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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
謹慎編
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謹慎編-7

この小説、やはり夜中にアクセス数が伸びることが多いんですよね。

みなさん夜遅くまでお仕事なさっているのでしょうなぁ。

あと数年で社会人になる作者。正直不安いっぱいです。

13年8月4日


桜市沖合

おかは賑やかそうですね~」

「だな~」

俺とヘルマー大佐は露天艦橋にいた。

現在行われているのは“チャーム魔術師学校視察団”の出発式だ。西方派遣艦隊もこの一員なのだが、残念ながら港の大きさの関係から“沖合待機”となった。よって、客船“桜丸”だけが盛大に見送られている。

「ヘルマー大佐、今度このあたり一帯砲撃して湾ごと広くするってのはどうだ?」

「いいですね。間違いなく牢屋行ですけど。」

もう少し国防海軍おれたちも盛大に見送られる機会があってもいいのではないか?と本気で思う。

まぁ、この原因はわかっている。アドリミア派遣だ。

アドリミア派遣を半分強行気味に行った政府、というか木嶋政権はそれ以来なるべく国防軍を表に出さないようにしている。確かに世論は派遣賛成であったが、国民の3割は反対だったことも事実だ。だから国防軍を表に出したくなくなったらしい。近々選挙と言うこともあり、波風を立てたくないそうだ。だがこの影響で軍需庁の連中はすっかり拗ねてしまい、仕事が投げやりになっているそうだ。大丈夫かなぁ・・・。


「あ~あ。なんで前の世界でもこの世界でも“軍艦持ち”は日陰気味なのかなぁ・・・」

「なんでも時と場合によりけりだよ、たにさん」

そう言いながら後ろから来た人物を見て俺は驚いた。

「あー!おま!佐藤!」

「たにさん。一応少将くらいつけてよ・・・」

そこにいたのは灰色制服を着た佐藤少将だった。

「ぅるせぇ!佐藤は佐藤で結構だ!んで、なんで灰色制服そんなもん来てここにいるんだ?」

「えっと~、まずはこの制服から。

兵器廠が軍需庁直轄になったんだ。陸海空で使う兵器、主に弾薬規格の統一化を図るためだって。」

「なりほど。んで、なんで“瀬戸ここ”にいる?」

「いや~、兵器廠代表として視察団へくわえられたんだけど、“桜丸”にいると政治家とか多くて息苦しそうだな~と思って・・・」

「だからって勝手に乗るな!ボケ!」

まったくこいつは・・・

「ヘルマー大佐!倉庫に木箱でも置いてこいつブチこんだけ!」

「えっ!部屋は一応空いてますが・・・」

「いいんだよ!軍需庁の軍人とはいえ勝手に海軍の軍艦に乗り込むことは許されてない!逮捕だ!」

「えっ!勘弁してよたにさん!」


「・・・というのは冗談だ。次の洋上補給で艦隊が停止した時、“桜丸”に送り返しとけ!」

「ハッ!」


まぁ、佐藤にはいろいろと言いたい事(苦情)もあるし、少しくらいいいか。

ヒネク少将に艦隊司令代行を任せ、俺と佐藤は司令官室で久々に飲んだ。

えっ!?酒はどこにあったかって?もちろん俺の隠してるやつですよ。いつぞや鋭いメイドに見つかったのと同じ方法で持ち込んだ。やはり副官や補佐官では俺の隠し酒は見つけられなかった。だめだなぁ~、メイドを見習え!メイドを!


「よく日本酒なんて手に入ったね~」

佐藤が飲みながら言った。

「いやなに、飲みたかったから酒造会社を買い取って作らせたんだ。」

この世界では“酒=ワイン・果実酒”という法則が成りたっている。それこそ数年前に来た日本人が“米の栽培方法”を伝授し、また別の日本人が“米から酒を造る方法”を伝授するまではこの法則が崩れることは無かった。今では酒屋には種類も量も少なくはあるが、日本酒や焼酎が並んでいる。

「そういえばたにさんは何かいろいろと大きな買い物をしているって噂になってた時期があったな。」

「そうなのか?相変わらずうわさには疎いからなぁ~」

「昔から変わらないな~、たにさんは。日本酒大好きだし、うわさには疎いし。」

「俺、そんな昔からうわさに疎かったのか!?マジで!?」

よくよく思い出してみれば、戦艦の建造も現在補佐官の海軍兵学校の2人のことも噂になっていたらしいがさっぱり気づかなかった。

そんなに疎いのだろうか・・・。


1升瓶が3つ床に転がったところで飲み会はお開きとなった。

佐藤は佐藤の副官のイーリス・シルヴィオ少佐に抱えられて戦艦“瀬戸”内であてがわれた部屋へと運搬されていった。

佐藤が運搬された後、イーリス少佐が司令官室に戻ってきた。


「改めまして、お久しぶりです。谷岡中将閣下。」

「いえいえ、本当にお久しぶりです。イーリス少佐。」

イーリス少佐は俺がこの世界に来たころからずっと佐藤の副官だ。俺も海軍準備室室長時代に何度か顔は合わせている。

「それで、一体何の用事で?」

「いえ、大した用事ではないのですが、その・・・


お酒、いただいていいですか?」


その後、1升瓶が2つ追加で転がった。

その間の記憶はあいまいだが、何かを質問されたのは覚えている。


はてさて、何だったか・・・



もちろん翌日は二日酔いだった。それでもがんばって司令官としての仕事をこなす。


司令官室を出ると大きないびきが聞こえた。


「ったく。同じ軍人でも“お客様”はうらやましいよ。」


結局佐藤は4日酔い(!?)の影響でしばらく戦艦“瀬戸”に滞在していた。




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