外交編-17
投稿が遅くなりすいません。
近々夏休みが終わり学校が始まる予定なので、今後更新速度はガクッと落ちます。
それでも読んでいただければ幸いです。
飛龍は艦隊の上を旋回していた。
「降りてくる気はないんですかね?」
俺と一緒に前部甲板に出たエルネスト少佐が言った。エルネスト少佐には飛龍出迎えのために数名の兵と一緒に重巡“仙崎”に来てもらっていた。
「降りてきたら儀仗兵と一緒に出迎えるつもりだったが・・・。というか見つけてもらったものの案内はしてくれるのだろうか?」
「ずっと旋回してますしねぇ・・・」
夕焼けの赤い日差しに照らされて、待ちぼうけを喰う将校2名と儀仗兵10名の姿がそこにはあった。
結局日は沈み、飛龍はどこかへ飛び去ってしまった。とりあえず飛び去った方向へ艦隊を進める。
「無線はどうだ?」
「ダメです。応答有りません。」
俺は艦橋へ上がる途中に通信室へ寄って、リサ中尉が持って行った無線機と通信を試みた。だが、ダメなようだ。
「こりゃ一杯喰わされたか・・・?」
結局、この日は見つかっただけで終わった。
12年11月7日
「電探に感有!距離100!大編隊です!時速50km以上で近づいてきます!」
「対空戦闘用意!」
ジリリリリリリリリリン!キンコンキンコンキンコンキンコン・・・
再びベルが鳴り、兵が猛スピードで配置へ着く。
「オイオイ今度はやばそうだぞ!」
露天艦橋で艦備え付けの双眼鏡をのぞいた時、俺は思わずつぶやいた。
戦闘配置完了からすでに1時間以上が経っている。つまり、あれが攻撃部隊であっても十分な対応はできる。
だが、数が異常だった。
空の一部が黒い影に覆われている。それだけ群れて飛んでいるのだ。
「谷岡中将、前部甲板へ行かないと。」
エルネスト少佐が後ろから声をかけた。
「そりゃそうなんだが・・・。エルネスト少佐、君はあれがこちらへ伝令目的で来たものに思えるか?」
「・・・なんとも言い難いですね・・・」
しかし、“伝令目的でない”とはっきり否定できない以上どうしようもないとして、結局前部甲板へ向かった。
上空を飛龍が覆い尽くす。
「すごい数だ・・・」
上を見上げた儀仗兵がつぶやいた。
「数は・・・200くらいか?」
俺も上を見て言った。
「そのくらいですかね。」
「伝令か?この数。」
「・・・とは思えませんがね・・・」
「飛龍1!降下してきます!」
儀仗兵が叫んだ。
飛龍は俺らの目の前に降りてきた。
「いやー、申し訳ない。どの艦に降りればいいのかわからなくて長い事旋回していたんだ。この艦でよかったのかな?」
そう言いながら人が飛龍から降りてきた。
こりゃ飛龍と言うより、プテラノドンとかいう空飛ぶ恐竜そっくりだな。
あれ、空飛ぶ恐竜だから飛龍で正しいのか?
ややこしくなってきた・・・
儀仗兵が捧筒をし、俺は前に出た。
「伝令の任ご苦労。連合艦隊司令の谷岡中将です。」
「アドリミア王国第1皇女、リースベト・ラウラ・リア・アドリミアだ。よろしく。」
ん?
第1皇女?
・・・自ら!?
「中将。」
後ろからエルネスト少佐に小声で声をかけられるまで、俺は?マークの大量生産をしていた。
「よ、ようこそ。重巡“仙崎”へ」
「姉さん!」
「ピーア!」
重巡“仙崎”の会議室。
ここでまず感動の再会が行われた。
むこうのたっての希望で、まずは第2皇女との再会と言うことになった。
そのために艦隊を止め、輸送艦“大隅”から移送することになったが。
「さてと。詳しくお話を聞かせていただけますよね?」
外務省の越智さんが言った。
(越智さんが外交の狼と化してる!)
直感的にそう思った。
あれほど「なんてことをしてくれたんだ!」とか叫んでしまいには拗ねていた人とは思えないな。
向こうは第1皇女とその護衛6名。
残りは上空を飛び回っているか、近くの島で着陸待機しているらしい。
“何かあればあの200匹の飛龍に襲われるのか・・・。ん?そもそも龍の数え方は匹でいいのか?”
そんなくだらないことを考えていると、越智さんが睨むような笑顔で言った。
「さあ、外交を始めましょう。」




