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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
外交編
34/174

外交編-5

更新遅れました。すいません。

今後、半年くらい更新しないこともあるかもしれません。

ご了承ください。

結局メイドのノエルさんには、他の女性海兵と一緒に兵員室で寝てもらうことになった。


この重巡“仙崎”はやたらめったら居住性が重要視されていて、兵員室はなんと2~3人部屋。2~3段ベッド。

ハンモックで所狭しと寝ていた日本海軍に比べれば何たる居住性!


さらに言えば風呂がある!

海水を淡水化した水を使用。つまり、真水使用!

何と言う贅沢なのか!

ちなみに海水に切り替えも可能だそうだ。


艦隊司令室にお引っ越しを済ませた俺は、とにかく居住性に驚いていた。

「すげぇ、冷暖房まであるぜ。」

あれこれスイッチを入れては切り、はたからみれば子供同然の行動だ。

ドアがノックされる。

「はい!」

“残りのお荷物をお届けに上がりました。”

ノエルさんだ。

「どうぞ~。」

ドアを開けると木箱を持ったノエルさんと2名の海兵が入ってきた。

「いや~、どうもありがとうね~。どうだった?内火艇の乗り心地は。」

昨日まで埠頭に停泊していた重巡“仙崎”だが、出港が決まって他の艦にも物資を積み込まなければならないということで、埠頭を追い出されてしまった。今は沖合のブイに停泊中である。

よって上陸しようと思えば内火艇という、軍艦に積んである小型船に乗っていくしかないのだ。

「ええ、問題ありません。」

すました顔でノエルさんがそう言うと、後ろで海兵がクスクス笑った。

俺がそれを見て首をかしげるとノエルさんも背後で笑われていることに気づいたようで、何か小声で2人に言っていた。

さては・・・船酔いしたな?


「それで谷岡中将。この箱の中身は書類でしたよね?」

「ああ。そうだが?」

「これは、何ですか?」

取り出されたのは、瓶。


・・・ばれた。


実は相変わらず心配性な俺は艦隊司令室のあちこちに缶詰や酒を隠していたのだ。

このように書類などを運び込む荷物に紛れ込ませたり、自分のカバンに入れて持って来たり、知り合いの海兵に頼んで買ってきてもらったりと方法はいろいろだ。

ついに27個目にして、ばれた。


よりによって結構気に入っているワイン!


「あ~、それは、酒だな。」

「そうですね。海軍の主計科を通しました?」

通してない。

嗜好品持ち込みについてはやたらとうるさかったので、こっそり持ち込んだのだ。

「・・・ハハハ~」

「まぁ、私は海兵ではないのでそこまでとやかくは言いませんけどね。」

た、助かった~。

だが、なんだか弱みを握られた気分だ。

ちくしょう。


こんなこともありながら、出港準備は順調に進んで行った。


ところが、12年10月12日。

つまりは出港3日前。

嵐が来た。

ジャ○ーズ事務所ではない。

台風みたいなやつだ。

できればTOK○Oが来てほしかった。開拓に役立ちそうだし。特に農業。


じゃなくて!


嵐が来た後、日本民主主義国は少なくはあるが被害を受けた。

まずはけが人。

海軍都市建設では、工事関係者が十数名ケガをしたということで沖合にいた駆逐艦に緊急搬送されて、駆逐艦の軍医に応急処置を受けながら運ばれてきた。

そして瓦礫。

湾内に少なくない瓦礫がどこからか流れ込み、掃海艇が出動していた。

幸いにしてすぐに航路は確保されたのだが、未だ多くのがれきが漂っていた。

街中にも瓦礫が転がっていたそうだが、ボランティアと役所の力で数日でどうにかなる程度だった。


だが、行う予定だった出港行事が中止になった。


「まぁ、仕方ないわな」

露天艦橋で忙しく動き回る掃海艇を見ながら俺はそう言った。

「そうですか・・・」

伝言しに来たエヴェリーナ少将は悲しそうな顔をする。

「なんだ?やりたかったのか?」

「いえ、まぁ、その・・・。そうでもないんですけど。国民の皆様に見送ってほしかったというか、何と言うか・・・」

「ほぉ~。しかし、その国民の皆様は大忙しなんだ。仕方あるまい。」

しかし、エヴェリーナ少将がそう言うように思っていたとは、意外。


そう言うわけで12年10月15日。

式典もないのでバラバラに出港し、湾外で艦隊を組んで、連合艦隊は一路、アドリミア王国へ向かった。




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