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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
アドリミア王国内乱編
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アドリミア王国内乱編-14

更新遅くなってすいません。最近忙しくて・・・

胃腸炎はほぼ復活しました。ご心配おかけしました。

・・・誰も心配してないかな?

交渉はつまらないほどあっという間に進んだ。


そして、第2艦隊に木造戦艦10隻の監視を任せ、第1艦隊とアドリミア派遣艦隊はフィアンカへ戻ったのであった。



「暇~」

そして、暇を持て余したのであった。

乗員たちは半分ずつ上陸して町を楽しんでいる。俺は別にいつ町に出ても(入国手続きさえ踏めば)問題ないのだが、今は重巡“仙崎”の甲板でゆっくり日向ぼっこするのがとても気持ち良かった。

「一応お久しぶりです。室長。」

「ん~?」

寝っ転がって上を見る、つまりは後ろを見ると、エヴェリーナ少将がいた。

「お~、確かに久しぶりって感じだな、エヴェリーナ少将。一応短距離音声通信で話したが。」

「ええ、まぁ・・・」

「とりあえず座ったら?日向ぼっこ、気持ちいいぞ」

どこかぎこちないエヴェリーナ少将は、とりあえず俺に誘われるままに俺の隣に座った。


「それで、その・・・」

何か深刻そうなので真面目に聞かなければと思い、上半身を起こす。

「私がアドリミア派遣艦隊司令になったときの話なのですが・・・」

「はぁ」

「会議の最後に言ったことなんですが・・・」

「!!?」

思い出した!

あの発言!

い、いかん!思い出したらなんだか落ち着かなくなってきた!

「その・・・とりあえず忘れてください。」

「ふぁ?」

心の底から“?”が出た。


何?こういうことってよくあるの?俺の恋愛経験が少なすぎるから勝手に舞い上がっていただけ?

「そ、その・・・。あの時はどうかしていたかと言うか、何と言うかで・・・」

「はぁ・・・」

状況が分からない。

どゆこと?

すでに頭の稼働率は10%以下だ。意味不明すぎて停止寸前だ。


「また、整理して、改めて決めて、そのときにもう一度はっきりと言おうと思います!以上です!」

ビシッと敬礼して、なんだかすっきりした顔で立ち去っていくエヴェリーナ少将。

いや、そっちだけすっきりしないで!誰か状況を説明して~!



・・・やっぱり、ふられた?



その後、状況の整理に頭の稼働率は跳ね上がり、オーバーヒートしたため、俺は風呂に入ったのであった。


「大変です司令!」

ズボンのすそをめくって海兵が風呂場へ入ってきた。

“俺は風呂にゆっくり入ってゆっくり考える暇もないのか”と言う愚痴は排水口へ流し、海兵に状況を訪ねた。

「前線で何かあったみたいです。鯵川大将が呼んでます。」

「わかったよ。すぐ行く。」


だが、いくら急いでも重巡“仙崎”の風呂場から、鯵川大将のいる“アドリミア王国派遣軍本部”までは1時間以上かかった。

まず、風呂から上がり、着替え、内火艇にゆられて30分。そこから車に乗り換えてアドリミア王国派遣軍本部のある在アドリミア王国日本民主主義国大使館(仮)まで30分。

何気に疲れる行程だ。


「何事ですか?」

そう言う行程の後、やっとこれが質問できた。

在アドリミア大使館(仮)には、大使(仮)の越智宗満さん、アドリミア王国派遣軍軍団長の鯵川大将、5人くらいの陸軍参謀、少将の階級章を付けた灰色制服野郎(=軍需庁)、空軍佐官が一人、あとは駐在武官のエルネスト少佐がいた。

「重大な案件が起きたのだ。谷岡海軍中将殿。」

灰色制服の少将が答えた。


大使館の一室をあてがったこの派遣軍本部は、一応は豪華なつくりとなっている。だが、巨大なテーブルの上には地図が置かれ、部隊の位置を表す駒がたくさん置いてあった。ざっと見る限り、目標地点である首都シャウテンの近くまで部隊は進んでいるし、進軍は順調そうだ。

では一体、何が起きたのだろう。


「前線で、軍需庁将校がリースベト第1皇女軍から派遣されていた道案内役に刺されたそうです。」

エルネスト少佐の説明を聞いて、俺は目を大きく見開いた。

「それって、かなりマズくないですか・・・」

俺は恐る恐る越智さんを見た。

「ええ、非常にまずいです。外交的には有利なカードを手に入れた、とも取れますが、これがリースベト第1皇女軍の我々に対する“攻撃ののろし”だった場合、カードでも何でもなくなります。」

越智さんが眉間にしわを寄せまくって言った。


そう、すでに一流の陸軍を手に入れ(借り物だが)首都寸前まで迫ったリースベト第1皇女からすれば、“ここまでありがとう。あとは自分たちでできるから帰れ”という態度を取る可能性もある。それこそ日本民主主義国軍がくるまでにすり減らした戦力は、回復したという話も聞いている。


もしそうなれば、陸軍2個師団+陸軍特戦+海軍陸戦師団1個大隊は敵中突破してどうにか港までたどり着き、帰国することになる。そんなこと、できるわけがない。


「ですが、その可能性は低いと見てますがね。」

越智さんが自分の意見を否定した。

「どうしてです?」

陸軍参謀が訊ねる。

「考えてもみてください。リースベト第1皇女陣営にとっての首都はどこです?まぎれもなくここ、フィアンカです。そこには現在、日本民主主義国海軍の主力が大集結しています。そんな中、我々に矛先を向けますかね?

私ならそれこそ、海軍が海龍艦と戦っている間にやりますね。ご自慢の空軍で、戦っている最中に爆撃して、あわよくば両方とも」

越智さんは握りこぶしを勢いよく開いた。

つまり、あわよくば両方とも轟沈、というわけだ。


「今、リースベト第1皇女陣営でここら辺の統治者であるブレイシュ辺境伯爵を呼び出しています。そう悪い話にはならないでしょう。」

越智さんがそう言ったとき、ちょうどドアがノックされた。

「お、来たようですね。それでは私は別室で話すので。」

そう言って立ち上がった越智さんであったが、越智さんがたどり着く前にドアが勢いよく開いたのであった。

「谷岡司令!大変です!」

息を切らして海兵が飛び込んできた。

「何事だよ。もっと落ち着いて来いよ。ここは上級将校が集まっているんだぞ。」

「申し訳ありません・・・はぁ・・・はぁ・・・。で、ですがそれどころではないのです!」

「何があった?」

横からエルネスト少佐が口をはさんだ。


「刺されました!

半舷上陸で上陸していた重巡“仙崎”艦長、ヘルマー中佐が刺されて重体です!」


部屋にいた全員が立ち上がった。



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