アドリミア王国内乱編-4
何気に更新できていますが、ある日突然更新できなくなるかもしれません。
最近その確率上昇中です。
夜中と言うのに、軍基地はにぎやかだった。
「たにさん!持って来たよ!員数外の武器!」
「助かった!佐藤。」
佐藤がトラックに乗って埠頭にやってきた。
「どのくらい集まった?」
「一般歩兵が装備している1式歩兵銃(三八式歩兵銃を基にしてつくったオリジナル歩兵銃。ほぼ三八式と変わらない)を短くしてみた、試製10式騎兵銃が100。兵器廠で趣味で作った120mm迫撃砲が8。遊び半分にいじってたらできた威力2.5倍の手榴弾が200。先週うっかり作った重機関銃が50。製造したけどまだ海軍に納入してないⅣ号戦車M型が20。同じく陸軍に納入前のⅣ号戦車が10。」
「さまざま突っ込みたいところがあるが、とりあえずありがとう。」
やはり、大学時代俺の近くに座っていたやつは危険人物だったらしい。
その素振りがあったら絶対に公安警察に目をつけられていただろうな。こいつ。
「とにかく積み込め!」
軍基地の海軍部分はとにかくにぎやかだ。
補給物資を積んだトラックが走り回り、補給艦が入れ替わり接岸する。
これが、気づかれないわけがなかった。
「谷岡君!」
斎間大将がトラックに便乗してやってきた。
「まずいことになった。マスコミが感づいたぞ!」
「それは大丈夫です。手は打ってあります。」
少しして、軍需庁の人間が来た。
軍需庁の軍人は灰色軍服を着ているのですぐにわかる。
「貴様ら!何をしている!アドリミア王国への派兵は決まったわけではないぞ!」
少佐風情が喚き散らしている。
おれはその喚き散らす少佐の前に立った。
「国防海軍艦隊総司令の谷岡中将だ。君は何を喚き散らしている?」
「軍需庁のラ・ドルフ少佐です。いったいこの出撃用意は何なんですか!?アドリミアへの派兵は・・・」
「何を勘違いしているんだ。確かにタンカーとその護衛艦隊はアドリミア派遣艦隊への補給物資を積んでアドリミアへ向かうが、兵員輸送船は違うぞ。」
「そんな言い訳が通用するか!」
「お前、命令系統は上の組織とはいえもう少し言葉遣いに気を付けな!」
ラ・ドルフ少佐は俺の胸ぐらをつかんだ。
「何だと!貴様軍需庁を・・・」
なめるなよ、と言おうとしたラ・ドルフ少佐は、それを言えなかった。
なぜなら周りにいるすべての海軍兵が、ラ・ドルフ少佐以下軍需庁の人間に銃を向けていたからだ。
「話を聞け、クソバカ。兵員輸送艦はすべて、“彩海島飛行場建設”への人員補給だ。アドリミア情勢があれだからな。飛行場の必要性が高まったと海軍が独自に判断して建設を早めようとしただけだ。何か文句あるか!?」
「貴様ら、いつかみたいに本当に反乱軍になりたいか!」
「ハッ、事実確認もせずいちゃもんつけに来て、さらに階級で上の人間の胸ぐらつかんだ奴が言えるセリフか?」
「フンッ!」
ラ・ドルフ少佐は手を放すと不機嫌なまま帰って行った。
「お前、そんな言い訳まで考えていたのか。」
斎間大将が感心したように言った。
「ええ、さすがに軍艦から降ろさないとはいえ“兵員輸送艦”に兵を満載にして入港すれば、“威嚇”ととられかねないとか言われて横やりが入りそうでしたからね。」
「ところで、彩海島飛行場とは?」
「斎間大将、仕事してます?ちゃんと書類も回してますよ。」
「・・・すまん。」
「我が日本民主主義国の沿岸部から南60kmくらいまで、瀬戸内海のような島々が点在しているのは知ってますよね?」
「もちろんだ。」
「その、一番南の島が彩海島です。ここから海軍の哨戒機を飛ばそうと考えて、建設を進めていたんです。」
「なるほど。そういえばそんな書類が回ってきたような・・・」
「ちゃんと仕事してくださいよ・・・。基地増設とかは斎間大将の管轄でしょ?」
「すみません・・・」
「ちなみにこれだけではありません。」
「へっ?」
「現在通信省と協力してアドリミア王国までの海中電話線を敷設中なのですが・・・」
「まさか・・・」
「ええ、敷設艦1隻に護衛の駆逐艦を8隻出してます。」
「明らかに多すぎだな。」
「あ、そういえば・・・」
俺は積み込み現場を他の者に任せ、というか俺がいなくても大丈夫なんだけど・・・
とにかく佐藤と一緒に斎間大将を連れて兵器廠に向かった。
「佐藤、どのくらい出来てる?」
「すでに完成してるよ。ただ、試験飛行はまだ。」
「そうか。よくやってくれた!」
斎間大将は何の話かわからず、きょとんとしたままトラックにゆられていた。
兵器廠
第15工場
ブツを見た斎間大将は言った。
「こりゃいいな。」
「斎間大将、すぐに試験飛行と訓練に入りたいのですがよろしいですか?」
「もちろんだ!
大いにやってくれ!」




