十七話「序曲 真夏の夜の○○」
その様子を食い気味に見てしまう男子たち。田中は「おっふ…」と片手で口を抑えながら見入ってしまう。なぜかミカエルには一切効いていない。だがそこで終わらないのがエロブラである。
「はー!」太ったほうは再びリリアに手を向ける。するとリリアの服はすべて裂けて下着姿になってしまった。(なにこれ、急に大サービス?)田中は目のやり場に困る。
ミカエルは「そんな卑猥なこと認めない!」と言ったあと、大技を放つために「ファイアー‼」と力を溜める。スライムは「リリアはーん‼最高にドスケベやああああ!」と叫ぶ。太った黒服は「まだまだいける!」と興奮する。
「ダメだダメだダメだ!いくら腐った女だからといえそれ以上を見るのは男としてまずい!」慌てる童貞チー牛。ミカエルは溜めた炎のパワーを「おらぁ!」掛け声と同時に太った黒服へ放つ。
「うわああああああ!」焦げる太った黒服。
リリアは「見ないでぇ!」と近づくミカエルに言う。ミカエルは「見慣れてるから大丈夫だよ」なんてさらっと笑顔で非童貞カミングアウトをする。
細い黒服が「野性を解き放て…」とミカエルのほうへ手を伸ばす。ミカエルは「はっ」と何かが憑依したかのように身体をピクリと動かす。「田中、田中、田中。」目をハートにして田中の方へ向かうミカエル。
田中は「待て…!俺たち仲間割れの真っただ中じゃ無いのか⁉」とパニックになる。
「違うよ。僕の、リリアの思想が受け入れてもらえないなら身体でわかってもらうしかないんじゃないかなって」と田中を押し倒すミカエル。
「脱げ‼」細い黒服がミカエルに命令する。ミカエルは履き物のボタンに手をかける。
「タンマ!そんな趣味はない!絶対に!」と抵抗する田中。
リリアは太った黒服のスーツの上着で前を隠しながら、その様子を誰よりも楽しそうに眺める。(助けろリリア!)田中は暴れながらリリアに救いを求める手を伸ばす。リリアは田中に拒否の意を示すかのように悪魔的な笑みを浮かべた。
(狂ってる!ここのやつらは全員どうかしてる!)
田中はミカエルの腕から逃れようとするが逃れることは出来ない。【それ】に触れられそうになった時、「辞めろ!」と田中はミカエルを突き飛ばした。(これじゃ男としてのプライドが…)
ミカエルが吹っ飛び一先ず安堵する田中。ミカエルはそれでも「田中!田中!」と何度でもくっついてくる。(仲間割れの最中にしては緊張感なさすぎるだろ…!)田中は何度もミカエルを突き放しながら心の中でツッコミを入れた。
黒服の細い方は田中を見て笑う。「愚かなやつめ。お前に性的興味は無いのか」細い黒服が言うと、田中は「男は対象じゃない!」とはっきり答えた。
「ならこの小娘か⁉この小娘の全裸なら興奮するのか‼」リリアの髪を引っ張る細い黒服。
田中は、「こいつは…こいつは…」と声を震わせる。リリアは何か言いたげな田中のほうに目線をやる。ミカエルも田中のほうに注目した。
「こいつはただの腐女子だ!俺が好きなのは人妻寝取られだ!」
謎の性癖カミングアウトに、「なぬ⁉人妻寝取られだとぉ‼」と、細い黒服は衝撃を受ける。「人道に、人道に反している、人妻寝取られが好きだなんて貴様はおかしい!」
細い黒服は田中に向かって「淫らになれ‼」と手を伸ばすが、田中にはなぜか効かなかった。
「こ…こいつ…性に関する知識量が並大抵のものじゃない!」田中から放たれる謎の覇気に細い黒服は圧倒される。
「こいつの性的知識…おかしい、今まで見てきた勇者の誰よりもこいつは性的知識を持っている!その無駄な知識量がカウンターとなり性的な呪いをかけようとしても処理しきれず一切の効果が無いだと!」
この世のものを見ているとは思えないと言わんばかりに裏返った声で言う細い黒服。
田中は中央で腕を組む。「嗚呼。深夜にこれでもかとエ○ビデオを巡回したせいで人並み…いや人以上の性的知識があるからな‼そんな俺に性的な呪いは一切効かないのさ‼」
黄金の覇気に包まれる田中。
ミカエルは「これが…伝説の勇者…」と呟く。スライムは「なにしてんねん‼いまや‼攻撃せい‼」と三人に叫ぶ。田中は剣を振りかざし細い黒服に切りかかった。
細い黒服は「辞めろ…辞めてくれええええええええええ!」と絶叫し血を大量に噴き出して倒れた。
田中は、リリアに手を伸ばしマントを貸す。リリアは「ちょっと調子に乗ってかっこつけてるんじゃないの」と辛辣な言葉をかけるが、田中は「さぁ、どうかな」と優しく微笑むだけだった。
ステージ3‐4への扉が開く。三人と一匹はステージ3‐4へ向かった。
ステージ3‐4へたどり着くと、サングラスの黒服が待ち構えていた。
制服姿の田中は「…誰?」と話しかける。「田中大智」黒服がフルネームで田中の名前を呼ぶ。田中は「はい」と答えた。ミカエル、リリアも後に続く。
「…」黒服はサングラスを外しこちらを見る。「きゃっ…イケメン」リリアが思わず声を上げてしまう。(田○圭になんとなく似てる気がする)心の中で呟く永○とはまったく縁がないほうの田中。
黒服は言う。「我々はあなたをお待ちしていました」その言葉に、リリアは「やっぱりあなた!」と田中を疑う。「いやちがうちがう」焦る田中。
黒服は、ふっと軽い笑みを零す。スライムが、「アンタ…まさかサーチ能力…」と目を見開く。黒服は、「ええ。私はすべての宇宙にアクセスすることが出来ます。芸人ネタや音楽も、私が流行らせました。」と答えた。
リリアとミカエルは息を呑む。「田中大智。リリア・オンワロッド。ミカエル・ガーフィールド。」黒服に名前を呼ばれた三人は、『はい』と背筋を伸ばす。
「このダンジョンでこれ以上の戦いはありません。次の階にはもう、魔王様がいます」と説明する黒服。
田中は、「えっ…?」と驚きの声をあげる。「この上に…魔王が…」ギュッと拳を握るミカエル。「いよいよ来るのね…」リリアも真剣な表情になる。
ダンジョンの最高層に続く階段が出現する。三人の絆にはヒビが入ったまま、階段を上る。スライムもその後をついていく。
また一階のように薄暗いダンジョンへ入ると、そこには紫色のワンピースを身に纏ったロングヘアの少女がいた。
「ようこそ」三人と一匹を歓迎する少女。
「あなたが…王様へ歯向かいモンスターたちへの襲撃を指示した魔王なの…⁉」とリリアは問いかける。まさか、リリアも魔王が自分と同い年ぐらいの少女だとは、思いもしなかっただろう。
魔王は口を開く。「まぁまずは対話をしよう。戦う前に」魔王は玉座に偉そうに座りながら三人と一匹にも座るように指示するのだった。




