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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
謹慎編
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謹慎編-5

先日周りにお酒の一気飲みを要求されて内心ムカついている作者です。


絶対だめですよ!一気飲み!


もし次要求されたらこう言おうと思ってます。

「なら、僕が急性アルコール中毒で死んだ場合の賠償金、もう用意してあるんですよね?」

例えおどしになっても、死ぬよかマシです。


皆さんも気を付けてください!


しない、させない一気飲み!

「お、そういえば!」

ヒネク少将は何かを思い出したように言った。

「ちょうど、あの二人がここに戻ってきていますね。」

「二人?」

「ええ、もう2年前になりますか。筋がいいのがいると言ったでしょう?」

「あ~・・・そういえば」


そういえばドラゴン退治に行く前にそんなことを言われたような気がする。

「ぜひとも、連れて行ってはくれませんかね?今度チャーム魔術師学校へ行かれるのでしょう?有望な彼女らにも見せてやりたいのです。」

「彼女ら?」

「ええ、マレナ効果以前に入隊した海軍兵学校第1期生です。つまりは11年卒。それから1年半ほど現場を経験し、アドリミア派遣艦隊の駆逐艦副長などとして活躍しました。現在士官教育で戻ってきています。」

「思いっきり経験してるな。なら、わざわざチャーム魔術師学校について行かなくとも・・・」

「いえ、だからこそ経験させてやりたいのです。あなたのいた世界には“かわいい子には旅をさせよ”ということわざがあるそうですね。」

「・・・ヒネク少将。なんか贔屓してない?」

「いえ、そんなことは・・・」

「とはいっても今は“艦隊総司令”の役職は謹慎扱いだからね~。一艦隊司令程度で人事にどの程度圧力をかけれるか・・・」


翌日

「本日付で西方派遣艦隊司令、谷岡中将付補佐官となりましたリネット・カートライト少尉候補生です!」

「同じく、コートニー・リンドリー少尉候補生です!」

戦艦“瀬戸”の司令官室に二人の美人海兵がやってきた。

「谷岡だ。よろしく。」

「“瀬戸”艦長のヘルマー大佐だ。よろしく。部屋はあとで誰かに案内させるから。あとで第2食堂へおいで。」

「「わかりました!」」

二人は「失礼します」といって出て行った。


「谷岡中将。厄介なのを押し付けられましたな。」

「なぬ!?」

「リネット・カートライト少尉候補生。あの長身金髪美人の方です。元アドリミア派遣艦隊の駆逐艦“葵”の副長代行です。優秀ですが、上官に対する意見具申の多さでは海軍ダントツトップ。そのため他の駆逐艦でも嫌がられることが多い海兵です。


それでコートニー・リンドリー少尉候補生。黒髪猫耳付のほうです。戦場での指揮能力は正直私でも劣る可能性があります。そのくらい優秀なのですが・・・普段があまりにもボーっとしており周りを不安にさせることが多いとのうわさですね。」

「なんだそりゃ。」


・・・大丈夫だろうか。


まぁ、優秀な指揮官には変人も多いものだ。

例えば旧日本海軍の某連合艦隊首席参謀は、作戦を考える時に全裸でお香をたいて部屋にこもるという癖があったそうだ。さらに、連合艦隊旗艦の艦内を垢まみれの寝間着で歩き回っていたとか。


・・・とか自分に言い聞かせてみたが、やはり不安になってきた。初めて副官らしきもの、正確には補佐官がついたというのに・・・

ちなみに補佐官と副官の違いは“無い”と言ってもよい。あえて言えば、副官の方が立場が上、と言うことくらいだろうか。イメージで言えば、“副官の副官”である。だが、今回の場合“中将の副官が少尉候補生ってどうよ?”と言うことになったので副官無しで補佐官を付ける、という変わったことになっている。


不安はやはり、的中した。

司令官室には補佐官2人のどちらかは常駐している。

ちょうど、コートニー少尉候補生がいない時だった。

「コーヒーくれ。」

リネット少尉候補生に俺は言った。

「お茶くみはやりません。」

俺は面食らった。

「おいおい、君は補佐官だろう?」

「補佐官の仕事はお茶くみも含むのですか?補佐官の仕事は司令官の仕事が円滑に進むように補佐すること、と伺ってましたが。」

「コーヒーがなきゃ作業効率が落ちる。」

「・・・わかりました。」


ここまで言ってやっとリネット少尉候補生は舌打ちをしながらコーヒーを用意してくれた。


「これ、ヘルマー大佐に持って行ってくれ。」

「はい。」

今度はコートニー少尉候補生がやった。

補給物資に関する書類をヘルマー大佐に届けるという仕事だ。


2時間後

「なぁ、リネット少尉候補生。コートニー少尉候補生は?」

「さぁ・・・。書類届けに行ったままだと思いますが。」

「まだ!?」

艦内電話で艦長室にかけてみた。


“ああ、補給物資に関する書類なら先ほど受け取りましたが・・・”

「さっき!?何分前だ?ヘルマー大佐。」

“20分前くらいですかね?”

「えっ!?」

いくら戦艦がでかいとはいっても、1時間かかる距離ではない。


それから1時間してやっとコートニー少尉候補生が戻ってきた。

「コートニー少尉候補生。どこ行っていたんだ?」

「すみません!迷子になってました・・・」

俺は頭を抱えた。


と、同時にヒネク少将に殺意を抱くのだった。


13年7月31日

出港前夜

「海軍兵学校より西方派遣艦隊司令付副官を拝命しましたヒネク・ドランスキー少将です!」

「ん、よろしく頼むよ。」

堅苦しい挨拶が終わった途端、ヒネク少将は俺に近づいてきた。

「室長、いったいこれは・・・」

「いや~、ヒネク少将は昔、貴族の執事だったんだよね~?」

「ええ、まぁ・・・」

「実はアドリミア派遣の時の教訓なんだけどね、アドリミアでの内乱終結後にパーティーに呼ばれたんだけど、貴族の礼節を知った人が少なくてね~。苦労したんだよ~。」

「はぁ・・・」

「それをね、偶然人事部の人が知ったみたいで、海軍内で貴族の礼節を知った人物を探して西方派遣艦隊に寄越してくれたわけさ~。

別に俺が“優秀な補佐官”についていろいろ言いたいことがあるとか、別にそう言うわけじゃないから~。

まぁだけど、副官と補佐官は仕事が同じだから、しっかり副官は補佐官に仕事を教えてね~。」


司令官室にヒネク少将の大きなため息が響いた。





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