NMS ― 嫉妬してっ!!
「ちょ…まひる!!
もっと丁寧に運べってば!!」
「いいじゃないですかー
目的地は目の前なんですから」
「壁にぶつけたりしたら最初からなんだぜ?
勘弁してくれよ…」
「大丈夫ですって!!
もぉー先輩は心配性ですね」
「あまり大声を出すな
居場所を知られる」
「うぅ…すみません本多先輩ぃ~」
「……………」
「お前としては ユキに捕まるなら本望なんじゃねぇの?」
「個人の欲求より勝負が重要」
「そいつぁごもっともだな
豪華な夕飯もかかってることだし」
「だな …さて 着いた」
雑談をしてる間に到着した目的地――第9倉庫――の前に立つ
「…って みんな手ふさがってんじゃんかよ」
当然扉は閉まっている
「あ そうですね あは☆」
「あはじゃねぇって…
どうすんだよ 扉開かねぇじゃん」
困ったなぁ…
ルールじゃボールを落としたり壁にぶつけたりしたらダメってなってるし…
でもこの抱えるサイズのボールを手放さずに扉を開けるのにはやっぱり…
「なにを止まる必要がある?」
「なにをって――」
「開いた」
「…………へ」
なんと本多は 抱えるのがやっとなボールを片手の手の平に乗せ 空いたもう片方の手で引き戸をたやすく開けた
な…なんてバランス感覚なんだ…
さすがは本多 不可能を可能にしやがる
「わーお すごいですね 本多先輩!!
ちょっといまほんの一瞬
距離で言うなら1㍉ 重さで言うなら1gほどかっこいいとか思っちゃいましたよ!!
あ でも先輩 安心してくださいね?
私の最愛の人はいついかなるときでも先輩ただひとりですから!!
あ でも 嫉妬はしてくれてもいいんですよ?
むしろ大歓迎です!!
本多のヤロー なに俺のまひるにアピールしてんだよ!!みたいな感じで!!はいどうぞ」
「わーほんだのやろーおれのまひるにかっこいいとこみせやがってむかつくぜー(棒読み)
はいはい満足したか
というか開いたんだし さっさと終わらせちまおうぜ?」
というか 1㍉や1gでいちいち嫉妬するかよ
「だな」
「うぅ~そんな露骨な反応しなくてもぉ…」
「で 目的地に運んだけど どうすんだ?」
「うぅ~」
「多分あの台座に置けばいい」
そういって本多が顎で指す方向には3つの大きな台座
いかにもここに置けといわんばかりに鎮座している
「でも置いていいのか?
詳しい説明なかったし」
「他に手がない」
「ま そうだな
んじゃ置くかね」
とりあえず3つとも台座に置いてみる
「これでいいのかねぇ?」
これでやり直しなら一度生沢とは拳で語り合う必要がありそうだ
「…さあ」
「さあって…」
ブーッ ブーッ
「ん?ケータイが鳴ってるか?」
「俺も」
「私もです とりあえず出ちゃいますよ?」
「そだな ミッション成功の通知だといいが」
『はい皆様 お疲れ様です
たった今 最初のミッションである第4倉庫から第9倉庫への資材運搬が終了いたしました』
なにかとむかつく従業員生沢の声が響いた
「よっしゃ クリアみたいだな」
とは言え 無事クリアしたようでよかった
『現在逃亡者である3名様には ボーナス得点を加算させていただきます 追跡者ドンマイ
以上で結果通達を終了いたします
次の通達は次回のミッション開始時です
え?それがいつかって?
知りたいですか?知りたいですよね?
でも教えませんよ 残念でしたね
それでは 失礼いたします ごきげんよう』
「ふぅ 楽勝だったな
相変わらず従業員の生沢はうざったいけどよ…
ま 次のミッションまでのんびり逃げるかな」
「何を言ってる?
そんな悠長にしてる暇はない」
「あ?なんでだよ」
「さっきの通達は恐らく全員に伝わった
つまり 追跡者の2人にも」
「だからなんだって?」
「通達の中で俺たちの居場所をばらされた」
「なっ…そういえば!!」
ミッションの目的地がいま俺たちのいる場所
そしてミッション内容 目的地が公表された
これはつまり居場所をバラされたわけだ
ミッション成功に浮かれすぎたか
いや 緊張感が足りないのかな 相手はよく知ってる相手なわけだし
ってか生沢のやつ…わかってて公表しやがったな!!
「早く逃げなければ来る」
「やべぇな…
まひるもぼさっとしてねぇで逃げるぞ!!」
「…まひるはとっくにひとりで逃げた」
「ここにきて無茶苦茶薄情じゃねぇか!!」
さっき散々軽くあしらったのが悪かったかな…?
『畜生!!第9倉庫ってどこだよ!!
広すぎ!!迷った!!』
「うげっ ユキの声!!
俺達も逃げるぞ 本多!!…って 本多までいつのまにかいねぇし!!」
『ん?いま長谷川の声が…
てめーさっきはよくも逃げてくれたな!!
こんどこそ捕まえる!!
首あらっときやがれ!!』
ユキの暴言が近づいてくる
「あ~もう!!
あいつらなんか嫌いだっ!!」
そして俺はその捨て台詞と同時に倉庫を飛び出した
どうも、作者です。
いきなりですが、新しい小説の宣伝をさせていただきます。
いままではこの「星の丘学園戦記」のみを執筆・掲載してきた作者ですが、この度新しく「唯耶ど・く・そ・んっ!!」というタイトルの小説の執筆・掲載を始めました。
現時点でまだ1話しか掲載しておりませんが、この小説と並行して執筆・掲載を進めていく予定でございます。
閲覧及び感想を心よりお待ちしております。
今後とも、作者及び「星の丘学園戦記」を、「唯耶ど・く・そ・んっ!!」共々よろしくお願いいたします。