表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
日本民主主義国編
4/174

軍-2

今回は軍関係のお話です。

鉄道はいつ出てくるんだろう・・・

しばらくして、俺は隣の佐藤の部屋を訪ねた。

「と、とりあえず整理終わったぞ。疲れたが・・・」

佐藤は雑誌を読みながらラジオを聞いていた。

「ラジオあるのか?」

俺はそのことに驚きだった。

「あるよ。新聞もあるし、雑誌もある。無いのはテレビとインターネットかな。」

寝っ転がっていた佐藤は起きながら言った。

「意外に発達してるな・・・」

「いや、問題は別の方面は全く発達していなかったりするところだ。」

「と、いうと?」

「日本から部分的に発達した文明を入れて行ったせいで、一部だけが発達してしまったんだ。」


佐藤の話を分かりやすく言うとこうだ。

例えば、報道は第2次世界大戦前後のレベルまで発展している。一方で軍事や治安維持面は明治時代レベルだったりするのだ。


俺と佐藤は佐藤の執務室へ移動した。寮を出てまたパトカーに乗り、数分走ったところにあった。今度はコンクリート製の建物だ。

「正直、たにさんには明日からでも働いてもらいたい。」

執務室へ入るなり佐藤が言った。

「そこまで事態がひっ迫しているのか?」

「まぁ、陸軍はまだしも、海軍は特にね。」

“海軍”という言葉に俺は自然と反応してしまう。


その時、ドアがノックされた。

“失礼します!海軍準備室のエヴェリーナ中佐ですが”

「どうぞ!」

佐藤が答える。


入ってきたのはまだ若い女性士官だった。

「お呼びですか?佐藤大佐。」

「ああ、エヴェリーナ中佐。こちらが谷岡大佐。海軍準備室に大いに役立つと思うよ。」

俺は驚いた。

「ちょっと待て!大佐!?俺が!?」

「たにさん。悪いけど事態はひっ迫、かつ深刻なんだよ。」

「いやいやいやいや!俺この国のこと何もわかってないんだけど!」

「それを言うなら僕たちは海軍について何もわかっていないんだ。一応陸軍の船舶部が今のところやっているけど、コロンブスが使っていたような木造帆船に兵士を乗せて、不審船に近づいて乗り移るなんてことをやっているんだ。」

「そのレベルかよ・・・」

俺は驚いた。まるで某有名な海賊映画だ。

「それで佐藤。船は木造船だけか?」

「いや、正確にはある。だけど動かし方を誰も知らない。だから動かせない。」

「案内してくれ。これでも俺のじいちゃんは元海上自衛隊に居たんだ。船に関する本なら読んだことがある。」

「わかった。エヴェリーナ中佐。よろしく。」

「わかりました!」

エヴェリーナ中佐は立派な海軍式敬礼をして答えた。


エヴェリーナ中佐の運転するトラックで海へ向かった。この駐屯地が海に面していることはこの時初めて知った。

「こいつは、旧日本海軍の駆逐艦だな。」

見てすぐわかった。

「分かるんですか!?」

エヴェリーナ中佐の驚きようにこっちが驚いつつ返答する。

「ああ、俺たちのいた世界ではこういう軍艦のデザインは国ごとによって“個性”が出る。俺はどこの国の軍艦がどう、とまでは言えないが大日本帝国海軍の駆逐艦はゲームやらなんやらでよく見ていたからな。」

「げ、げいむ?」

「こいつは恐らく陽炎型駆逐艦だ。ただ・・・艦名が書いてないな。陽炎型なら艦の横腹に艦名が書いてあったと思うんだが・・・。消したか・・・」

「陽炎型?えっ?え?」

すでにエヴェリーナ中佐は混乱状態だ。だが興奮していてそんなことどうでもいいとしか思わなかった俺は勢いよくタラップを上がって行った。


「止まれ!」

「誰何!?」

甲板には2名の警備兵がいた。エヴェリーナ中佐があわてて警備兵をどける。

俺はダッシュで艦内へ入った。


中は真っ暗だった。こちらの世界に来た時から持っている懐中電灯で照らしながら艦橋を目指した。

中は暑く、空気はこもっていた。だが艦内は物どころかほこり一つ見当たらない。

艦橋に出た。


「・・・マジかよ。本物だ」

艦橋に出て改めて本物であることを実感した。

たくさん並んだ伝声管。近代の護衛艦とは違って大きな木製の舵。GPSどころかコンピューターの“コ”の字すら見当たらない艦橋。

「ちょっと早いですよ・・・はぁ、はぁ。おいて行かないでくださいよ・・・」

エヴェリーナ中佐が息を切らしながら言った。

だが俺はそれと入れ違うようにまた走り始めた。


艦橋から降りて艦の下の方へ。

目的地はもちろん、艦の心臓、機関室。

「あった!」

水密扉を開けた瞬間にわかった。

「おそらくエンジンを動かせば発電して電気もつくよ・・・なぁ。」

実際船に船員として乗り組んだ経験はない。よって予想だ。

だが実際、エンジンの起動方法も知らない。周りは旧漢字が簡単にふってあるだけでもちろん“このスイッチをこうするとこうなります”みたいな説明はない。


俺はさらに艦内を走り回った。

途中で艦長室を見つけ、中にあった本や書類を漁る。

「あった!発電機についての説明!」

どうやらエンジンとは別にあったようだ。


再び走る。発電機を目指して。

「ん?待てよ。」

改めて艦長室から持って来た資料に目を通す。

「“蓄電池室”・・・」


蓄電池室に入り、旧漢字と格闘することしばらく・・・


ようやく電気をつけることができた。


「バンザーイ!」

俺は一人喜び、久々に艦の外に出た。


警備兵二人は艦内に電気がついていることに驚いて慌てふためき、エヴェリーナ中佐はクタクタといった様子で艦内から脱出してきた。

「よし、これでどうにかなりそうだな。エヴェリーナ中佐、ドックはあるのか?」

「ふぇ?あるにはありますが・・・。」

「すぐ使えるようにしておいてくれ。艦を動かす目途が立った。数日中にもドック入りさせたいからそのつもりで。それとこの艦を動かすにはどう少なく見積もっても30名はいると思う。明日から突貫で教育するから覚悟するように!」

「ふぇ?え?」


俺は混乱するエヴェリーナ中佐をよそに、再び艦内探索へと戻った。


登場人物紹介 その2


佐藤浩太

身長 163cm

体重 95kg(ただし変動が激しい)

出身地 東北(東北地方を転々としていた)

見た目 デブ

ただし、一見太っているように見えるが先頭になった瞬間ものすごい運動能力を発揮する。サバゲーでは常に最前線で戦っていた。

兵器、軍事オタク。一応谷岡と同じ鐵道研究会のメンバーでもあった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ