表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

勇者マイケル

 ツッコミ所が多いと思いますが、そういうお話です。



 世界は邪悪なる魔王の復活によって滅びの一途を辿っている時! 世界の命運を背負った一人の若者がいた。


 その者の名は勇者マイケル! かつて異世界から召喚され世界を救った初代勇者の子孫!

 トラックにひかれそうだった幼女の神様を救って得た力を持つ勇者・黒木くろき ほむらの血を引く勇者の中の勇者!


 超デラックスダイナミックパワフルサイバーアンビリーバブルソウルフル勇者! 黒木・ヒカリトヤミガアワサッテサイキョウニミエル・マイケルだ!



「どうも、マイケルさん。わしは世界を統べる世界王の神竜寺・ジェームズじゃ。

 頼む、世界を救えるのは伝説の勇者の血と能力を引き継いだお前だけなのだ」


「王様といえど、おっさんの頼みなんて聞けやしないぜ!」


「どうも、私はこの世界のお姫様の神竜寺・グエランチャ・ローラ姫です。

 私は美人でスタイルが良いので世界を救ってくれれば、えっちさせたげます♪」


「OK! この命に代えてでも!!」



 こうして世界を救う旅に出た勇者マイケル。

 まず最初に彼が向かったのは人気の少ない街道である。


 すると当然のように盗賊に追われていた商人のキャラバンと思しき馬車が通りかかり、それを格好良く剣で撃退して仲間と金づるを手に入れることに成功したのだった。



「へへっ、まさか殺そうとしたあっしの仲間を助けてくれるだなんて流石は勇者マイケルの兄貴だぜ!

 今まで奪って得た金品を全部差し上げますし、あっしらが荷物持ちの人足として付いていきやすぜ♪」


「うむ、流石は伝説の盗賊ボブ。

 噂に違わぬ義侠心の持ち主だ。

 俺はお前らの得た金で世界を救ってみせる!」



 なお、盗賊ボブたちに襲われていた商人らの馬車はマイケルが向かった時にはすでに全滅していたので金品をありがたく有効利用させてもらうこととなった。


 そして月日は流れ、辛く苦しい死闘の連続の末にマイケル達は魔王城へとたどり着いたのであった!



「ふはははははは! よくぞきたな超デラックスダイナミックパワフルサイバーアンビリーバブルソウルフル勇者のマイケルよ!

 我が邪悪なる魔王トニー様と知ってここまで来たのであろう?

 我が野望はたった一人の娘のために世界を一度滅ぼすことだ!

 邪魔する者は容赦なく意地悪するぞ!」


「(くっ……、まさか魔王城が宇宙空間にあるだなんてな。

 せっかく旅の途中で出会った天才科学者ロゼの協力で宇宙船の開発に成功したというのに息が苦しくなってきやがったぜ)」



 勇者マイケルは宇宙空間に存在する魔王城に乗り込んだはいいが、宇宙服を用意してもらうのを忘れていたためずっと呼吸を止めているのだ。真空状態でも肉体を維持できる強力な身体構造をしている勇者といえどずっと無呼吸はしんどい!


 こうして対面するまで息が続いているのは流石の勇者肺活量と言えるが、旅の仲間たちはすでに事切れている。


 最初に仲間になった伝説の盗賊ボブ。

 未来からやってきた伝説の時間移動者にしてマイケルの子孫のマユミ。

 山の神様に人身御供にされかけていたところを助けてから付いてきた伝説の踊り子エミリー。

 捨て犬のチャールズ。


 ここまで犠牲を出してしまったのだ!

 今更ここで魔王退治を投げ出せるほど、勇者マイケルの宿命は軽くはない!



「ならば今こそ封印が解けられる時だろうな!

 俺の右腕に封印されし光黒竜と、左腕に封印されし闇白竜! 俺に力を……変身!」



 呪文詠唱とともに両腕に封印されていた光と闇の力を開放し、竜の姿に変身する勇者マイケル!



「ば、馬鹿な!? 貴様その変身術式は一度発動すれば二度と人の身に戻れぬのだぞ!?」


「ハッ、魔王のくせに人の心配かよ?

 俺は世界を救うと決めた最初っから、自分の命を捨てる覚悟くらい出来てたんだよー!

 人じゃなくなるくらい、なんじゃい!!」



 古来より、マイケルの家系にはいにしえの古い言葉が残されていた。

 光と闇の力を開放した勇者は世界最強に見える、と。


 マイケルの拳が光と闇の刃を纏い、魔王トニーを討ち滅ぼした。


 するとどうしたことだろう?

 魔王の死に反応したのか、魔王城が崩壊を開始してしまった。


 ラストダンジョンは崩壊、または大爆発の法則というのがマイケルの先祖の教えの一つにあったが、やはり魔王トニーは伝統に忠実なる魔王だったのだろう。


 城内アナウンスが爆発までの時間読み上げを開始する。



「くそっ! せっかく魔王を倒したってのにどうしたらいいってんだ!?」


 自分一人が逃げ出すだけなら問題はないだろう。

 なんせマイケルは伝説の勇者の血を引いているのだから100メートルを5秒で走るくらい簡単な身体能力を持っている。


 しかしまだマイケルにはやるべきことが残っている。自分一人逃げ出すわけにはいかないのだ。



「死なせるもんかよ!

 仲間はみんな死んじまったが、死体が腐敗してなければ生き返らせることだって出来るはずだ!」



 ボブ、マユミ、エミリー、チャールズの死体を担ぎ、さらには城の奥で眠っていた魔王の娘も担ぎ上げて脱出用のポットを探す。

 すでにマイケル達が乗ってきた宇宙船は地割れに飲み込まれて粉々ペチャンコのイカジャーキーのような有様であったため、魔王の持つ宇宙船が必要なのだ!



「こりゃ! 勇者よ、わらわは魔王の一人娘じゃぞ! 乱暴に担ぐでない!

 そんなに乱暴に抱かれたら……わらわ、お主に嫁ぐしかなくなるじゃろうが!!」


 魔王の娘、名はクリスティーナ。

 彼女は生まれて初めて父親以外の男に触れられたことで勇者マイケルに一目惚れし、本人の意思もあって担がれている。



「それより、父上のプライベート宇宙船は城の東にある従業員用の駐車場に停めてある。

 キーは玄関脇のフックに掛けてあるが、わらわは運転なぞ出来んぞ?

 お主が乗ってきたのは反重力を利用するATオートマ宇宙船のようじゃったが、父上の宇宙船は最近流行りのMTマニュアル宇宙船じゃ」



「免許はないが、説明書を読めば大体分かる。

 お前の父親は几帳面な性格してそうだったし、ダッシュボードにでもあるだろ?」


「あったと思うのじゃ」


「ならば問題はない。

 なんせ俺は100メートルを5秒で走り抜ける男だからな。

 封印を解いて竜の姿に変身した今なら、軽く4秒で走れるかもしれねぇ!」



 こうして崩壊する城の中を走り、衝突してくる流星群を殴り砕いて城から脱出したマイケルは、無事に元の惑星に帰り着くことが出来た。


 国へ帰ると、ジェームズ王は魔王退治の報酬を出してくれたので、それとは別に必要経費として教会で仲間を生き返らせてもらったマイケル。


 しかし生き返らせてもらった仲間の一人、捨て犬チャールズが目覚めてすぐに触手を生やして生き返らせたばかりの他の仲間たちを殺しまくったのだ!


「くっくっくっ、俺は実は魔王の血を分けた兄弟。

 風邪をひいて寝込んでいたクリスティーナ姫のためにも貴様らにはここで滅んでもらわねばいかんのだ!」



 チャールズが言うには、地上の空気は人間が環境汚染で大変なことにしたため、そのためにクリスティーナ姫は風邪をひきやすい体質になったのだとか。

 その治療をするには人類を皆殺しにする必要がある。そのために捨て犬のフリをして勇者一行に仲間入りして裏切り殺す機会を伺っていたのだそうだ。


 チャールズの触手が勇者マイケルの心臓を貫いた!



「ふん、流石に心臓を貫けばいかに勇者といえど死ぬだろう。

 あばよ、勇者マイケル。てめーの死因は心臓を貫かれたことによる失血死だ!」



 触手を抜いてしばらく観察をしていたチャールズだが、勇者マイケルは平然とした顔で何もなかったかのように立っている。



「残念だったな。俺の心臓は二つあるから一つを潰されても死にはしない」



 こうして双子魔王のチャールズの心臓を逆に貫いて倒した勇者マイケルは、世界王の娘ローラ姫と魔王の娘クリスティーナ、さらに旅の踊り子エミリーの三人を嫁にして幸せに暮らしたのであったとさ。


 めでたし、めでたし♪



 ~おわり~




 冬の童話祭2015に向けてダーッと勢いで書き上げて読み返してみましたが、これは童話とは呼べませんね。

 考えて書く事をしないので来年も同じような短編をかくかもしれませんが。


 勢いこそ、私を私たらしめるものです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] めでてぇ [気になる点] 嫌味なくらい凄いめでてぇ [一言] 多分左手にサイコガン持ってそうな超デ(中略)イケルさん。 テンプレ展開だけど超展開の内容でテンポが良すぎて、話のノリもよすぎて…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ