出向編-13
友人に「なろうで小説書いているでしょ」と言われました。
つまりはバレました。
もしも、「あ、この人が作者だ!」ってわかってもそっとしておいてあげてください。作者の心は木綿豆腐よりもろいです。すぐに冷奴になってしまいます。
作者、ばれた瞬間恥ずかしさで死にそうでした。
翌日夕方。
「・・・もういくつ寝るとお正月だなぁ・・・」
すでに12月も末である。
13年12月24日。
あ、そういえばクリスマスイブだ。まぁ、こちらには“クリスマス”という習慣がないので何もないけど。
国防空軍飛地基地司令部
「結果から言えば、情報は正確だった。」
陸軍の鯵川大将はそう言った。そして不機嫌そうにこう続けた。
「だが、状況は悪くなった。」
「と、いいますと?」
俺が訊ねると、“軍機A級”と書かれた封筒から書類と写真を取り出した。ちなみに軍機、つまりは軍事機密にはA,B,Cのランク付けがある。C級程度であれば佐官クラスであればだれでも見れる程度のものだ。だが、B級となると条件が厳しくなり、A級ともなると大将くらいしか見ることができない物となる。ちなみに、俺もA級は一部しか閲覧できない。
机の上に写真がならべられる。
そこに写っていたのは、鉄鎧剣士同士の戦いの写真ばかりだった。
「これは?」
三枝大将が訊ねる。
「今朝撮影された写真を取り寄せたものです。今回の“不正貴族の一掃”がそのまま内乱になりかねない勢いだそうだ。いかんせん、取り締まり対象が多すぎた。実に、過半数以上の貴族が対象だ。」
あ~、まぁな。アトリス商会から買ったリストを思い出すと、納得いくな。
「現在、キレヌ王国国内はこの一掃に抵抗する貴族とその私兵、そして一掃の任務を任された王国軍と近衛兵で戦っている状況です。はてさて、これが3日で終わるかねぇ・・・」
呆れたような顔をして鯵川大将は書類を封筒に戻した。
「それで?空軍さんと陸軍さんの予定はどうなっているのです?」
俺は2人に聞いてみた。
「陸軍は明日早朝にでも出発。2日かけてキレヌ王国手前で待機。」
「空軍は第1空挺団が出るわ。陸軍が到着し次第ね。それで?海軍さんは?」
「第1陸戦師団ですか?まぁ、あれは予備要員らしいですよ。今のところ、“飛地”で待機、としか連絡はきてません。」
正確には、万が一アドリミアが裏切った場合に備えろ、とのことだ。だが、もちろんこんなことアドリミアが知ったら大変なので軍機A級だが。
もしも、アドリミアが裏切った場合にはフィアンカの港に上陸戦を行い、大使館撤収を支援する予定だ。“上陸戦”をやるからこそ海軍陸戦師団にこの役が回ってきた。
「さてと、どうするか・・・」
鯵川大将がため息と吐くように言った。
「どうもしなくていいのではありませんか?」
「「?」」
三枝大将の発言に、俺も鯵川大将も驚いた。
「何もしない?」
「考えてご覧なさい?鯵川大将が手に入れることのできる情報を、外務省が知らないはずはない。しかも、これは自軍による正確な情報です。」
「なるほど。つまり、何かを変更するつもりなら国防軍が動き出す前に何か言って来るというわけか。」
鯵川大将が結論を述べた。
確かにそうだ。
「谷岡中将、あなた、別に何かを約束してきたわけじゃないのでしょう?」
「もちろんです!本官にそんな権限有りませんし。」
「ならよろしい。私たちは軍人。命令が来たら従うだけです。」
三枝大将はどこか冷めたような目で言った。
結局、翌朝早朝に陸軍が戦車と軍用トラックを引き連れて出発していった。
外務省や軍需庁からの連絡は、一切なかった。
「いいのですか?」
リネット中尉が俺に訊ねる。
「仕方ないさ。俺には止める権限はない。」
自分が少し無力に思えた。
ところが、さらに翌日になって外務省から“進撃停止”命令が出た。
「どういうことですか!!」
さすがの三枝大将も外務省に電話で抗議している。
しばらくして受話器を置いた三枝大将に聞いてみた。
「いったい何がどうなったのですか?」
「わからないわ。だけど、どうやら政府は内乱状態の国に軍を進める気はないみたい。」
「火事場泥棒、とでも思っているんですかね?」
「逆にすべてが終わってから攻めても“弱っている国相手に・・・”って言われるだけだと思うけど・・・」
さらに変なことが起こった。
「出動命令!?」
「はい。間違いありません。」
空軍飛地基地経由で第1海軍陸戦師団に出動命令が下ったのだ。
俺は電話を借りて、海軍総司令部に電話をする。
“至急、飛地基地を出て陸軍に合流せよ。間違いなく命令が出ている。”
斎間大将ははっきりそう言った。
「いったいなぜ・・・」
“わからん!今、外務省に探りを入れているが・・・。何かを企んでいるのはわかる。”
「その“何か”が重要なんじゃないですか!」
“それが分からないんだよ!”
思わずため息が出た。
「では、第1海軍陸戦師団と供に陸軍に合流します。」
そう言って受話器を電話に投げつけた。
外では第1海軍陸戦師団が整列していた。
「これより先発した陸軍部隊と合流する!」
そういうとリネット中尉が
「総員乗車!」
と号令をかける。やっぱいいなぁ、副官がいると。
とにもかくにも、
状況すらよくわからないまま、俺たちは戦場へ向かうことになった。