軍-4
「とにかく!おちついて最初から話せ!」
勝手によくわからないカミングアウトしてよくわからないダンスを踊りながらあわてている小動物・・・じゃなくて!マレナ少尉に俺はそう言った。
~10分後~
「なりほど~。要するに、だ。マレナ少尉、あんたはあそこの出身なんだな?」
「はい。」
「んで、また佐藤の野郎に拾ってもらったと。」
「はい。あそこで病気で苦しんでいる私を佐藤大佐は国内の病院に入院させてくださいました。」
「しかし・・・半年入院していたんだろう?」
「はい。思いっきり違法でした。」
「それで?」
「佐藤大佐が、“そうだ!なら国民だったことにすれば・・・”って」
佐藤ぉ!
お前がやさしいやつだってのは昔から知っていたが、やり方が!
「んで、佐藤が無理やり軍人に・・・」
「入隊資格は16歳以上なんですけど・・・」
佐藤、やりすぎだよ(泣)
「・・・そう言うわけで、あそこが私の故郷なのです。それでお土産を持って会いに行ったんですけど・・・ダメでした?」
「いや、別に。どこにもそんな決まりないでしょう。」
「それはそうですけど・・・」
「気にすんな。いざとなったら・・・
佐藤に責任を押し付ければいい。」(ゲス顔)
と、いうわけで軍基地に戻りまして・・・
軍司令部
佐藤の部屋。
「えっ、やっぱばれちゃった?」
「佐藤、無茶やりすぎだがな。」
階級が同じとだけあって佐藤とは昔と同じくため口で話している。
「お前、まさか他にもなんかやっているのか?」
「汗ダラダラ」
「アホか!」
「今は反省してる。」
あ~、どこかで洗礼を受けたんだな・・・
佐藤の表情からわかった。
「お前な、考えて行動しろよ。」
「いや~、たにさんほど政治とかは上手じゃなくて・・・」
「そーゆーことでもないと思うがな。」
ここで、佐藤の副官がコーヒーを運んできた。
「そういえば佐藤よ。ちと聞きたいんだが・・・。この世界って獣耳っているのか?」
佐藤は“へっ?”とでもいうような顔をした。佐藤は昔から表情豊かで顔に出やすい。
「今さら気づいたの?」
「えっ!?」
「この基地内にもそれなりの人数いるけどなぁ・・・。ねぇ、イーリス少尉」
コーヒーを運んできた佐藤の副官、イーリス少尉(フルネームはイーリス・シルヴィオ少尉。後で知った)はうなづいた。
そして・・・
イーリス少尉は星マークが描かれた軍帽を取った。
そこからは、二等辺三角形の耳が・・・
「確かに軍基地内にいると軍帽で隠れちゃって気づかないかもね。」
おれは佐藤の言葉に返事すらできないほど驚いていた。
翌日
奇妙な音につられて早朝から軍基地の非番の者が多く外に集まっていた。
俺もそのうちの一人だ。
「こりゃ何の騒ぎだ?」
近くに居た兵に話しかける。
「空軍準備室の奴らだよ。ついに戦闘機を完成させて今日から試験飛行だからみんな集まっているのさ。」
「ほぉ~。」
よくよく考えてみれば、この基地には滑走路があるのに航空機はなかった。いままで滑走路を使っているところを見たことが無い。
人ごみをかき分け、最前列へ出る。
・・・ってこれ・・・
「零戦じゃん!」
零式艦上戦闘機!
ついに出ました空軍さん。
名前だけはどっかに出したような気がする。
たぶん・・・