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異世界で開拓を  作者: 急行 千鳥
2つ 編
142/174

2つ 編-17

ある意味、「それは、一件のレビューから始まった・・・」とでも言うべきでしょうか。

今までとアクセス数がけた違いで驚いている、急行千鳥です。


エイプリルフールは・・・終わったよね?

「撃てぇー!」

ついに俺の堪忍袋の緒が切れた。


30mmの機関砲で銃撃を続ける巡視船“おおしま”に対して反撃命令を出したのだ。

「機銃!副砲は“おおしま”を撃て!やつの機関砲が沈黙するまで撃ちつづけろ!

第4砲塔は第4護衛隊群の手前を照準!」


「艦長!“桜丸”が完全に停船しました!」

機関室をやられて惰性で航行していた“桜丸”だったが、“門”を目の前にして停船してしまった。

「どうしますか!?艦長!」

操舵員が叫ぶ。


だが、もちろんのこと曳航準備をしている余裕はない。“おおしま”はまだ銃撃を続けているし、これが終われば第4護衛隊群が攻撃を開始するのは時間の問題だ。


「そのまま押せぇー!!もう自棄やけだ!

機関半速!ゆっくり近づいて、ぶつかったら機関最大!力いっぱい押せぇ!!」

「わ、わかりました!」


俺は通信士に叫んだ。

「おい!これを越智外交官に繋げ!“桜丸”にいるはずだ!」



“・・・許可します。ただし、責任問題になった場合、地獄まで付き合ってもらいますよ。”

「わかってます。すでに地獄行は決定しているので。」

越智さんの許可を得た俺は、艦外スピーカーにマイクをつないだ。

無線機自体が珍しい日本民主主義国のある世界では、艦外スピーカーが大いに役立つ。これを使用して大声で他の船と通信するのも珍しくない。



「こちらは、日本民主主義国である!本艦は日本国巡視船より攻撃を受けた!

これは、日本国政府からの攻撃とみなし、日本国政府より我が国への宣戦布告とみなす!

よって我が国は、日本国に対し、宣戦布告する!」

この音声は、岡山県の児島地区に響き渡り、もちろんのことテレビ中継にも流れた。


“こ、これはどういうことなのでしょう!?河内リポーター!”

“わかりません!ですが、戦争が始まった模様です!未だに自衛隊、日本政府ともに正式な発表はありません!”


“こちら、岡山県の児島駅前です!瀬戸大橋の本州側の町であるここでは、逃げ惑う市民と「岡山沖海戦」を一目見ようとする市民でごった返しています!岡山け・・・ぱ・・・”


艦橋におかれたワンセグ放送を流している携帯が、突如画面を乱した。

「何があった!?」

「分かりません!さっきから調子が良くなったり悪くなったりで・・・」

持ち主の海兵は戸惑っている。


実は瀬戸大橋に近づくにつれ、使えなくなる電波通信が増えていっていた。真空管使用の無線、レーダーは早々と使用不能になり、上陸時に買ってきたラジオ、ワンセグ対応スマホも繋がったりつながらなかったりを繰り返している。


「これは予想なのですが・・・」

伊豆大尉が口を開いた。

「先ほどからの通信障害、原因は“門”ではないですかね?」

「“門”が!?」

「ええ、実はこの世界へ来るとき“門”通過中はレーダーも通信機も使えませんでした。どころか一部は真空管が壊れていました。もしかすると“門”が特殊な妨害電波のようなものを出しているのでは・・・」


「“おおしま”!大破!」

見張り員が叫んだ。

「伊豆大尉、とりあえずその話は後だ。

“おおしま”の様子は!?」

「大破漂流中!沈む様子はありません!」

「ならそのまま放置だ!」



「ミサイル!6発!」

見張り員の言葉に全員が外を見た。

「対空砲!落とせ!」

だが、時代遅れの手動機関銃が落とせるわけがない。そのくらい俺もわかっている。

「第4砲塔!撃てぇ!」

ドォン!という衝撃に近い音が響いて、弾丸が飛び出した。

主砲弾は第4護衛隊群の手前に落ちて爆発、高い水柱を作った。


「対艦ミサイル!水柱を突っ切って2発接近!」

見張り員が悲鳴のように報告した。

「総員!耐ショック姿勢!」


俺にできるのはこれだけだった。


「当たる!」

そう叫んで見張り員が艦橋へ飛び込んできた。

それからのほんの数秒が、何十時間にも感じた。


「・・・」

これで、艦後方にいる海兵の大半が死ぬ。

だが、もうどうすることもできない。


そう思っていた。



「・・・」




「・・・」






「・・・いや、いくらなんでも着弾遅くないか!?」

思わずそう叫んで俺は適当に艦後方の部署に電話をつないだ。

「こちら艦橋!ミサイルはどうなった!?」

“後部機銃指揮所です!それが・・・”

「何だ!早く言え!」

“着弾寸前でミサイルが天高く飛んでいきました。”

「は?」


「いや、だから言ったでしょう。“門”のせいでミサイルも狂ったのでは?」

伊豆大尉が足を震わせながら言った。顔は平然としているが、下半身はおびえ丸出しだ。

「いったい“門”は何なんだ!?電磁波でも出しているのか!?」


その時、艦に衝撃が走った。立っている者がよろめくほどの衝撃だ。

「今度は何だ!?」

「“桜丸”に衝突!」

俺は前を見て驚いた。“桜丸”の船尾がすぐそこにあったからだ。


先ほどから後方の戦闘にばかり気を取られていて、艦橋一同が気づかなかったというのもある意味奇跡であった。


「機関最大!“桜丸”を“門”に押し込めー!!」



「左舷機銃群指揮所より連絡!ヘリコプターと戦闘機が接近してきます!」

「無駄でもいい!撃て!近づけるな!」

「第4護衛隊群より砲撃、きます!」

「第4砲塔!当てる気で撃て!第3砲塔もだ!」


門越艦隊は、“門”の目の前まで来ていた。







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