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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
外交編
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外交編-8

やっぱり夜中に書いたら眠い・・・

海賊を打ち払ってから数日。

輸送艦“大隅”では奴隷と海賊の選別が終わっていた。

救助者は125名。

うち、海賊は23名。

海賊の大半は砲撃で吹き飛んだようだ。

選別は簡単だった。全員に“誰が海賊だ?”と聞いたら、奴隷のふりをしている海賊をすぐに蹴り出してくれた。文字通り、蹴りながら・・・というかフルボッコにしながらと言うか・・・。


そして救助者全員に伝えた。

①艦内を勝手に出歩かないこと。この船は軍艦であるため、場合によっては我が国の法律で裁かれる。

②乗組員の指示に従うこと。

③アドリミア王国まで送るから、それまでは大人しくしていること。

もちろん、これは第2皇女様にも了解してもらった。


「前方1000!海龍艦5!」

出港から2週間。

日本民主主義国歴12年10月29日午後。

ついにアドリミア王国近海へたどり着いた。

「ほぉ~、あれが海龍艦かぁ~」

海龍艦とは、アドリミア王国周辺では当たり前の軍艦で、むしろ海龍なしの軍艦の方が異常と言うべきか。それは置いておいて。

海龍艦とは文字通り、海龍に船を曳かせた軍艦である。

海龍は体長1~800mの海にすむ龍で、比較的大人しい龍だ。しかも頭が賢く、人の言葉を理解する。ただし、体の構造的にしゃべることはできないが。

ただし、海龍艦はコストが半端ない。海龍は1日に魚を100kg食べるとも言われている。

ただ、それを補うだけの利点として、重巡クラスの船を曳かせても20ノット(1ノット=1.852km/h)つまり、時速37kmで移動することができる。

これはアドリミア王国にとっては大変速い。まぁ、我が国にとってはお話にならないのだが。


俺は本で読んで存在はしていたが、実物を見るのは初めてだった。

「アドリミア王国海軍は、海龍艦を5隻しか持っていないと聞いてましたが・・・」

ヘルマー中佐が双眼鏡を覗き込んだまま言う。

「新しく建造したか・・・どちらにしても大盤振る舞いで出してきたな。」

海龍はコストがかかるし、そもそもしつけるのが大変だ。普通にしつけで人死にが出るらしい。そんなものが大至急で建造できるわけがない。せいぜい増えても1~2隻だろう。


そう考えればどちらにしろ、大盤振る舞いだ。


「海龍艦1隻、接近!」

見張り員が叫んだ。

「なぁ、ヘルマー中佐。海龍艦は国際信号旗を装備していると思うかね?」

「してないでしょうなぁ。なんたって旗を掲げそうなところが無い。」

俺とヘルマー中佐はそんなことをのんきに話しながら見ていた。

「艦隊停止!海龍艦には“大隅”へ行くように伝えろ!」

「ハッ!ですが、どうやって・・・」

信号兵は困った顔をしている。そりゃそうだ。

モールス信号も知らないだろうし、国際信号旗も知らない。もちろん無線機も積んでないだろう。

「え~・・・。メガホンで叫べ!」

「え!りょ、了解!」

戸惑いつつ信号兵は走って行った。


それを見ていたヘルマー中佐が一言。

「艦外スピーカーを使えばいいのに。」

「あ!」

忘れてた!そんな便利なもんがそう言えばあった。

あわてて後追いの伝令を出した。後で聞いた話では信号兵君はがんばってメガホンを大量に用意して、非番の海兵と一緒に同時に叫ぶ算段をしていたそうだ。

う~ん、優秀?



輸送艦“大隅”

俺は小型の手漕ぎ船でやってきた海龍艦の艦長を、甲板で出迎えた。

タラップから、恰幅の良い男性がやってきた。欧州貴族みたいな服を着ている。

どことなく、ルネッサーンス!と叫んでいた芸人さんを思い出すな。


それはさておき。


大隅にやってきたのは5人。

ルネッサンスな恰幅の良い男性が一人。

もう一人は儀仗兵のような、赤と青と白の軍服を着た男性。

あとは、儀仗兵のような恰好ではあるが赤と白の色しか使われていない。


「アドリミア王国へようこそ。私は男爵のニューリッキ・スオンパーだ。」

「お出迎えありがとうございます。男爵。私は日本民主主義国国防海軍艦隊総司令、兼連合艦隊司令の谷岡中将です。」

「よろしく、谷岡中将。」

「こちらこそ、男爵。」

そういいながらアドリミア王国の爵位制度を思い出す。


一番上が、皇帝。

二番目に、皇族が来る。第2皇女様もこの中だ。

三番目に、公爵。昔から皇族と付き合いの長いものがなるそうだ。

四番目が、侯爵。読み方は三番目と同じコウシャクでも、皇族と長い付き合いの無い者だそうだ。

五番目に、辺境伯爵。地方自治を任されている貴族のことだそうだ。

六番目に、伯爵。

七番目に、子爵。

八番目に、男爵。

九番目に、準男爵。

十番目に、功績騎士。


あ~、もう!ややこしい!

そう考えるとこのニューリッキはそこまで大物ではない。


「とりあえず、艦内へどうぞ。」

特別臨検隊が捧筒で作った通路を、俺とアドリミア王国代表者ご一行は艦内へ向かった。





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