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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
アドリミア王国内乱編
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アドリミア王国内乱編-2

気づけば50話突破してました。

みなさんブックマークや評価、感想をありがとうございます。

“6時になりました。ラヂオ桜、日の丸ニュースの時間です。


まずは、連日議会が審議している「アドリミア王国軍事介入」の話題です。


先日、アドリミア王国へ派遣した海軍艦隊が帰還し、その報告を基にした軍事予想が外務大臣に提出されました。


「このようにこの軍事介入は無謀なものではなく、アドリミア王国の国民を救うために、すぐにでも軍を派遣するべきであります!」

外務大臣、ロバート・テイラーはそう発言しましたが、野党からの反発は強まるばかりです。

「そもそも!我が国民の税金で動いている国防軍が、なぜ外国の内乱に派遣されねばならないのか!?我が国にとってアドリミア王国はつい最近国交を持ったばかりの国。我が国がアドリミア王国の影響で危機に陥ることもない!」

最大野党党首、野口健三氏はこのように発言し、軍派遣に反対しております。

さて、今後「アドリミア王国軍事介入」はピーア第2皇女様の来日と軍部の報告書により、本格的な審議に入りそうです!”


俺はラジオを切った。

桜鎮守府、旧海軍総司令部の自分の部屋。

何気に2か月近くいなかったのだ。懐かしく感じる。

ただし、出迎えてくれるものがあった。


そう!山積みの書類!


あはは~、笑いながら涙が出るよ!



「はぁ~」

ため息しかでねぇ。


「失礼しま~す。」

ノックなしでドアが開いた。

海軍兵ならこんなことはしない。必ずノックをし、入室許可を求めるように教育してある。

「誰じゃ!入室許可はまだ出しとらんぞ!」

てっきり新兵だと思って思いっきり怒った。

「ひっ!すみません!」

犬耳が驚いて尻餅をついた。

新兵とはいえ尻餅をつくほど驚くとは、なんだかかわいそうになって俺はドアまで歩いて行った。


「・・・大丈夫だったか?」

ドアから廊下を覗くと、ちらっと見えた犬耳をつけた女性が尻餅をついていた。

だが、軍服を着ていない。

俺はその瞬間に拳銃を抜いた。


「誰何!?」

礼儀を知らない入り方、海軍高官の部屋へと入ろうとした行動、軍服ではない人物。

これらを加味すると、スパイの可能性も高い。

「う、うわ!うわー!私、怪しいもんじゃありませんよぉ~!」

「ちゅ、中将閣下ー!お待ちくださいー!」

廊下の向こうから海軍兵が走ってきた。


ん?


「改めまして、日の丸ラジオ報道部所属のカミラ・ペッテションです!」

犬耳女性は名乗った。

「すみません。国防海軍 海軍総司令部広報部付のエゴール・エルモラーエフ曹長であります。少し目を離したすきに居なくなって・・・。」

俺はカミラ記者を睨んだ。

「軍部内で勝手に行動するのは良いですが、軍事機密を見て逮捕されることもありますし、スパイと間違えられれば即射殺でも文句は言えませんからね。気を付けてください。」

「は、はい・・・」

犬耳がシュン・・・と垂れ下がるカミラ記者。反省はしたようだ。

「んじゃ、二人とも俺の部屋から出て行った出て行ったぁ!」

そう言って俺は応接セットを立とうとした。


「あ、あの!谷岡中将ですよね!?海軍の艦隊総司令官の!」

カミラ記者が言った。

「ああ、そうだが?」

「取材、させてください!」

「はぁ?」

「お願いしますよ~!私まだ新人で今週のネタを上げないとクビになりそうなんですよ~!」

「知るか。あいにく忙しいんだ!見ての通り書類は山積みなんだ!帰ってくれ!」

「そんな~、助けてくださいよ~」

「離せ!公務執行妨害で逮捕するぞ!」

「えっ!?そんなことできるんですか!?」

「軍務も公務だ!」


その時、電話が鳴った。

“外線から通信です。在日本アドリミア王国大使館です。”

交換手が言った。俺はエゴール曹長にカミラ記者をつまみ出すように言って、電話をつないでもらった。

“もしもし?”

「もしもし。ピーア様ですか?」

“これ、ちゃんとつながるのね。すごいわ~。”

俺の話そっちのけで電話に感心しちゃってるよ。

“あ、ごめんなさい。谷岡中将ですよね?”

「ええ。そうですが・・・。何か用ですか?」

“何か用ですかではありません!私をお医者様に紹介してくれる件はどうなったのですか!?”

いかん!忘れてた・・・。

「申し訳ありません。私も色々と忙しい身でして・・・。」

“私も忙しいですが、その合間でこうやって電話しているのです!”

「はぁ・・・」

“それとも、上から許可が降りないのですか?”

「い、いえ。そう言うわけでは・・・」

“意外と人道的でない国なのですね。日本民主主義国は。”

「と、申されますと?」

“我が国への派兵も、どれだけ手間取っているのですか?これでは来年になってしまいます!”

まぁ確かに、もう12月だもんな・・・。

「我が国は民主主義国です。国民を代表した“議員”達の話し合いが決着つかないことには・・・」

“決着のつき方では、我が国への派兵は無くなるようですけどね”

「よくご存じで・・・」

話しづらい!

よりによって軍派遣される当事者だ。これで派兵を否決すれば、“あなたは私たちを見殺しにするのですね?”と電話で直に言われるのは俺やぞ!


ちくしょう!この苦しみを議員どもにも味あわせて・・・。


あ、そうだ。

「ピーア様。提案があります。」

“なんでしょう?”

「と、いうかお願いです。」



10分後

電話を終えた俺はカミラ記者を追いかけに走った。




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