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迷宮偏愛者の探索者、ダンジョンマスターの作ったダンジョンが雑なので作り直す。  作者: 森田季節


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11/17

11 ダンジョンマスターのダンジョン完成!

 空き時間にアルテちゃんの生活スペースである地下17階に行ってはダンジョン整備の手伝いをする――これが私の生活パターンになった。

 指輪で地下17階に瞬間移動できるので周囲にバレることもない。この指輪があって本当によかった。毎日、発見されたばかりのマイナーダンジョンに通い詰めていたら明らかに怪しいからね。



 私はダンジョンを地上から入って、地下10階の泉まで探索する。

 すでに何度も探索は行っている。つまり、デバッグにしてテストプレイといったところか。



 だが、今回は今までとちょっと違う。

 横にアルテちゃんがいるのだ。



「ほへえ……自分の足で来ると新鮮だなあ……。こんなふうになってるんだ……」



 アルテちゃんは観光客みたいにダンジョンを熱心に見つめている。



「本当にケガの心配などはないんですよね? モンスターの前からの攻撃は私が対応できますけど、背後からの攻撃には気をつけてくださいね」


「だいじょぶです、師匠! ほら、対策アーティファクトを装備してきてるから!」



 アルテちゃんの腕にはやけに機械っぽい部品がついている腕輪が。



「これは【管理者権限の腕輪】ってアーティファクトでね、装備してるとモンスターに一切攻撃されなくなるんだ。だから危険はないよ」


「たしかにダンジョンマスター側の確認作業のためにそういうものは必要ではありますね」



 もちろん実際は戦って確認したほうがいいのだろうけど、それだと腕に覚えのある探索者しかダンジョンマスターになれない。それは現実的ではない。



 と、後ろからアルテちゃんの悲鳴が聞こえた。

 すぐに振り返ると、アルテちゃんが浮いていた。いや、跳んでいた。



「罠、踏んじゃった!」



 ジャンプの罠か。影響力の小さな罠だから、そのままにしていたやつだ。



「いたた……」



 アルテちゃんは腕をぶつけて石壁にぶつけて、地面に戻ってきた。



「大丈夫ですか? 今、回復しますね」



 私はキュア(中)をかける。これで痛みやケガなどは消えるはずだ。盗賊のジョブでキュア中)を使えることは地味にすごいことなので褒めてほしい。これのおかげで一人での探索のリスクもかなり下がる。



「ありがと、師匠……。いや~、自分の作ったダンジョンで苦戦するなんて情けないなあ…………あっ」



 アルテちゃんが青ざめた顔になる。確実に何かアクシデントがあったな。



「あのさ……今、罠でジャンプしちゃった時にとっさに右手を上げちゃってさ……」



 腕輪の機械みたいな部分が明らかに割れている。天井にぶつかったらしい。



「なるほど。つまり、アルテちゃんをモンスターが襲うかもしれないってことですね」


「……そういうこと」


「ご心配なく。私は【フロア移動の指輪】を装備してきてますから、これで地下17階の開発ルームに戻れば大丈夫ですよ」



 だが、アルテちゃんはやけに神妙な顔になって、首を振った。



「せっかくだし、このまま行く! 探索者の気持ちも体感しときたいし」


「いえ、アルテちゃん、本当に危ないですよ。まあ、攻撃されて即死するような敵は設置されてないはずですけど、だからって安全ではありません」


「でも、このダンジョンに入った探索者はケガや死ぬ危険もあるよね。それをわたしは一度も味わったことがないというのも身勝手な気がするんだ。危ない仕掛けを作って、それで平気な顔をしてるのもどうかなって……」


「アルテちゃんは真面目ですね。わかりました。その気持ちを汲みましょう」



 ダンジョンマスター様の考えをここは尊重しよう。このダンジョンもアルテちゃんがいるから生まれたものだ。

 それに、【フロア移動の指輪】で開発ルームに戻ることは可能だし。




 その後、何度かアルテちゃんはモンスターを見て、悲鳴をあげはしたが、ケガはしなかった。もちろん私が適切にモンスターを倒したり、私が近づいてモンスターを逃がしたりしたからだ。





 無事に地下10階の回復の泉にたどり着いたアルテちゃんは、ふう……とため息を吐いた。

 アルテちゃんにとったら緊張感があっただろう。たしかに探索者の雰囲気を味わうというのは正しいかもしれない。



「怖かったあ……。探索者の人はこんなことをずっとやってるんだ……」


「たしかに探索者の卵はそんな気持ちでしょうね。それに、地下10階に到達するって、探索者になってすぐだとなかなかできませんから。最初は地下5階ぐらいであっぷあっぷなんですよ」


「探索者の人、尊敬するよ……。ダンジョンを攻略しようって人がいてくれないとダンジョンを作ることもできないからさ……」




 そっか、開発側からしたらユーザーがいてくれないと困るよな。そこはお互い様なのかもしれない。



「モンスターも罠もとくに大きな問題はなかったですね。強すぎるモンスターが出るということもなかったですし。もう、人様にお出しできますよ。お疲れ様でした」



 私はアルテちゃんの手をぎゅっと両手でつつんだ。



「アルテちゃん初のダンジョン完成です! お疲れ様でした!」


「う、うん! ありがとう、師匠!」













 私は地上に戻ると、レオマに報告した。



「危ないモンスターはいなくなってるので、もう探索可能です。強すぎるモンスターも出なくなりました」


「よかったです。結局、アークデーモンが出たっていうのは何だったんですかね」


「ダンジョン側もこれはまずいって思ったんでしょう。今は地下10階が最下層ですけど、前に行った時は地下13階までは少なくともありましたし」



 実際は地下17階まであるが、地下17階を探されても困るので、フェイクの情報を混ぜる。



「ダンジョンの中身が変わることはありますけど、ここもそうなんでしょうね~。キララ様、お疲れ様でした! では、協会に報告しておきますね!」



 これまでSランク探索者の信用と権限で「危険なので安全確認ができるまで立ち入り禁止」ということにして、ダンジョンのテストプレイを行っていた。

 もう、探索者が攻略できない無茶苦茶な難易度ではないし、ダンジョンとして広く探索者を迎え入れられるだろう。



 これでアルテちゃんのダンジョンが探索者デビューすることになる。



 ……ちょっと変な日本語かもしれないな。

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