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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
南大陸編
164/174

南大陸ー4

なんかお久しぶりです。

書いちゃったんで、投稿します。

1年以上も、お待たせしました。

仕事がお給料面以外がまぁまぁブラックなんで、まだまだ不定期更新が続きます。

ゴウンゴウンゴウンゴウン・・・


特務艦の中はそれなりにうるさかった。


「こんなにうるさくて大丈夫なのか・・・?」

俺は思わずつぶやいた。

「まぁ、対潜ヘリもないこの世界では問題ないでしょう。今は全速力で突っ走っているのでうるさいですが、無音航行もできますよ。」

特務艦「伊―01」艦長、勝山勝かつやままさる大佐が答えた。

元日本人のこの艦長は、俺よりもあとにこの世界に来た元海上自衛隊員だ。その経歴に俺は歓喜し、さらにその海上自衛隊での経験を聞いてさらに歓喜した。潜水艦経験者で、潜水救難艇配属だったこともある。つまり、潜水艦に関してはプロ中のプロだったのだ。


そして、ここまで書けばわかると思うが、特務艦「伊―01」は、潜水艦だ。


「現在、深度50、速力10knで航行中。ソナー感無し。付近に航行中の船舶無し。」

「了解だ榎本えのもと中尉。日没まで深度このままだ。」

「ハッ。」

勝山艦長が副長の榎本中尉に答えた。


「んにしても、異世界転生ってだけで驚きなのに、まさかこんなじい様たちが乗っていたような潜水艦に乗るとはねぇ・・・。しかも超軍機ときた。」

勝山艦長がぼやく。

「申し訳ない。ご不便おかけします。」

「まぁ、潜水艦ってのは多かれ少なかれ、軍機の塊だわな。俺があの世界で死ぬ前は、訓練施設くらいならテレビに公開してたがな。

そういや、引退した潜水艦をおかにあげて博物館にするって話、どうなったかな。」

「ああ、できてましたよ。呉に。」

「お、お前さんは・・・あ、いや失敬。中将殿。」

「別にいいですよ。勝山艦長からすれば素人同然です。」

「いや、軍においては・・・まぁいいや。谷岡さんは、俺よりも後に死んだみたいだな。」

「そうなんですか?」

「俺が死ぬ前には、その博物館はできてなかった。まだ検討段階で、どたばたしていたなぁ。」

勝山艦長は懐かしむように遠い目をしていた。


「なぁ中将殿。」

いきなりの真面目トーンに俺は驚いた。

「な、なんでしょう。」

「頼みがある。


今回の作戦が成功したら、潜水艦の存在を公表してほしい。」


司令部室の全員が、自分の任務を果たしながら、俺に注目しているような気がした。


「別に艦内を公表しろってわけじゃない。存在の公表だけでいいんだ。

このまま、死んでも死んだことすら記録に残らないのは、結構つらいんだ。」


勝山艦長の言葉は、重かった。

現在、彼を含めこの間に乗り組んでいる兵全員が“存在しないこと”になっている。さらに言えば潜水艦基地のある島の場所は海軍の海図にすら書かれておらず、そこで働く基地職員、乗組員は外出が制限され、その島で暮らしている。さらに言えば、その島の弾薬貯蔵庫には秘密の隠し扉があり、そこには巨大な爆弾が設置されている。それは、外務大臣、海軍総司令、艦隊総司令の誰か一人の命令で爆破される。その瞬間、彼らはこの世から文字通り“何も残さず”消え去るのだ。


「わかった。俺が無事に戻ったら、鍵本外務大臣に掛け合ってくる。」

俺ははっきり断言した。

この“潜水艦計画”、計画したのは俺だ。この件が片付いたら、潜水艦1隻目を作り始めた、と公表しよう。あとは今乗っている艦は増備されていく中で何番艦かに紛れ込ませればいい。


「野郎ども聞いたか!きっちり送り届けてシャバへ繰り出すぞぉ!」

勝山艦長は叫んだ。


ゥォオオオオオオオオオ!


「この艦、静寂性もへったくれもないな。」


乗組員全員が雄叫びを上げる艦内で俺は小さくつぶやいた。


「さ、騒がしいね。谷さん。」

そこへ小さいハッチに苦労しながら佐藤がやってきた。

「もうすぐ上陸だよな。最終打ち合わせしたいんだけど。」

「ああ、今行く。」


俺と佐藤は艦長室へ移った。


艦長室には先客がいた。

無口で、異世界物のゲームに出てきそうな魔法使いの少女だ。

外務省特別顧問というのが彼女の肩書で、名前はカルマ。一体何者で、なんでついてきたのかよくわからないが、鍵本外務大臣の命令でついてきているので仕方ない。


「・・・では、作戦を説明します。

我々外務省は核爆弾の場所についてはおおよそ目途はつけています。場所はマーヴァーグ王国。」

「・・・新聞にはアムズ国が怪しいって出ていたけど・・・」

佐藤が質問する。

「それはありえない。例の元ドイツ兵の話によれば相手国は海軍艦を要求していた。内陸国が要求する内容ではない。

・・・詳細は明かせないが、我々外務省はマーヴァーグ王国にあるという証拠を固めつつあるが、状況証拠が多すぎるので、外交の場で問い詰めるのは賭けだ。」

「そこで、軍を使ってこっそり処分、か。」

俺が話の終わりを締めくくったので、カルマは小さくうなづいた。


「・・・これは、外交の戦いでもある。かならず成功させなければならない。」


そしてカルマは、地図を開いた。

「・・・日本のと比べると縮尺もない地図だけど、無いよりはマシ。

私たちはここで上陸して、現地協力者と合流する。その手配は海軍の担当だけど、抜かりない?」

「ああ、そこは問題ない。すでに“彼ら”が近くの町まで来ているのは確認している。」

海軍が独自に世界各地に放っているスパイのうちの一つだ。

金次第で動いてくれる協力者は使いやすくていい。

つまりは、冒険者ってやつだ。


もちろん、日本民主主義国には冒険者会館はないが、そこは海軍の“担当者”が仕事のできそうで機密を漏らさない冒険者を選んで、仕事を“依頼”している。

機密を漏らそうものなら、その時はその冒険者が運よく自滅してくれるのを祈るだけだ。

・・・不思議なことに、その時の自滅率100%なんだがな。ハハハ・・・。


「それじゃ、あなたたちもそろそろ軍服それ脱いで、着替えて。」

佐藤は剣をつった冒険者の格好。

俺は、なぜか魔法使いの格好。


いままで検査したことがなかったので知らなかったが、俺には魔法の才能があったらしい。

マジかよ・・・。


そんなわけで白いローブに水晶付きのでかい杖を抱える。


う~む。軍帽がないと頭がすーすーしていまいちしっくりこない。





「中将殿。おや、見違えましたな、というよりは・・・」

「言いたいことはわかるよ。勝山艦長。仮装パーティーって言いたいんだろ。」

「いや・・・まぁ・・・・。

それより予定地点に到着です。付近に航行中の船舶無。念のため、日没を待って浮上します。」

「了解。勝山艦長。

帰りもよろしくな。」

「ご連絡、お待ちしておりますよ。中将殿。」




夜、ゴムボートで上陸するわけにもいかず、板切れにつかまって泳いで上陸した俺たちを待っていたのは、あの3人組だった。



「カルマ!!」


え?なに?

なんか現地協力者の一人がカルマさんに飛びついたけど、


あんたら知り合い?






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