外交編-1
これからはぼちぼちと海軍都市を混ぜながら、外交編を書いていくつもりです。
都市なんて数年がかりで作るものですからね。
みなさんは陸・海・空の3自衛隊の中で、一番外国と接する機会の多いのはどれか、ご存じだろうか?
答えは、海上自衛隊。
練習艦は世界一周するし、リムパックなどで世界的海軍演習などにも参加する。とにかく外国の船、軍艦、国に接することが非常に多いのだ。
(いつぞやの護衛艦「かしま」とクイーンエリザベス号のような物理的接触を表すものではない。)
日本民主主義国
首都 桜市 中心部
首相官邸
「それで・・・彼で大丈夫なのかね?」
「ええ、問題はないかと。」
木嶋総理の質問に、斎間大将が答える。
「吉住君、外務省としてはどうなんだね?」
「もちろん、我が外務省からも役人を派遣します。問題はないでしょう。」
「そうか、なら、あとは任せよう。」
こんな会議があったことを俺が知ったのは、すべてが終わった後だった。
そのほぼ同時刻。
俺は桜市郊外にいた。
「知っての通り、桜市は市内を路面電車が張り巡らされているから市内交通には問題ない。ただし、都市外への交通はこれから問題になる。」
これにダドリーさんもうなづいた。
「今までは我が国にある都市は桜市だけでしたからね。市外への交通はあまり考えなくてよかった。」
「ところが今度、我々の作っている海軍都市ができることになる。だが桜市との交通の便が悪ければ、国の分裂まで起こしかねない。」
これは実例がある。アメリカだ。
かつてアメリカは西海岸から東海岸まで開拓したは良かったが、東西の連絡はものすごい時間がかかっていた。東海岸に住む人々は西海岸に何の馴染みの無い人も増えて来て「西海岸の奴らに占領されている」と思う人が出てきたのだ。
これを解決したのは大陸横断鉄道だった。これによって西海岸と東海岸はぐっと近くなり、人の往来も増えた。
大陸横断鉄道が無ければアメリカは東西で別の国になっていたとまで言われるほどである。
とにかく、あまりにも離れすぎて交流できないようでは、外国も同然の存在になってしまうのだ。
「今は下水道工事などで桜市は再開発です。そこにねじ込んではいかがですか?」
「ダメだ。駅が小さくなりすぎる。」
「となると・・・」
「やはり、ここか」
俺とダドリーさんが来ているのは桜市の北側の郊外だった。ここら辺には住宅も少なく、路面電車も1系統だけが近くで折り返す程度だ。
「やはり、ここに作ろう。鉄道技術者はいるんだよな?」
「ええ、路面電車で培った技術がありますし。どちらかと言えば問題は、蒸気機関車では?」
「まぁなぁ。一応目途はついているんだが・・・」
俺は元々、鉄道オタクだった。
特に一時期、蒸気機関車にはまり込み、本を買い集め、静岡県の大井川周辺に何度も行った(←わかる人にはわかります)
さらに調べてみるとご先祖様は国鉄職員だったそうで、祖父の家からご先祖様が書いた蒸気機関車の本をもらって来たりしていた。
その本も、この世界に来ている。部品や設計図、メカニズムまで懇切丁寧に説明してくれているその本があれば、あとは技術者に任せれば作ってくれるだろう。
だが、一つ問題があった。
その本が書かれたのが、戦前なのだ。
つまり、古い蒸気機関車しか載っていない、ということ。
「C62どころかC57すらないとは・・・。この本ではC53が最新鋭機になってるぞ。」
古すぎだ。
まぁとにかく。
「ダドリーさん。ここの用地買収と線路の敷設、駅の建設をお願いします。」
「わかりました。」
俺は桜市駅建設予定地を後にした。
駅はかなり大きくするつもりだ。首都の駅、と言うこともあるし、今後国土拡張や諸外国との鉄道交易が始まっても問題の無いような大きさにするつもりでいる。
「海軍退役したら、私鉄でも始めるか。」
そんなことを言いながら車へ戻った。
午前に都市開発に顔を出したら午後は造船所だ。
最近は何かと忙しくなってきた。
特にその原因となっているのがこれから行く造船所だ。
造船所作業員が作業になれ、ドックも新設したため軍艦が次々と進水していったのだ。今までは斎間大将が進水式に出てくれていたが、忙しくなったとかで俺が代わりに出ることも多くなった。
今では様々な艦種の様々な大きさの軍艦が湾に漂っている。
「やはり、軍港が必要だな。このままじゃ湾内が軍艦であふれかえっちまう。」
俺はロンドンタクシーみたいな高級車(ちなみに車種名は、柳2型)に乗って海沿いの道を走った。
これで副官が居れば・・・(以下略)
進水式は始まる寸前だった。
今回は特別な進水式のため、参加する海軍将校は斎間大将がトップとなっている。
「おや、エヴェリーナ少将。久しぶりだね。」
第1艦隊司令(とはいっても第1艦隊にいるのは駆逐艦8隻なのだが)になっているエヴェリーナ少将にあいさつした。
「あ、お久しぶりです。谷岡・・・中将でしたっけ?今。」
「オイオイ、一応艦隊総司令なんだから、あんたの上官だぞ?階級くらい覚えておけよ~」
「すみません。いかんせん忙しいもので・・・」
そりゃな・・・。今は海軍に3人しかいない“将軍”の一人だもんな。
「まぁいいや。あれ?斎間大将は?」
俺の隣に座るはずの斎間大将がまだ来ていなかった。俺ですら開始ギリギリで飛び込んできたというのに。
「まだいらしてませんね。」
「いや、ちょっと待てよ。じゃあ海軍代表挨拶は・・・」
「谷岡中将になるでしょうね~」
「もしかして、“あ~、自分に回ってこなくてよかった~”とか思ってる?」
「思ってま・・・・い、いえ!思ってませんよ!そんなこと!」
“それではこれより、重巡洋艦、仙崎の進水式を始めます。”
この俺への死刑カウントダウンが始まると同時に、俺の頭はフル回転であいさつの言葉を考え始めた。
“まず初めに、海軍代表の方からのあいさつです。”
死刑早い!(泣)




