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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
日本民主主義国編
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海軍-1

海軍話ですねぇ・・・

旧日本海軍は個人的に好きです。

小型帆船は日本民主主義国が面している湾を、進んでは停止を繰り返しながら進んでいた。

何をしているのかというと、測量である。


「あ~、あち~」

俺は甲板で暑さにへばっていた。今までクーラーをはじめとする空調慣れした身には応える暑さだ。

「このくらいでへばっていたら持ちませんよ!」

ペートルス少尉はさすが昔から船員だったこともあり、テキパキと動いている。さらに言えば、帆船に関しては海軍準備室の他のメンバーの誰よりも知っている。


この測量、やり方としてはとても原始的である。重石をつけたロープを海底にたらし、そのロープの長さで測る、というもの。

「はい、25m!」

ロープ担当のマレナ少尉が大声で言う。

「はい、地点B-4。25mね。」

ヒネク大尉がそれを記録する。


俺がこの世界に来て早1か月。これが俺らの日常になっていた。


日が暮れる頃、海軍準備室に戻った。

「お帰りなさい!」

エヴェリーナ中佐が出迎えてくれた。

「それで?造船所の人はいつ来てくれるって?」

俺はエヴェリーナ中佐を造船所へ遣いに出していた。何度も交渉に行かせていたのだ。

「明日なら来てくれるそうです。ちょうどドックが空いたそうで、ぜひ軍艦をドック入りさせたいと・・・」

「まったく、完全に向こうの都合に振り回されてるな。俺らは。」

とにかくは事が前進するならまぁよし、としておこう。


「んで、陸軍から海軍への転軍希望者は?」

エヴェリーナ中佐が答えた。

「今のところ1万人、という所です。さらに今いる陸軍船舶部を合わせて1万5000人、という所でしょうか?」

「すごい数だな・・・。にしてもずっと疑問に思っていたんだが、日本民主主義国が正式に発足してからおよそ10年だよな?あまりにも軍人の数が多くないか?」

「ああ、それはヒネク大尉が詳しいっすよ。」

ペートルス少尉に指名されたヒネク大尉は少し驚いたようにこちらを向いた。

「わ、私ですか?確かに詳しい、といえば詳しいですけど・・・。少しお恥ずかしい話もありますからねぇ・・・」

「いや、話したくないんならいいや。」

「いえ、いづれは話すことになるでしょうからせっかくです。ペートルス少尉から機会を頂いたことですし、お話ししましょう。


今からおよそ10年前。私はとある貴族の家で使えていた執事でした。ですがとある事情でクビになってしまい、それ以来、不況だったこともあってなかなか定職に就けず、あちこちを転々としていました。幸いなことに妻は先にいってましたし、息子は独立して親元を離れていました。なので転々とするには比較的身軽でしたね。

息子のところに行こうとも考えましたが、相当深刻な不況です。息子に頼るわけにはいかないというわけで、実質旅人状態でした。

ですがそれから1年後、ちょうど国が建国されたとかで仕事にありつけました。それがここ、日本民主主義国です。あのころはそこらの町とあまり変わらなかったんですが、不況の中でも農業が豊作とかで景気は悪くはありませんでした。私は土木作業員として道路づくりの仕事にありつけました。

ですが、それから5年後にはそう言った公共事業も激減しました。特に仕事を求めてかなり多くの人が日本民主主義国に来てました。私が道路づくりの仕事をクビになる少し前の時点で人口は20万人と聞いています。“大規模農業”と“物流拠点”として町としてはかなり栄えていましたから、私たちのような工事作業員が街にあふれだしたところでさして影響はなかったでしょう。国からの支援はこれと言ってありませんでした。

ですが、そこで佐藤大佐・・・当時はまだ少佐でしたが。とにかく佐藤さんに拾っていただきました。幸い体力だけはありましたから軍に入ってもあまり辛くはありませんでした。


その後、国は無職になった者を軍に積極的に招き入れるようになりました。そのせいで軍には15万もの人がいるのです。」


「おおお~」とエヴェリーナ中佐が軽く拍手する。確かに、歴史の生き証人にあった気分だ。

「ありがとう。ヒネク大尉。非常に参考になったよ。」


翌日、“造船所の人”が来た。

「三峰造船所の斎間です。」

「国防軍海軍準備室室長、谷岡です。この度はお忙しいところありがとうございます。」

「はは、軍人さんなのにやけに下手ですな。」

そりゃそうだろ。あんたの方がどう見ても年上なんだから。

「とりあえずこちらへ。」

俺は斎間さんを車へ案内した。


「いやぁ、元々僕は造船技師じゃなかったんですけどねぇ。」

車に乗るなり、斎間さんが言った。

「えっ?」

俺は驚いた。

「いや、だからと言って船と無縁だったわけじゃないですよ。私は日本にいたころは水産学校の教師だったんです。練習船に乗っていました。」

「えっ!?じゃあ船員さん!?」

「そうです。ですから是非海軍が発足したら加わりたいと思い、参った次第です。先日社長に聞かされるまで海軍準備室の存在を知りませんでしたよ。」

「うちの営業もまだまだだなぁ・・・」

何やってんだよエヴェリーナ中佐!

「できればぜひ我が海軍に加わってほしいですね。」

「もちろん喜んで。再び海に出れるなら大喜びです!」



軍基地内 岸壁

陽炎型駆逐艦

艦長室

「やっぱり熱いな。」

俺は汗をぬぐった。

「一応換気扇はついているはずなんですけどねぇ・・・。」

斎間さんは艦長室の資料をゆっくり読んでいく。


しばらくして、ずっと黙って資料を読み漁っていた斎間さんが言った。

「おかしいですねぇ・・・」

「何ですか?艦名が書いてないことですか?」

「いや、艦名はわかった。」

「本当ですか!?」

俺は斎間さんの読んでいた資料を覗き込んだ。

「いや、正確にはこいつに艦名はない。つけられることは無かったんだ。」

「どういう意味です?」


「こいつの固有名称は、“第32号艦”だ。」


面白くなるのは、かなり後の話かもしれません

もしかしたらこのまま面白くないかも・・・

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