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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
南大陸編
165/174

南大陸ー5

あ、1話分書けたんで投稿します。

上陸した先で待っていたのは、ミア・プラウスを含め3人の冒険者。オードリアン事件で菊崎市警に口利きする代わりに海軍の密偵としてのんきに冒険者をしてもらっている。

んでまぁ、現在の状況といえば“隠密に”上陸したはずなのだが、外務省特別顧問のカルマさんが冒険者たちになんか歓迎されている。

「とりあえず、再会を喜ぶのはいいが、移動した後にしてくれないか?」

俺は感動の再会に水を差さざるを得なかった。


海岸から徒歩10分くらいのところの掘っ立て小屋が今日の寝床だった。風向きがよくないときに漁師が休む漁師小屋だそうだ。魚臭い。

「汚いところですが、我慢してください。明日は町に入る予定なので。」

リーダーだというエトーという青年が言った。

俺は地図を思い出す。


おそらく、ここは港町から20kmくらい離れたところだろう。ちなみにもう、潜入先の国、マーヴァーグ王国に入っているそうだ。

なぜ“そうだ”なんていうあいまいな言い方なのかというと、この周辺はまだ海軍の海図がないからだ。作戦前に見せられた縮尺のあいまいな、イラスト地図みたいなものしか見せられていない。そのため、それが偽物ならおそらく騙されたままであろう。


「いったいどこに行っていたのよ!?それになんでこんなやつと一緒に行動しているの!?」

ミアさんが“こんな奴”の代表格として俺を指さす。

一発殴ってやろうか?お前らの雇い主だぞ?


「・・・別に」

「カルマ、せめていなくなる時は一言欲しかったな。」

今度はエトーが声をかけている。


まぁ、そっちは俺にはどうでもいいとして・・・。



野生の勘、ではないが、今回の任務、何か胡散臭い。

鍵本外務大臣あのあくにんづらが俺を直接派遣した理由は大体わかる。失敗したときに俺に全責任を擦り付ける気だ。

かつて原爆の落とされた町、広島出身で海軍の中でも“影の大将”などと呼ばれる俺なら国民も「強硬手段を独自でとりかねない」と思うだろう。申し訳ないが佐藤も道連れだ。「核兵器に詳しくない谷岡海軍中将は、兵器に詳しく大学の同期でもある佐藤軍需庁少将を連れて、無理やり核爆弾を処理、廃棄しようとした。」

そんなところだろう。


そんなことは想像にたやすいのでどうでもいい。


それ以外、それ以外に何かあるはずだ。

外務省はいったいどうやって場所に目星をつけた?国の特定程度はまだしも、このマーヴァーグ王国はなかなか広大だ。こんなたかだか数人で探索できる程度の国ではない。


「おう。」

一人で思案にふけっていると、大剣を持った大男が声をかけてきた。

「たしか・・・バートさん、でしたか。」

「ああ、バートでいい。タニオカ。」

俺も呼び捨てかい。いいけど。

「まぁ、今回は初回だからなんともわからんが、一つ聞いておきたい。俺たちを雇っているのはお前らの中の誰だ?」

「ん?」

「ある程度素性は知っている。お前ら3人は同じ国の別の組織の所属なんだろ?そのうち、俺らを雇っているのはタニオカでいいんだよな?」

「ああ。そうだ。海軍が雇っている。んで3人のうち海軍は俺だけだ。」

「わかった。

いざとなったら俺たちはお前に従う。」


そういってバートは立ち上がって酒をラッパ飲みしていた。

「バート!明日も早いんだからそんなに飲まないでよ!」

「いいだろうが!明日には次の酒が買えるんだからよぉ!」

「ミア、バートも。そんなケンカしないで。とりあえずカルマが無事だったことを喜ぼうよ。」



翌日。

俺らはゴトゴトと荷馬車に揺られていた。


海沿いの街道を時速10kmそこらでゆっくり進む。

「なぁ佐藤よ。こうしてみると、“異世界感”あるよな」

俺は隣に座っている佐藤につぶやいた。

「・・・」

「佐藤?」

「あ!何!?谷さん。ごめん!ボーっとしてた!」

「いや、別にいいんだが・・・。大したことじゃない。」


この頃、佐藤の様子はあからさまにおかしい。あいつはうそのつけないタイプだ。大学時代からよく知っている。

だが、何を隠しているのかはわからない。


・・・いや、俺が疑心暗鬼に勝手になっているだけかもしれない。俺も初めての潜入任務だ。ただ単に疑り深くなっているだけで、佐藤も緊張しているだけなのかもしれない。

情報だって外務省なら情報収集の手法が海軍より優れているのは当たり前だし、そこを深く探らないほうがいいのはわかりきっていることだ。




そうこうしているうちに、馬車はマーヴァーグ王国の港町、パイスに到着した。





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