NMS ― 昼飯バトル
「あー畜生…腹減ったぜ…」
かれこれ30分以上昼飯を探してるんだが 一向に見当たらない
本当に昼飯があるのか疑いたくなる
え?昼飯を探すってどういう状況だって?
つまりはこういうこった
『はい皆さん もうすぐお昼ですね
というわけで今回のミッションは個人競技ですので まぁ勝手に頑張ってね』
「個人競技…?
というかなにが『というわけで』なのか謎過ぎるぞ」
『はい その名も"昼食争奪バトル"』
「まんまじゃねぇか!!
そしてさらっと俺を無視するな!!」
『はい そこ静かに
先程 館内の5ヶ所に昼食を用意しました
皆様にはその昼食を探してもらいます』
「はぁ…?
で それのどこが争奪バトルなんだ?
5つあんなら全員食えるじゃねぇかよ」
『まぁ上手くいけば全員食べれますよ?』
「上手くいけば?」
『先にお食事を見付けた方のみ食べる権利があるのです』
「はぁ?つまり?」
『見付けられなかった方は 昼食抜きです」
「な なんだってー!!
さすがに昼飯抜きはキツイだろ!?」
いや待てよ
もし2つ以上昼飯を見付けた場合は食べなければ他の誰かが食べれる
俺が2つ以上見付けたら まだ昼飯にありつけてないヤツに譲ればいい
もちろんこのゲームで俺が有利になるような条件をつけて だが
そしてそれは逆も有り得る
少しは面白そうだな
『ちなみに お食事を見付けても召し上がられなかった場合 そのお食事は回収させていただきます』
「え ちょ!?なんでだよ!!」
俺の計画が…
『そりゃ面白くな…争奪戦だからに決まってるじゃないですか
それにセコイこと考える人が出てきそうですしねぇ?』
ぐ…
べっ別にセコくないだろ!!
戦術だよ戦術!!
『無論この争奪戦でも点数は移動いたします
さらに この争奪戦の結果で 午後の部の追跡者を決定しますので よろしく』
ってわけなんだが…
「ほんとにメシあんのかよっ!!
全然見当たんねぇじゃねえか!!」
壁に手をつき 息を整える
はぁ…はぁ…
叫んだせいで余計に腹が空いたぜ…
畜生…他の奴らは見付けてんのか?
ちょっと連絡してみよ
「おう…まひる
元気してっか?」
『せ 先輩!?
なんか元気なさそうですけど大丈夫ですか!?』
「いや それが…
メシが一向に見当たらずに餓死寸前だ…」
いやまぁそんなすぐに餓死するほどヤワじゃないけど
「まひるはどうだ…?」
『あー…えーっと…実は…
もう3つ見付けちゃいまして…』
「……………」
マジかよ
『私もなんでかわからないんですよっ
というか適当にさ迷ってただけなんですけど…』
「…てことは残り2つかよ」
『す…すみません~
わざとじゃないですよ?』
「は はは…」
『はは…?』
「腹減ったぁー!!!!」
『わわっ!!
す すみませんでしたぁ~…』
ツーツー
「…………はぁ
叫んだらまた腹減ったわ…」
あと2つか…
いや 待てよ
もし他の誰かが見付けてたら…
「後がないっ…!!」
ボサッとしてられねぇ…!!
ここは残り少ない気力と体力を使って全力で昼飯を探す!!
多少疲れたって メシにありつければ問題ねぇ!!
『はーい皆様にご連絡です
お食事ですが 残り1食となりました
ありつけてない残念な方々 ざまぁです』
「うおおおおぉおっ!!マジかよ畜生!!
ってかちゃっかりざまぁとか言ってるし!!」
『ちなみに最後のお食事に1番近い方は…まひる様です』
「またまひるかよっ!?
場所固まりすぎだろーがよ!!」
『それでは 健闘を祈ります
しーゆー』
「お前台詞が投げやりだぞ!!
誰か他の従業員に進行役代わりやがれ!!」
『いやー自分で言うのもなんですが 従業員の中では私が1番まともかと…』
「んなこと自分で言ってる時点でまともじゃねぇって気付けよ畜生が!!」
仮にお前が1番まともなら従業員はとんでもねぇ奴らしかいねぇぞ
『しかしですね…アマゾンで3年間生活した男や 歩きと泳ぎで世界を周った男や――』
「いらんエリートばっかり集めてんじゃねぇよ!!」
『――と こうしている間にも 最後のお食事をまひる様が見付けてしまいましたー!!』
「ちょ!?うわぁぁぁぁあ!?
俺結局食えてねぇぞ!!」
『ご安心ください』
「はぁ?なにを安心すんだよ
まさか実はちゃんと昼飯が用意されてるとか?」
『はっ んなわけないですよ』
鼻で笑いやがった…
『まひる様以外誰もお食事にたどり着いておりませんから』
「……………」
『それでは 午後の部の追跡者を発表したいと思いまぁす!!』
あぁもう…好きにしてくれ…