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きみは天性の女優だ!天才だ!と言われ、辺境伯に一年間の契約結婚を申し込まれた悪役令嬢(?)は、輝く貴婦人の星となる☆  作者: 櫻井金貨


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第24話 アリスリンデは無事か!?(※ガンターの心の声)

「はあ!? コリンヌ王女が屋敷に来た!?」


 アランのお使いで、ガンターの護衛の一人がノックスの実家に来た時、ガンターとノックスは朝食を食べているところだった。


「なんと。初夜明けの朝に、王女殿下が突撃ですか。えげつないですな」


 ノックスが呆れたようにつぶやく。

 一方、ガンターは目に見えて顔色が悪くなった。


「そ、それでアリスリンデは無事か!?」


「はい。奥様は大変立派に対処されまして。王女殿下を追い払いました。屋敷中の者が奥様に感謝しております。普段でしたら、ガンター様がお帰りになるまで、一週間でも平気で屋敷に滞在してお待ちになりますからね。お世話をする私どもも大変で。今回、王女殿下の滞在時間は最短の新記録でございますよ」


「……!!!」


 朗報だ。しかし信じられない。

 ガンターとノックスは顔を見合わせた。


「「なんと」」


 ノックスはチラリとガンターを見た。


「ガンター様、もちろん王女殿下のことは、奥様にお話になっていたんでしょうね?」

「あ……ええと、いや。ちょこっとだけ。タイミングを逃して、実はまだ具体的には説明していなかった……かな」


 小さくなる声に、ノックスはため息をついた。


「大切なところでしょうに。奥様、さぞかしびっくりしたでしょうね。旦那は逃亡するわ、なぜか王都から王女が突撃してくるわ」


 ノックスがわざとらしく首を振っていると、屋敷からガンターを迎えに来た護衛までもが呆れたような調子で言葉を続ける。


「王女殿下は制止の声も聞かず、奥様の寝室にまでお入りになったと聞いております。奥様はまだ着替えの前だったとか」


「!!!」


 ガンターの顔色はもう真っ青だ。


「どうしよう、ノックス!?」


「どうしようじゃありませんよ。もともとはガンター様が寝室から逃走したのが悪いんですからね。奥様が納得するまで、誠意を込めてとことん謝るしかないでしょう」

「う」


 ノックスは苦笑しながら言った。


「大奥様のこともまだお話になっていないのでしょう? いい機会です。奥様にその辺りも包み隠さずお伝えになっては? 屋敷に戻り次第、中庭にお茶の支度をさせますから、ご夫婦二人でゆっくりお話になるといいでしょう。いいお天気ですよ」


「わかった……そうする」


 ガンターはコーヒーを飲み干すと立ち上がった。


「朝食、うまかった。ありがとう」


 ちょうどおかわりのワッフルを持って入ってきた、ノックスの母親に礼を言う。


「まあ、領主様、もうお戻りになりますか?」

「ああ。屋敷で緊急事態が起こったらしい」


 ガンターの言葉に目を丸くしたが、ノックスの母親はささっとふきんでワッフルの入った皿を包み、ノックスに持たせた。


「まだ温かいですよ。どうぞ奥様へのお土産に」


 一瞬、言葉に詰まったガンターだったが、「ありがとう」と頭を下げる。


「今度は奥様も連れて遊びに来てくださいね。ノックス、しっかりと領主様をお守りして」

「はい、母上」


 馬に乗って屋敷に戻る道を進みながら、ガンターは昨日見たウエディングドレス姿のアリスリンデを思い出していた。


 けしてきつい顔だちをしているわけでもないのに、アリスリンデはいつもりんとして見える。

 それはあの姿勢のよさなのか。それとも、あの珍しい黒髪のせいなのか。


 王宮でこっそりとアリスリンデの朗読に耳を済ませていた時。

 宰相夫人に偶然、アリスリンデを紹介された時。

 たしかに、アリスリンデの人と違った容姿に惹かれたのはたしかだ。


 黒髪の令嬢が殺されるシーンの朗読をさせられているのに気づき、腹を立てた。

 あのおかしなネックレス騒動と、セオドアの婚約破棄宣言には虫唾が走った。


『ほう? 殿下がこのご令嬢をもういらないと仰るなら、私が結婚を申し出よう』


 あれは、本当に、意図しないで飛び出た一言だった。

 隣に控えていたノックスが目を剥いたのを感じた。

 あの時には、契約結婚のことなんて考えていなかったのだ———契約結婚というのは、いわば言い訳。


 ガンターはうなだれて、認めた。


 そうすれば、あの稀有な令嬢の心のハードルを下げ、もしかして打算だけで自分の元に……一時的でもいいから来てくれるのではないかと———そう思ったのだ。


(それでもいい、と思ったのだな)


 近づいてくる屋敷を見ながら、ガンターはため息をつく。


(あんな清楚で美しいウエディングドレス姿とか、その後のなまめかしいナイトドレス姿なんて、想像もしていなかった———心の準備はできていなかったのだ)


「これからずっとアリスリンデが近くにいるかと思うと、心臓がもたん」


 思わず出た独り言に、ノックスが反応した。


「はい? ガンター様、何かおっしゃいましたか?」

「いや」


「もう屋敷に着きますよ。すぐお茶の手配をしますから、奥様に声をかけてくださいね」

「わかっている」


 ガンターはむすっとしたまま馬から降り、アリスリンデを探しに二階へと上がった。


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