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001:何言ってんだ、此奴ら?

投稿仕様がよくわからず、色々問題が有るかも知れませんが、「1ネタの思いつき」で書き始めたモノなので、出来れば末永くお願い致します。

 俺には「言語理解」という「転移、転生、勇者物」の定番の能力が無いらしく、偉そうに何やら演説していた胡散臭いおっさんが何を言っているのか理解出来ない。

次に出てきた、いかにもな美人のお姉さんも、この状態を作り出した犯人の一味に違い無い。悪いが、仮に”姫”とか”神官”とかでも知った事か。きっと美麗字句を並べるか、懇願でもしているのだろうが、俺からの印象は、この”特に犯人を見いだせない放置プレイ”で最悪だ。

日本人っぽい顔をした人達が多めに口にする”ギフト”とやらも、何の事やらさっぱりだ。何で俺と同じ境遇っぽい日本人顔の集団は、ナチュラルに耳にした事が無いと思われる言語でやりとりしているのか理解出来ない。

認識出来る他人が発する単語の一部が、多少”片仮名っぽく認識出来る程度”であり、どうやら一堂に会した日本人顔の他人様同士や、どう見ても日本人らしくない方々同士との、発声による会話らしきやり取りに対して、俺の持つ能力は互換性に乏しいらしい。

少なくとも俺の能力に即効性は無い気がするので、指示が分からないのに”前衛で壁”などは勘弁して欲しい・・・等と現実逃避しかかったとき、日本人っぽい人達だけを残して、誘拐犯達が出て行った。


----------

 自分以外は「言語理解」が与えられ、何故か一人だけ「理解」という単純化されたギフトを与えられている「高柳拓人」は、自分以外が談笑する中、日本語のみしか理解出来ず、途方に暮れていた。


 日本人っぽい人を相手に、日本語での意思疎通は出来ることに気付いた拓人は、とりあえず情報収集を行う事を決めた。

今現在、この場所に残った相手には、色々教えて貰わなければならない。

故に、まずは、

「私は高柳拓人と申します。

 皆さん、どうやら私には、皆さんのように、彼らの話す言語が理解出来ないみたいです。

 先程までの彼らの話、私には宇宙人が話しているようにしか聞こえませんでした。

 申し訳ありませんが、彼らの話を私に日本語で教えていただけませんか?」

と、下手に出てみる事にした。

自分にも与えられたらしい”ギフト”と呼ばれる特殊能力が、言語的に間接的すぎて訳が解らなかったからだ。



----------

 ・・・おかしい。

俺以外の人達には、「言語理解」、「収納」、「地図」、「移動」、「記録」という、共通した”ギフト”とやらが有るらしいが、俺には無い。

少なくとも「言語理解」が無い事は確認済みだし、「収納」も「地図」も、発声しても何も起こらない。

”ギフト”は”ギフト”と思い浮かべれば、自分のギフト一覧が思考に流れるらしいのだが、今の俺には2つ、少々あやふやな感じが追加で2つ程流れる感じだ。しかも不愉快な事に”空欄らしき感覚”が有る。あくまでも感覚的にだが、まるで俺の脳内にマスク処理された領域が有るようで、慣れるまで時間がかかりそうな気がする。

とりあえず、ハッキリ確認出来た1つ目。

「理解」って何だよ?

何を「理解」すれば良いのかが、さっぱり理解出来ない。


 「理解」以外で俺の頭に浮かんだのは・・・「タブレットウェイクアップ」・・・って、おい!!


 親切な日本人の方に「パッシブなギフトの基本は発声で起動」と教えて貰えなければ、試す事さえ出来なかっただろう。

ありがとう!親切な人!!今この瞬間、この世界で俺の味方はあなただけだ!

ところで「理解」は、どうやら「言語理解」と同じく「アクティブなギフト」らしく、発声したところで何も起こらなかった。この世界、俺には不親切すぎる気がする。

ついでに「アクティブなギフトの多くはON/OFFが可能」とか、不親切にも程が有る。

まあ「理解」という単語から連想される事象で、”ギフト”をOFFにする理由が見いだせないので、常時ONで何ら問題無いと思うが。

どうせ”他人からは「理解」しているかは判断出来ない”だろう?他人様に認識出来ないなら、それはただ単に”耳が良い”とか”目が良い”とかと変わらん。


 さて、とりあえず俺に使えそうな「タブレットウェイクアップ」を使ってみるとしよう。


「タブレットウェイクアップ」


・・・左手に、何故かリンゴじゃ無い方の10インチサイズのタブレットっぽいシロモノが出現した。

おいおい。そこはリンゴじゃ無いのか?

まあ、アイコンをタップすればアプリが起動するなら、少なくとも俺にも何か出来そうだと思いつき、とりあえずアイコンの名前を確認すると、「言語理解」、「収納」、「地図」、「移動」、「記録」という、先程親切な人に聞いた”ギフト”がアイコン化していた。画面がスカスカだな、おい。

俺の仕様は”可能な限り日本語”なのかもしれない。それなら「タブレット起動」が正しいのじゃないのか?

そういえば、昔読んだ翻訳本で、ゴーレム起動のキーワード「Wake up!」が「起きろ!」と訳されているのを見て、何とも言えない気分になった事を思い出した。


・・・え、ちょっとまって?

俺、毎回”ギフト”使う度にタブレット起動してからアイコンをタップして”ギフト”をアプリとして起動するのか?

勘弁してくれ。雨天時に野外で雨粒原因の誤動作でもしたらどうする?

誰が何をどうやって正常動作を保証してくれるんだよ?


それに、どうやらこのタブレットは、デフォルト設定は”自分にしか見えない”らしい。

動揺しっぱなしの俺は、他人様には”何も無い場所で一生懸命アイコンタップの動作をするアレな人”に見えたらしく、先程の親切な人に怪しげな目で見られた事に、俺は憤りを感じても良いと思う。この世界、俺には不親切を通り越して悪意が有る可能性を考慮すべきかも知れない。

とりあえず、「俺のギフトはタブレット経由で、のぞき見防止機能がデフォルト状態」と説明し、のぞき見防止機能をOFFにしてみた。

左上からの縦スライド操作で、アクションバーに有る”のぞき見禁止アイコン”のON/OFFが出来るのか。

まるっきりリンゴじゃ無い方そのままだな。

突然、世界観を無視したガジェットが俺の左手に姿を現し、日本人っぽい人達一同の興味が一斉にこちらを向いた事を、悪い意味で俺は一生忘れないと思う。

こんな注目のされ方は”喜ぶ”という感情が連動しない。非常に不本意だ。なぜならコイツは、俺以外には”内蔵I/F”がデフォルトで”俺だけ仕様違い”だからだ。珍獣に向けるような視線を受けて”喜ぶ”ような趣味の持ち合わせは無い。


抽象的な記憶だが、”武器カテゴリに魔道書が存在するタイプのRPG”ならば、”本を抱えた魔法使い”は後衛のダメージソースとして成り立っているような気がするが、30近いおっさんがリンゴじゃ無いタブレットを抱えても、”電子書籍を読みあさっている人”にしか見えないと思う。剣と魔法の世界っぽい場所で、積極的にやりたい役回りじゃ無い事は間違い無い。



気を取り直して、まず機能の方だが、「言語理解」は「自動翻訳アプリ」っぽい感じで操作可能そうだ。

俺がアプリを起動し、

「こんにちわ」

と話しかけてみたところ、

「xxxxxxxxxx」

という、訳が解らない、先程まで聴かされていた言語っぽいモノを吐き出した。

親切な人が、やや困ったような顔で太鼓判を押してくれたので、結果だけは信じる事にする。

いや、この場合、信じなくても検証出来ないのだから、これは”信じた”のではなく”思考を放棄した”が正しいかも知れない。


「収納」は、”タブレット”に放り込めば入り、取り出す時にアプリを起動して”取り出す品物を選択する”仕様っぽい。CAPに引っかかる程同じ物を突っ込んだら、アナログ的な差異はどうやって解決するのか、検証出来ない現状では皆目見当も付かない。例えば”42番目の何か”とかどうするんだろう?”生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え”は収納出来ないと思うが。

「地図」は、そのまま何処かで見たようなMAPアプリが起動したが、地図の元データが無いらしく、この部屋の壁より向こうは表示されない。中心に見える三角形のアイコンが自分の位置と方向なのだろう。

「移動」は、何処かに飛ばされる事を予想し、流石に実験を躊躇われたので、「記録」と共に後で個人的に試そうと思う。


 既に”俺だけ違う仕様”という、超が付く程の緊急事態を前に、俺以外の人達の自己紹介を聞き流してしまったが、どうやら俺以外も、俺と同じ時間軸、近い場所で召喚されたらしいという中途半端な内容しか頭に入らない。


俺以外の人達は、

「言語理解」はそのまま「マルチリンガル状態」だそうな。薄気味悪いような、羨ましいような、何とも言えない感じがする。”見ず知らずの何かに脳を弄られた”ような、キメラな蟻の”あっあっあっ”的な不愉快な連想と、”食パンを押しつけてから食す”的な連想が同時に起こったが、”これ、外部記憶装置実装しただけじゃね?電脳化的な感じで”という方向で飲み込む事にした。

「収納」は、発声して放り込む動作をすると入るらしい。取り出すときは”取り出したいモノを頭に浮かべる”感覚のようだ。品数が増えたり、同じ物を大量にぶっ込んだら、どんな動作をするのかは、俺には全く予想が付かない。まだ”タブレット”の方が便利な気がする。根拠も無いし検証も現状では不可能なので”気がするだけ”だが。

「地図」は、所謂”RPGの自動マッピング的な何か”らしく、移動する事で位置情報が増え、発声する事でHUDっぽく表示されるらしい。目を瞑ったり、彩光弾を直視した後にどう見えるのか、2Dの俯瞰図なのか、3Dの鳥瞰図なのかすら俺には全く判らない。

「移動」は、この場で試せる物では無いらしい。行った事がある場所の、さらにランドマーク的な物に対してのみ行える仕様のようで、そもそも試しようが無かった。俺の場合、多分、地図にマチ針を挿したようなマークでも出るのだろう。

一番訳が解らない「記録」というのは、自分のおおまかな位置情報やランドマーク的な物が記録されるモノのようだ。GPSも無い(?)のに随分と正確なジャイロだ。”人工衛星の補正が効かない世界の確実な位置情報”ってのは、個人の利便性よりも軍事的な方向の応用しか思いつかない。



 動揺で色々聞き流したが、一番俺が愕然としたのは、俺以外の”ギフト”には、定番中の定番である”ファイヤーボール”や”ヒール”等が散見される事だ。俺以外には”自衛手段”か”回復手段”がデフォルトで実装されているらしい。しかも”複数持ち”まで居る。益々俺の存在価値が無くなっていく、というより、俺の無能さが際立つ。そして片仮名英語である。”火球”や”回復”じゃないのか?確かに「回復!回復!」と連呼されたら、回復されているのに笑ってしまいそうなので、そこはまあ、”そういうもの”として飲み込むしか無い。

ところで・・・またかよ。また”俺だけ仕様違い”が出てきやがった。俺は頭の中で「聾唖者の方々には厳しい世界だな」等と現実逃避してみたが、現状では何の意味も無いし、後々”無詠唱”とか出てこられたら前提が覆るので、その場で思考を放棄した。


この場に居る個人は誰も悪くないのに、俺だけ勝手にギリギリの精神状態だが、体力や腕力的には、鍛えなければ何も変わらない事と、ありがちな魔法の「風火地水光闇」属性の存在は無理矢理飲み込んだが、俺の”ギフト”には、所謂”無属性”とされるシロモノしか見当たらない事は間違い無い。コレでとりあえず先程の誘拐犯達からは「”鍛えろ”というお達しが出ている」らしい。やはりこの世界、俺に死ねと申すか?


 俺の思考は、偏った知識の中から、”生き残る為に必要な裏ワザ的な何かの存在”を心の底から欲した。

なにせ、”俺だけ仕様違い”等というイレギュラーが有るのだ。

”俺だけ仕様違い”の先に、何か一般的に知られていない何かが有るとでも思わなければ、肉体よりも先に精神が死ぬ。

”誰にも必要とされない”も堪えるが、”積極的に排除される”のは御免被る。

俺は俺の自衛の為に、”俺の何らかの有効性”を探し、モノにしなければ、遠からず無関心の対象、次に排除される未来しか見えない。


嫌な未来を予測しつつ、俺はじっとりと湿った左手にある”タブレット”を握りしめ、まずは”あらゆる仕様確認と文献検索”を当面の目標に定めながら、「”理解”って何だよ?」、と小さくつぶやいた。


書き直しが大量発生するであろう事は間違い無いと思います。

流れは勢いに任せますが、整合性の修正は適時行うつもりです。


以上、よろしくお願いします。

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