海軍都市編-7
なるべくA4用紙3枚を目安に投稿しているんですけどね・・・
ここ最近の話は5枚くらい行ったやつが多いんで、今回の話は短く感じるかもしれません。
ですが、一応これが”普段通り”の量です!
あちらこちらで陸軍兵が陸戦隊兵に銃を向ける光景が見えた。
すでに海軍都市建設予定地テント村は大混乱だ。
陸軍に素直に投降する者、陸軍にくってかかる者もいる。
バァン!
ついに銃声がした。
「き、貴様ぁああああ!」
陸軍兵か陸戦隊兵か、どちらが叫んだのかは不明だ。
この銃声を合図にして、撃ちあいが始まった。
俺はこの混乱に乗じて、東側の川を目指した。
さすが戦車。場所はすぐにわかった。
「中将!いったい何事ですか!?本部からも応答がないんですが・・・」
戦車兵が俺に言った。
「説明は後だ!陸軍が陸戦隊に発砲した!すぐに戦闘態勢を取れ!」
「了解!」
それを聞いた兵が「戦闘態勢―!」と叫びながら走って行った。
「ここの隊長は誰だ?」
俺は近くに居た兵に訊ねた。
「第2小隊長のリサ・バスケス少尉です!すぐに呼んできます!」
少しして、バラバラではあるが陸戦隊兵が集まってきた。俺はその間に応急の陣地を作らせる。土嚢を積み上げて壁を作り、地面を掘って連絡通路を作る。元々開拓する予定だったのだ。先にもって行っておこうということでスコップや工具はたくさんある。
どうしても文字通りの“背水の陣”になってしまうが仕方ない。陸軍もバカばかりではないから本国への道は封鎖するだろうし、陸軍と正面からぶつかって人死にを出すのは避けたかった。
「第1中隊第2小隊長リサ・バスケス少尉!参りました!」
女性士官がやってきた。
「緊急事態だ。いざとなったらあのボロ橋を使って対岸に逃げる。その用意をしながらここで防衛戦闘する。戦車以外の車両を橋の近くに集合させておけ!」
「了解!」
10分ほどで銃声も下火になった。
最後に戦車4両と、エルネスト大尉が来て、それ以降陸戦隊兵は来なくなった。
「無事だったか!大尉!」
「味方の弾で死んではやり切れません。ところで状況は?」
「無茶苦茶だよ。2個中隊しかいない。戦車が全車いるのは不幸中の幸いだな。」
「ええ、まぁ。それにしても一体何事なんですか?あれ。まるで俺らを敵とみなしているようだ。」
「俺が聞きたいよ。それでどうだ?伝令は出せたか?」
「ダメでした。先にバイクが壊されていて・・・。伝令兵が歩いていくと言ったんですが、止めました。」
確かに。本国まで100km近くある。途中の赤嶺岬診療所ですらいくら甘く見積もっても60kmくらいあるだろう。ほぼ何も持たず行くには厳しすぎる距離だ。ベテランの兵ならまたお話が別なのだろうが、残念ながらわが軍全体を見ても“ベテラン”と呼べる兵はいないであろう。
まだ国防軍自体、設立して日が浅いのだ。
「中将!ご無事でしたか。」
戦車からごつい男性が出てきた。
「アキム・ヴァクリン大尉!大丈夫だったか?」
アキム大尉は、今回連れてきた戦車隊の隊長だ。元は陸軍の戦車兵だった。
「ええ、なんとか。どうします?なんならこいつであいつらを蹴散らしますが。」
アキム大尉が戦車の車体を叩きながら言った。
「いや、味方同士で撃ち合いしたくない。いざとなったら川を渡るぞ。用意しておけ。」
「了解!水深20m以内なら行けますよ。」
そう言ってアキム大尉は戦車へ戻って行った。無線で他の戦車へ伝達するのだろう。
「報告!陸軍戦車3!川上流へ回り込んでいます!」
兵が報告する。
「どうします?側面を取られます。」
エルネスト大尉が訊ねる。
「仕方ない。大尉、後退戦を指揮しろ。アキム大尉!戦車隊は最後まで残って歩兵が橋を渡りきるまでここを守れ!」
「発砲は!?」
「許可する!ただし、最低限だ!歩兵が橋を渡り終えたら全車川を渡れ!」
「了解!」
アキム大尉は戦車のハッチを閉めた。
「エルネスト大尉、俺は橋へ行く。最初に徒歩の兵を渡らせ、後に車両に兵を乗せて渡らせる。それまでもたせろ!」
「了解!」
俺は、走り始めた。
橋に到着した。あらかじめリサ少尉に戦車以外の車両を橋の近くに集めるように指示しておいたため、トラックや自動車の大半がここに集まっていた。
すぐに車両を点検する。銃弾を受けているものもあるが、エンジンやタイヤなど重要な部分に被弾したものは無いようだ。
だが、問題が発生した。
兵がのるスペースがないのだ。
ほとんどのトラックに荷物が積んである。しかも大事な弾薬や食料なので、捨てていくわけにもいかない。
驚いてナンバープレートを確かめると、ほとんどが補給班の車両だった。
「まいったな・・・」
その時、いいものを見つけた。
「そういえば持ってきていたな・・・これ。」
俺は近くの兵をかき集めた。