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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
謹慎編
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謹慎編-6

近々定期テストが待ち構えているため戦々恐々としている作者です。


大学って”定年をのぞけば最後の遊べる時期”なんて聞いてましたが、そうでもありませんね。


・・・趣味で小説書くほどのひまはあるみたいですが。

あれ?矛盾してね?

「戦艦2、軽巡2、駆逐12。あとは補給艦など。つまりは戦艦2隻と2個水雷戦隊が西方派遣艦隊にいるわけですね。」

ヒネク少将はたとえどんな状況でも真面目な人物だ。さっそく書類に目を通して西方派遣艦隊の現在の状況を把握していく。

「その前に!なぜあなたらはこんなことすら把握していないのですか!」

そしてヒネク少将が補佐官二人を厳しく指導する。

「いや、だって・・・司令に把握しろとは言われなかったし・・・」

リネット少尉候補生が口ごもりながら言うと、

「普通言われなくともやるものです!それが補佐官や副官の役目です!」

ヒネク少将の檄が飛ぶ。


俺の部屋で(司令官室で)


たのむから他でやってくれないかなぁ・・・


おかげで艦橋にいることが多くなったこの頃である。

折りたたみ椅子をもって露天艦橋で日向ぼっこ。他の奴には真似できない俺だけの特権だ。

「いや~、にぎやかですなぁ。」

ヘルマー大佐がニコニコしながらやってきた。

「なんだい?面白い事でもあったかい?」

「いえ、なんだか司令官室が兵学校になったみたいで面白いんですよ。“瀬戸”の乗組員の共通の話題にもなって乗組員同士の交流が進んでちょうどいいです。

今日もヒネク少将が怒鳴り散らしてましたし。

いや~、この前もですね・・・」

ヘルマー大佐は食堂であったことを話してくれた。


後ろにヒネク少将ごほんにんがいるのも気づかずに・・・。



「それで、出港は決まったのでしょうか?」

「13年8月4日だそうだ。外務省で誰を派遣するかずいぶんともめたのがやっと決まったらしい。」

そう、本来なら8月1日に出向する予定だった。ところが、直前になって外務省がストップをかけてきたのだ。

というのも、全権代理者、もしかしたらそのまま大使になるかもしれない人を誰にするか、もめにもめたらしい。その結果、軍需庁経由で出港延期の命令が来た。

だが、今回ばかりは外務省だけでは事が済まなかった。

なんたって今回同行する客船“桜丸”には総務省研究庁とその管轄下のそれなりにえらい立場の研究者、最先端の魔法技術を視察するという名目で集まった各省庁のお役人、さらには当初は予定になかったが都合がついたとして副総理まで同行することになった。

まぁ、このメンツを足止めしたらどれだけの苦情、圧力が外務省に殺到したかは想像にたやすい。


それでまぁ、案の定外務省は“急いで出港しろ”なんていうバカな命令を出してきたわけだが、一度出鼻をくじかれた艦隊がすぐに“はい、すぐに”と出れるわけがない。

足止め中に消費した補給物資を手配して、積み込み、燃料ももう一度満タンにする。これを16隻分だ。さらに言えばアドリミア派遣と同様、補給艦などなどがついて行く。これらにももう一度補給しなければならない。そう言っていると埠頭の能力の限界から、丸1日かかってしまったのであった。


こうして、現在戦艦“瀬戸”は海軍総司令部沖合で停泊し、補給艦などがもう一度補給を受ける様子を眺めていた。


露天艦橋で夜風に当たっていると、コートニー少尉候補生を見つけた。外階段に座って遠くを眺めていた。

「おう、どうした補佐官殿。」

と、声をかけてみた。

「・・・んにゃ!し、司令官殿!失礼しました!」

あわてて敬礼するコートニー少尉候補生。それにしても“んにゃ!”って。猫要素強いな~。っていうかその前に反応遅い。

「悩み事か?」

「い、いえ!」

「どうせヒネク少将に“司令官に不安を見せてはならない”とか言われたんだろ。そんなの今は無視していいから言ってみんさい。」

コートニー少尉候補生は少し間をあけてから話しはじめた。


「私、この仕事に向いてないのかなって思い始めて・・・」

まぁ、艦内で迷子になるし、何かとボーっとしているし、そのたびにヒネク少将に怒鳴られているし。そう思うのは時間の問題とは思っていたがな。


「その・・・何だ。ヒネク少将がただ単にいじめ倒すために怒鳴っているわけではないのはわかるよな?」

「も、もちろんです!」

「ヒネク少将だって海軍兵学校教官なんて今までやったことが無かったんだ。指導の仕方もいまいちつかめてないんだと思う。指導が厳しすぎる点については俺も気になってたしな。

だけど、この程度でくよくよしてるとこの先持たんぞ。士官、将校というのは多くの部下を持つ。だがここは軍隊だ。部下の数が増えたり、減ったりする。特に最初は精神的に来るものがあったよ。俺も。」

ドラゴン退治や陸軍兵士と戦った時を思い出す。さらに言えばアドリミア派遣の時でも戦死者は出た。死者を弔うのはとてもいいことだ。だが、それをいつまでもひきずっていてはこの職は務まらない。

「正直、この仕事が君に向いているのかどうか、そんなことは俺には分からん。わかるわけがない。自分のことを知っているのは自分なんだから。他人がどう言おうと、自分のことは自分がよく知っている。

それで考えて“向いていない”と思えばやめればいいし、何なら他の部署への転属希望を出せばいい。


結局、判断するのは自分なんだよ。」


そう言って俺は司令官室に戻った。


そこで若干冷めた。

あ~、また柄にもないことを・・・。なんか恥ずかしい・・・。


13年8月3日夜。

西方派遣艦隊は客船“桜丸”と合流すべく、首都桜市沖合へ向け出港した。





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