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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
アドリミア王国内乱編
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アドリミア王国内乱編-11

最近冷えてきましたね~

みなさんも体調を崩さないようにお気を付けください(byすでに体調を崩し終えた作者)

お正月

日本民主主義国歴13年1月1日。

フィアンカの町も戦争中とは思えないほどにぎわっている。


フィアンカに連合艦隊(旧称第1輸送艦隊)が入港し2週間以上が経った。すでに飛行艇でピストン輸送した陸軍部隊と空軍の飛行場建設部隊は行動に入っている。

「それにしても驚きましたよ~。まさか装備品だけを先に輸送するなんて・・・」

空軍の飛行場建設大隊の少佐が言った。

「まぁな。特に重機は飛行艇じゃ運べないが、人は飛行艇でも運べるからな。」


そう、あの多めにいた輸送艦の中身は、飛行場建設部隊の重機と、陸軍兵士の装備品だ。これまたばれると軍需庁にいろいろ言われそうだったので、陸軍兵士の装備品は佐藤のところからもらった“員数外”となったが。

重機は彩海島飛行場で積んだ。元々彩海島飛行場はほぼ完成したいたので暇を持て余している重機は結構あった。それを余すことなく積んできたのだ。


一方でリースベト第1皇女陣営の戦況はあまり好ましいものではなかった。

東方の辺境伯爵、ブレイシュは兵を持っていた。だが、そもそも辺境伯爵に与えられた兵は戦争を第1の目的としておらず、どちらかと言えば“警備兵”だった。つまり、盗賊団や犯罪者を相手にするのが主な仕事だ。日本民主主義国でいう、警察官と変わらない。

だが、他に歩兵らしい歩兵を持たないリースベト第1皇女陣営は、何人かの空軍兵をまぜてそれをアルトゥル第1皇子陣営の“陸軍歩兵”とぶつけるしかなかったのだ。

もちろんこれでは勝ち目はない。だが、空軍の航空支援があったためにどうにか持ちこたえていた。

何度かぶつかり合い、両陣営とも兵力を減らしていった。だが、兵力に十分な余裕のあるアルトゥル第1皇子陣営は、増援を連れてくれば済む話だ。他方、リースベト第1皇女陣営はすでに予備の歩兵戦力は皆無に等しかった。

それを聞いた俺はすぐに第1海軍陸戦師団特別大隊(リサ大尉率いる部隊)を戦車付きで出した。これにより戦線の崩壊だけは防げた。

今は後追いの陸軍歩兵が増援に言っているため、とりあえずは安心だ。


沖合停泊の重巡“仙崎”に戻ったとき、汽笛が聞こえた。

「お、来たか。」

ちょうど内火艇から重巡“仙崎”に乗り移ったところだった俺は、前甲板から近づいてくる船団を眺めた。


そう、正式に国会が派兵を決めてから出発した船団である。

「これが来るのを待ってたら間に合ってなかったでしょうね。」

大使館付駐在武官となっているエルネスト少佐がとなりへやってきた。

「エルネスト少佐、こんなところに居たのか。」

「ええまぁ。いい加減我が国の軍艦が懐かしくなって。

谷岡中将、このたびは相当無理をなされたそうで、ありがとうございます。」

「いやいや。どう考えても国会の議決を待っていたら間に合わなかったからね。ただ、後々なんか問題にならなければいいがな・・・」

正直不安だ。ばれない様にはやったつもりなんだが・・・。

「ところで、どのくらい兵を出したのですか?」

「空軍さんは合計80機出したそうだ。今ここまで飛んでくるために途中の島々にも中継基地を建設中だとさ。

陸軍は2個師団と少々。なんでも“特戦”と呼ばれる特別部隊を出したそうだ。というか最初の方に飛行艇できたのがそうだったらしいんだが。」

「そうなんですか~。

それで、これ以上の派兵はあると思いますか?」

「わからん。海軍の軍艦なら俺の一存でいくらでも出せるが、陸空上層部や外務省はどう考えているか・・・」

「軍需庁を忘れてますよ。」

「あんなの忘れていてもいい。どうせ外務省のフンだ。」


本来軍需庁は“政府と軍の現場のクッション”となるはずだったのだが、ほぼ政府、というか外務省の手先となっており、とても“クッション”とは言えない。


「ところで陸戦隊の指揮はとらなくていいんですか?」

エルネスト少佐が俺に訊ねた。

「ん?何だ、陸戦隊に戻りたいか?」

「まぁそれはありますが、そうではなくてどうにも陸戦隊を全く指揮している様子が無いので。」

「ああ、そうか。エルネスト少佐は知らないよな。


今回派兵に当たって陸軍のアドリミア王国派遣軍軍団長、鯵川大将が指揮を執ることになった。アドリミア王国陸上戦では鯵川大将が最高責任者となる。

よって陸戦隊の指揮系統は、鯵川大将の下に俺、その下にリサ大尉以下陸戦隊と言うことになっている。だけどいちいち俺が間に入っているのも面倒だから、鯵川大将に任せてある。一応状況報告だけは受けているけどね。

ちなみにここに来ている空軍も鯵川大将の指揮下だ。どちらも陸軍からすれば“借り物”だから、それぞれの上官が“鯵川大将の指揮下を離れろ”と命令したら元の所属に戻るけどな。」

「なるほど。なら、海上は?」

「俺。みんなが飢えないようにしっかりとご飯を運んでやらなきゃ。」


そう言うわけで、実質この戦闘のメインは陸軍に移り、俺は暇になるとばかり思っていた。


ところが、そうは簡単に主役を降板させてくれなかった。




ジリリリリリリリリリンキンコンキンコンキンコンキンコン・・・・

総員起床、配置につけのベルが鳴り響いた。

「何事だ!」

自室で寝ていた俺は通路を走る兵を捕まえて訊ねた。

「敵発見の一報が入ったとのことです!」

俺は艦橋に駆け上がった。


「機関室!いつでも出れるようにしておけ!」

艦橋へ行くとヘルマー中佐が受話器に叫んでいた。

「ヘルマー中佐!何事だ!」

「第1飛行艇小隊から至急電がありました!

海龍艦5!木造戦艦10!こちらへ向かっています!」

「ヘルマー中佐、緊急出港だ!それと敵艦隊の正確な場所は!?誰か海図を持ってこい!」





連合艦隊はあわただしく出港準備にはいった。


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