------


 「任せろ、”ウェイクアップ”」


 俺の発声をトリガーに、キーボード、マウス、2x2で都合4枚ののマルチ画面、細かいところでは小型のカメラとマイクが、俺を中心に半透明で出現した。

これら一式は、まだ俺以外には触れる事が出来ない。

しかし、見た目は間違い無く”仮想PC”と呼んで差し障りが無い範囲に収まっていると思う。

”ギフト”扱いのショートカットに”ウェイクアップ”を設定して、今後は”ウェイクアップ”の発声で”疑似PC”が起動する。


 「デフォルトの出現位置は、これで行くのかい?」


 「まあ、”召喚”される前に、俺があっちの世界で使っていた開発環境の再現だからね。

 まずは、俺が使いやすい位置に配置するのは正しいと思うんだけど、どう思う?」


 「使う人が、使いやすい位置に配置するのは当然だろう。

 むしろ、これだけ”本物のPC似せて作った事”に驚いたよ。

 確かにこれで、”俺との約束”は”クリア”で良いんじゃないな?」


よし!

パーティのリーダーからOKが出た。

これで、俺の中の”TODOリスト”の項目が、一つ消えた。



----------


 「これを、一人で作ったんですか?」


 「まあ、外観や使用感はともかく、実装全部は一人じゃ無理だった。

 キーボートやマウスに見えるのは”ゴーレム”で、動作のカラクリはユイの属性ライブラリからの流用品だよ。」


 実は、開発中、何度か気力と体力の限界が来て、サクヤの”回復”のお世話になっていたりする。

気力は回復しないのだが、体力が回復されると、変な高揚感や無力感は消え、少なくともグッスリ眠る事は出来た。

彼女の助力が無ければ、俺は早い内に壊れていたかも知れない。


 「この世界で、まさか”パソコン”を見られるとは思っていませんでした。」


 「俺も、まさか、この世界で、”疑似”とはいえ”PC”を使うことになるとは思ってなかっよ。」


 「これで、私のモチベーションも上がりました。

 ”無属性”で”タブレット”経由に限定された環境から、これだけの物が出来たという事は、

 ”カーニハン式”という”属性”持ちの私は、もっと魔法を使えるようになるはずです。」


うん。

ちょっとナチュラルにディスられた気もするが、そこは気にすまい。

何故なら彼女は、同じくナチュラルに、俺に”心身共に健康な状態”を維持してくれた恩人だからだ。



----------


 「あの”クリエイトゴーレム”から、”仮想PC”まで持っていくのは凄い。」


 「”タブレット”の”解析”も利用してるから、間違っても俺一人で作った訳じゃ無いよ?」


 「”タブレット”は貴方専用の”ギフト”。それを使いこなしているなら、この世界では、それは貴方の力。誇って良い。」


”壁”、”回復”、”加重”のどれかを実装するという当初の目的は変わってないが、実装する為の道具を作る過程で、先に”クリエイトゴーレム”を再現する事になったのは、間違い無く俺の計算違いだ。

だが、俺の計算違いを責めるでも無く、むしろ高評価してくれたユイには、しばらく頭が上がらない気がする。

具体的には、”宿題の実装”後、すぐに取りかかるのは”ユイの魔法の強化にしよう”と思う程度に。


口には出さないが、その過程で、”使える部分は俺のライブラリに取り込み、まずは自分を「近接物理のダメージディーラーにしよう」という企み”も有る。

何より、「解析後の動作実績が有る”ヴィルト式”なら、一番実装が早いだろう」と俺のエンジニア魂が言っている。


 「でも、ユイの力を一番流用させてもらったのは間違いじゃない。

 モニタに見える部分は”タブレット”のサイズ拡大版みたいな物で、カメラとマイクは”タブレット”の機能限定小型版みたいなものだけどね。

 それを除けば、この”疑似PC”に一番利用させてもらったんだから、

 一番初めは”加重”を再現しようと思っている。

 これが可能なら、ユイからの宿題でもある”魔法の底上げ”の足がかりにしたいと思う。」


 「うん。期待している。」


 「全力で答えてみせるよ。」



----------


 「何処からどう見ても”半透明のパソコン”なんだけど、これ、会計とか在庫管理とかに使えない?」


 「ゴメン。マサミちゃん。それはまだアプリが無い事と、俺以外に使用出来ないから無理。

 だけど、どっちも遠からず準備するから、しばらく待って。」


 彼女は、俺の予想と全く異なる、事務屋さん的な事を言い出した。

確かに、残り二ヶ月ちょっと後に、パーティレベルで出立する事を仮定すると、次に必要なのはきっと、金銭管理や、武器、ポーション等の在庫管理の可能性は否定出来ない。

なにせ、金銭管理は”衣食住”の基本なのだから。


こういう”ユーザー目線の意見”は大事だ。

俺のTODOリストに追加しておこう。


 「残念だけど、俺の今の能力じゃ、マサミちゃんの要望は何一つ実現出来てないんだけど、

 俺自身の理解が進む事と、これから色々実装すれば経験値やノウハウが溜まるだろうから、

 マサミちゃんの宿題は、悪いんだけどしばらくペンディングの方向で。」


 「まあ、仕方ないわね。

 ”魔法の待機時間無しの連発”とか”事務用PCの準備”とか、素人目にも難しいと思うもの。

 むしろ、”解決出来る”とか、時間と順序の問題が解決した後は、”確実にやる”と断言出来る頼もしさは、

 きっと他のパーティには無い物よ。」


 「そう言って貰えると、少し気が楽になるよ。

 何時も気を遣わせて悪いね。」



----------


 「それで、実はここからが本番なんだけど、”タブレット”よりも”処理能力が上がった事”が確認出来たので、今度はみんなの”物理的な動作”を”解析”させて欲しい。

 これは予想なんだが、”魔法が絡んだ時の動作の最適化”には”属性ライブラリの補助”が使われていると思う。

 解りやすいところでは、”壁”使用中のトシの手の動き、とか”加重”を使用して”物理行使している時”のユイの動作全般とか、そういう奴。」


 「個人的には、”加重”、”回復”、”壁”の順番にしたい。理由は”攻撃”、”回復”、”防御”の順にした方が、あの下種野郎みたいな奴への抑止力になると思うし、実際に城から出て魔獣討伐するような研修に移った場合、このパーティーで最初に埋めるべきは”火力”だと思うからね。」

 「今回は、残り3日で、パーティ以外の連中に、”俺に何かが出来る”と認識させる事を重視しようと思う。」

 「これは、変な言いがかりや、引き抜きに対する抑止力だと思って。」

 「俺は、俺が引き抜き対象に成る心配は全くしていないけど、俺以外が引き抜かれる事も了承しないと決めた。恩を返しきれないうちにサヨナラするのは了承出来ない。」

 「少なくとも、この城を出て行く時には、このパーティで活動したいと思っている。」


 ここまで一気に、俺の考えをぶちまけた。

すると、今まで変化球ばかり投げてきたマサミちゃんからの突っ込みが入った。


 「ここまでの話は解ったわ。ところで、私の協力する余地が無いように思えるんだけど、それに意図は有るの?」


やっぱり、そう思うよね?

でも、それはマサミちゃんのせいじゃない。


 「実は、みんなから聞いた”属性ライブラリ”の話と、実際に解析してみて解った事からの確度の高い推測なんだけど、

 マサミちゃんが使う”ストロヴストルップ式”は、一番大変なんだよ。

 ハッキリ言うと、元々の成り立ちがサクヤの”カーニハン式”の欠点克服が目的の流派だろ?

 起動式や励起状態を解析した結果、”ストロヴストルップ式”は”カーニハン式”に安全マージンを突っ込んだり、

 ”ループ回避アルゴリズム”を追加したりしている。

 つまり、現在の俺じゃ、解析しても実装出来るところもまで持って行けるだけの時間が無い。

 これは”ストロヴストルップ式”やマサミちゃんが悪いんじゃ無くて、今現在の俺の能力が足りてないからなんだ。」



 「ついでだから、解析からの俺の予想を披露しておこう。」


 「サクヤの”カーニハン式”は無駄が無いけど安定度に欠ける。使う側の練度が要求される流派だと思う。

 ”対象特定”や”実行手順”は、”魔法無しで物理学前提でもこうなるよな?”という、納得しやすい構造をしている。

 非常に理にかなった起動式だから、多分魔力に無駄が少ない。

 その代わり、安全マージンが無いに等しいから、集中力と練度がモノを言うと思う。

 多分、使いこなせれば”最適”で、流派を自分で選べるなら、俺は”カーニハン式”を選ぶね。」


 「トシが使う”ゴスリン式”には、他の流派には無い特色がある。

 それは”制限無しなら全力ブッパ”する起動式にある。

 まるで”魔力は無尽蔵”とでも言いたげな構造の起動式に対して、”今回はこれくらい”という感じに”範囲を狭める”起動式が追加される形になっている。

 ”詠唱が長め”で”必要リソースがデカイ”原因は、”範囲縮小にリソースを割いているから”だと思う。

 毎回”対象を絞り込む”のに苦労してないか?

 さらに”全力ブッパからの縮小”という過程上、発現前に確保される魔力リソースがデカイから、実際に発現した後の安定化よりも、詠唱中の準備段階の方が、負荷が大きくないか?

 それから、多分、座学じゃ重要視されてないと思うんだけど”ビーンズ”はマスターした方が良いと思う。

 アレは”ヴィルト式”の速度と競争出来る速さで起動するうえに、要求リソースが少ないから短時間に連発出来る。」


 「ユイが使う”ヴィルト式”には、如何にも後付けされたかのような”ターゲッティング”と”自動追尾”が付いている事が多い。

 詠唱短縮すると、”ターゲッティング”部分と”自動追尾”が省かれる傾向があるから、”魔法行使対象が自分”というのは、”目標が他に無い”からだと思う。

 対応策は単純で、”自力の物理で確実に当てる”、これが最適解だ。

 ”自己強化”や”加重”、”加速”等々、”物理特化”だと思われがちなのは、戦闘中に許される短時間で魔法を起動させる場合、”デフォルトの的が自分自身”だと考えれば納得がいく。

 今回、”仮想PC”の開発に利用させて貰った最大の理由は、”どうせターゲットは俺”という割り切りが出来たからだよ。」


 「マサミちゃんの”ストロヴストルップ式”は、一番バランスが良い。

 ”カーニハン式”からの改変部分に”安全マージン”を何重か被せる構造になっているから、”ループ”や”誤射”が無い。

 その代わり、”ゴスリン式”の次位、”カーニハン式”よりも詠唱が長いだろ?

 あれは”安全マージン分のリソースの確保”だと思う。

 魔法行使時の必要総リソース量は、全力ブッパが前提の”ゴスリン式”の次に多いと断言出来る。

 だから、安全マージンが始めから必要無い”ターゲッティング”を多用して、火力は物理に頼るのは間違いじゃ無いし、

 逆に超近接状態なら”ターゲッティングの必要が無い距離”になるから、こちらもお勧め。

 ただし、”隠蔽”からの”奇襲”は、相手に悟られない程使い慣れる必要が有ると思う。

 俺に実装したら、”安全”で”確実”なんだろうけど、現状は複雑さが邪魔をして、俺じゃ弄れない。」


 多分、今まで、こんな形で”複数の流派を分析した馬鹿野郎”は居なかったと思う。

言った方も言われた方も、多分世界で初めてだろう。

この瞬間は、俺は俺を誇っても許されると思う。


・・・これで、”世界に対して自重しない”という誓いに近づいた気がする。



----------


 「さて、今までの結果と、ここまでの経験値に基づいて、開発しやすいのは”ヴィルト式”という事になっているので、一番始めは”加重”から実装したいと思う。

何故なら、見た目が派手で第三者に解りやすく、”属性ライブラリの解析”が一番進んでいるのが”ヴィルト式”だからだ。

現在、

・開発環境が強化されている事。

・”解析”のおかげで”無属性扱いのオペランド”が入手出来ているので、これを以前よりも効率よく利用出来る事。

・試験手順を単純化できた事。

これらを踏まえ、


 「1日で、”たたき台”を作ってみせる。」

こう強気に出てみた。


 「”遊撃”として考えた場合も、まず確認されるのは”近接物理”だろうという、俺の予想も有る。

 ”ユイと俺が前衛物理のダメージディーラー”と認識されれば、他の”ヴィルト式が多いパーティ”以外には、脅威に見えるんじゃないかな?」


 「それは確かに有るだろうな。

 実際、”ゴスリン式だけのパーティ”の奴にちょっと聞いてみたんだが、

 ”全員遠距離火力”がどこまで通用するのか、

 それ以前に”そもそもパーティとして使えるのか?”が解らないと言っていた。

 一応、”ヴィルト式の人の勧誘も視野に入れるべきだ”と意見しておいた。

 どこまで俺の話を聞いてくれるかは、完全に未知数だけどな。」


 「今、他のパーティの話が出ましたが、私達に敵対的な人達にも情報を与えるつもり?」


 「そこは、ケースバイケースの部分も有るけど、俺がいるせいでこのパーティは目を付けられている可能性が高い。

 だからこそ、”有益に思える”範囲で、”俺達が不利にならない情報”は公開して、”自分達から能動的に敵対する意志は無い”と示すべきだと思う。」


 「私も”最低限の情報公開”には賛成かな?同郷の人の命が軽いのは、寝覚めが悪いよ。」


 「よし、それじゃリーダーとして、”俺達に不利にならない情報に限り”情報公開は逐次行っていく、

 という事を、ここで決めておこう。」



 「次は、”俺達のパーティの基本戦術”の話にしたいんだけど、

 俺とユイは、同じ”前衛物理”で、基本動作は同じでも、目的というか、指標が全く違うと思う。

 ユイには是非、”身体強化”と”加速”をメインに、要所要所で”加重”を使う戦術を、最前線でお願いしたい。

 俺は”前衛”の位置に留まって、ユイの打ち漏らしを”加重”で片付ける。

 その隙間をマサミちゃんの弓か槍で始末する。

 トシは”完全無欠の壁”を続けながら、指揮をお願いしたいと思う。」


 「その連携は、今後も使用していく予定かい?」


 「勝手な話で申し訳ないんだけど、現状じゃ”俺がどこまで出来るか解らない”以上、”俺が居ない時”にも最低限の形が成立するフォーメーションが望ましいと思う。

 それは”勝てなくても負けたり死んだりしない事”を前提にすべきで、これはトシの”壁”が大前提で基本。

 そこから”前衛物理”と”後衛物理”を攻撃の主軸において、被ダメージを”回復”で治す。

 ここに”遊撃”扱いの俺が、どれだけ使えるかで”パーティの総合火力”が決まると思っている。」


 「意味も無く”遊撃”扱いしている訳じゃない。そこは任せて。

 貴方無しでも、しばらく一人で前衛で攻撃が続けられるようにすれば良いだけ。」


 「・・・やっぱり俺、要らなくね?」


 「そこで変に落ち込まない。攻撃を受けちゃっても”回復”頑張るから、

 衣食住を気にしなくていい今のうちに、何か目処を付けちゃおうよ。」


 「いや、やる気は有るんだよ?でも、何の実績も無いのは不安でさ。

 ”全力だけと役立たずでした”じゃ、みんなの命がヤバイ。」


 「そうそう。一回聞こうと思ってた事が有るのよ。」


 「何?マサミちゃん??」


 「”疑似PC”ってアレ、作っている時に、シェル?とかバッチ?とか言って、

 ”開発効率が上がる”とか言ってじゃない?」


 「言ったね。”シェルが実装されてて良かった。”とか”バッチ処理で試験と確認の効率化が出来た”とか、そんな感じで。」


 「で、思ったんだけど、その、シェルとかバッチって、戦闘時に使えないの?」


 「・・・え?」


 「いや、だから、”相手を決めて””相手の近くまで移動して””攻撃して””元の場所に戻ってくる”って行動を、

 一纏めにして自動化出来たら・・・」


 「「それだ!」」


 「それから、”ギフト”にショートカットが複数設定出来るなら、いっその事”一纏めにした物”のバリエーションを何種類か準備して、

 状況に合わせて使い分けたら・・・」


 「「それだ!」」


 「なんで気付かなかったんだ!

 そうだよ。”戦闘シェル”だよ。さっき俺が提案した、”動作の解析”が上手く行けば、俺は起動するだけで、後は勝手に体が動くはずだ。

 今回実装する”加重”だって組み込める。

 基本動作はユイの動作を元にさせて貰えれば、”近接物理”の動作パターンは解るはずだし、

 奇をてらった動きなら、マサミちゃんを参考にすれば良さげだ。

 ”ストロヴストルップ式”の中でも、”奇襲”に使える”隠蔽”は、詠唱が短かったと思う。」


 「実際、それが実装?出来るのかは解らんが、ターゲットを決めたら”全自動一撃離脱”って発想は無かったな。

 これは良くないかも知れない部分だと思うんだが、多分それ”一度動き出したら最後まで止まらない”だろ?

 ”確殺”から”戦闘不能”まで、相手に与えるダメージ量か、狙う場所で、何種類か準備すれば応用が利かないか?

 単純な物から始めて、複雑な物は後から改造していけば良いんじゃないか?」


 「どうせこの先も、俺は俺自身の底上げに、”剣術”や”槍術”みたいな”フェイントを入れた型練習”に割く時間は取れないと思う。

 ならば、いっそ、その辺は切り捨てて、”俺の体を、俺の意志で、決められた形で動作させる事”だけに集中して、そこに”魔法”も織り込んで、

 最近のCGやゲームに使われている”モーフィング”に特化すれば・・・

 始めは”サンプルと俺の、手足の長さの違いとかが原因で骨折”とかするかもしれないけど、それは”回復”頼みでクリアして、

 そこを”俺用に最適化する”か”差分を吸収する俺専用ライブラリ”が実装出来れば・・・クリア出来る!」


 「私の”回復”が、見事に作業の一部になってるね。」


 「私の”近接物理”なんか、サンプル扱いよ。」


 「みんなゴメンねぇ。あたしが変な事言っちゃったせいで・・・」


 「「いやいや、そんな事ないから、気にしないで。」」


 「よし、パーティ内のネゴは終わった物として、タクトは死ぬ程開発を進める事。

 これは”パーティの総意”であり”本当に死んでしまわない事”の布石でもある。

 各自、タクトから協力を依頼された場合、最優先で協力する事。

 これで良いか?」


 「「「「異議無し。」」」」



 「ところで本筋から外れるんだが、”俺の動作サンプル”とか”魔法”は要らないのか?

 その辺、ちょっと気になるというか、モヤッとする部分が有るんだが。」


 「悪い。”壁”が1人で頼りになり過ぎる事と、”壁”使用時の動作に制限を加えたくない事、

 さらに”壁”発動中の動作って、”手を向ける”意外に有ったか?

 魔法は”上位の壁”が有れば、それは是非欲しいところだけど、まだまだ経験が少なくて弱っちい5人パーティで”壁2枚”は防御に振り過ぎだろう?

 それは確かに”死ににくい”けど”勝てる相手にも勝てない”可能性が高いと思う。

 逆に”俺が壁役を引き受けた”場合、トシの”ゴスリン式”での攻撃になるけど、

 ”デフォルトが全力ブッパの範囲攻撃”って、方向的には”敵が強力で数が居る場合の、最後の手段”じゃないか?」


まずは正論を吐いてみる。


 「それと、これも悪意が有る訳じゃ無くて、”ゴスリン式”もちょっと敷居が高い。

 これはさっきも話したけど、”デフォルトが範囲系で、範囲系の最小値としての個人”という概念自体が、他と違いすぎててなぁ・・・」


 「・・・悪かった。確かに言われてみればその通りだ。

 今の俺達に”防御を1枚増やす事”や”範囲攻撃自体”が意味を成さない。

 というか、明確に”固過ぎる”し”オーバーキル”だと、俺も思うな。」


 そうなんだよ。”ゴスリン式”も解析が進めば”部分的に使用出来る”か、逆アセンブルで”無属性化”したうえで”強力な遠隔範囲攻撃”として是非欲しいんだが、現状じゃオーバースペック過ぎるのと、”俺がどれだけ使いこなせるか?”が未知数過ぎて、優先順位を上げられないんだよ。

トシが使う”ゴスリン式”は、詠唱が総じて長めで、即効性が低い。

即効性だけなら、使い勝手が宜しすぎる”威圧”と”挑発”を含む、”ゴスリン式では”亜流扱いの”ビーンズ”の方が高いと思う。

”威圧”と”挑発”だけは”ヴィルト式”より速いってのは反則級だと思うけど、こっちに軸足を置くと、結果として”前衛防御型特化”で”危ない相手を含んだ交渉窓口”になるんだよな。


パーティのリーダーには向いていると思うので、絶対に、

「”前衛防御特化”型、即ち、”ガーディアン”と呼ばれる上級な盾系騎士を目指すべき。先頭を切って皆を守り、戦闘で的確な指示を出す。最高に格好良いじゃ無いか!

それに”最前線で死ぬ心配が少ない指揮官”って、士気が無茶苦茶上がるぞ。」

と言いくるめるつもりだ。

俺としては、

「ついでに、”交渉窓口”を頼む。リーダーだし。」

と、さも、こちらがついでの様な方向で、全力で説得する。


俺?

俺は”ピーキーな性能にならざるを得ない”ので、威力を伴う”交渉窓口”は出来ないと思う。

どちらかというと、

「すいません、先生!出番です!!」

「・・・はいよ。」

の”先生役の方”だろう。

”初見殺し”なアレやコレなシェルを準備しておけば、多分大丈夫。


とりあえず、まあ、「”中間”報告」としては、こんな物だろう。

TODOリストが増える一方なのは、どうかと思うけどな?


「魔法の無属性ライブラリ化」と「戦闘動作の無属性ライブラリ化」という基本開発方針と、

「”無属性ライブラリ化”した”魔法”と”戦闘動作”を”シェル”で包んで任意に起動」という、

主人公の戦闘スタイルが決定されました。

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