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星の丘学園戦記  作者: 東雲 暁星
学園祭準備編
8/91

学園祭準備編 ― タイプはそれぞれ



「はふぅー…」



寮の自分の部屋



お世辞にも広いとは言えない部屋のベッドの上で

俺は盛大に溜め息をついた





この学園の生徒は全員

学園の隣の寮で生活してる



というか

学園と寮が渡り廊下のような感じで繋がっている



まぁ

生徒数がなかなかだから

それの横幅は高速道路並

4車線分くらいあるんじゃないか?


ちなみに

学園祭などのクラス発表で出店をやるクラスの半分くらいは

この渡り廊下―というか中庭―に店を出す



ちなみにこんな感じ



    ┌─────┐  

   ││ 本校校舎 ││ 

   │──┘ └──│

  特│┌───┐┌─│

  別││ 中 │└─│寮

  校││ 庭 │┌─│

  舎│└───┘└─│

   │──┐ ┌──│

   ││ 附属校舎 ││

    └─────┘ 




…ふう 疲れた








改めてになるが

この学園は本校と附属で構成されている



附属で3年間過ごし

本校で4年間生活する



いわゆる附属が高校

本校が大学ってとこかな?



とにかくそんなんだから

生徒数はハンパない



そして俺は附属の生徒会長


本校にも別で生徒会長が居て

そいつが総生徒会長となってる





学園祭などの全校イベントでは

当然附属と本校の生徒会は―もちろん風紀委員と保健委員も―手を組む



それでも全校生徒を相手にするには人手が足りないが





…正直

いまの俺には

そんなことはどうでもよかった





「ふー…」



屋上での出来事のあと

俺はしばらくして部屋に戻った



そして気付いたら寝ていた



起きたら

すでに外は真っ暗


10時を回っていた





先程

学食で遅い夕飯をひとりで済ました



食べた ではなく 済ました だ





他の生徒が居なかったからか

それとも雰囲気の違いに気遣ってくれたのか

学食のお姉さんがチーズケーキをサービスしてくれた



お姉さんといろいろ話した気がするが

上の空だった俺は

正直何を話したのか覚えていない



…ひとりになりたい気分だったから





それでもお姉さんは元気のない俺を励まそうとしてくれていたように思えた





「んんーっ」



そして部屋に帰ってきていまに至っているというわけだ



「ふぅー…」


溜め息と同時に

俺は再びベッドに倒れ込んだ



こういう時は寝て忘れよう


それが一番だ



明日も学園祭の準備と生徒会があるから

早く寝たいのも本当



寝不足で今日みたいな恥はかきたくないからね



「さて…っと 寝ますかな」



そう呟いて

明かりを消した瞬間



ピンポーン



インターホンが鳴った





…どうやら今日の俺はとことんついていないらしいな







「会長 居るか?」


ドアの向こうから男の声



一瞬でも傷心の俺を慰めてくれる女神様の降臨を期待した俺は単なるバカでしかないようだ



んで えーっと

この声は…



「本多だ」



そうそう 本多

いっこ下の生徒会役員で

特に親しい数人のうちのひとり



今日の会議に来なかった+1はこいつだ



まぁドアの前でいつまでも待たせるのはよくないな



「ちょいまち いま開ける」



俺は自分のIDカードをドアの隣にあるカードリーダーに通す



ガチリ



鍵の開く音がした



…無駄にハイテクだよな





「今日は会議に行けず申し訳なかった」



部屋に入るなり本多は口を開いた



「や 別にいいよ

特に何もやってないし」



事実だ



やったことと言えば

ユキを気絶させてそのまま放置したぐらいだ



…あ 放置しっぱなしだ



まぁいいや





「で こんな時間になんだ?」



俺の部屋に誰かが来るのは珍しい


まして本多なんて

過去にほんの数回あったくらいだ



「ふっ…

傷心の会長のツラを拝みにな」



唇の端を吊り上げ

いかにもなにやけ方をしながら半ば予想通りの言葉を発した



さすが本多

情報が早い…





本多の役割は主に裏方



情報収集

妨害工作

兵器開発 などなど



おかげで俺が別れたのも早々に知っているみたいだ



こいつの情報網

侮れんな





…と 話を戻そう



「…流石に情報が早いな」



「ナメてもらっては困る」



…誰もナメてねぇよ



「それはそうと

思った以上にへこんでない様子だな

期待していたのだが…残念だな」



「まぁこんなんでへこんでられねぇよ

明日から忙しいしな」



実際かなりへこんでますが…


自分で言うのもアレだが

ポーカーフェースにはある程度自信がある…つもりだ





「で 本当は何をしに?」



とりあえず話を戻す



「いや だから

傷心の会長のツ―」



「じゃぁ用は済んだな?

とっとと帰れ 俺は眠いんだよ」



いつまでも本題に入らない本多にキツイひとことをお見舞い



「ぐっ…」



本多に精神的ダメージ!!



…と思ったら



「ふふっ…

相変わらず清々しいな」



…そうだった

こいつドMだった



「気持ち悪ぃな…」



「そう褒めるな 照れるだろ」



…しかもお約束だ



「…はぁー」



溜め息しか出ないぜ



「…仕方ないから本題に入ろう」



何が仕方ないのかサッパリわからんが



「明日の会議は何時からだ?」



すごくまともな内容だった!!



「今日と同じだろ?

午前はクラス 午後から会議」



そう俺が言うと

また本多は不敵な笑みを浮かべた



「夏休み初日からこぞって全員スパイ活動か

それもなかなか乙だな」



…あ

明日から夏休みだった



生徒会側がクラスに行ったって邪魔者扱いされるだけだな



なにせもう始まっているのだから



「すまん ミス

じゃ 午前9時に生徒会室だな」



「ふっ 了解した」





別れたダメージか

ちょっとボケてるみたいだな…



「それだけか?」



「ああ

今のところは な」



「そうか じゃ明日な」



「ああ 邪魔したな」





短い挨拶を済ませ マゾ本多は帰った



…って云うか

毎回思うけども

俺のが先輩なんだよな…



本多のあの堂々とした態度

策略家のような口調

そしてなによりその実力



…正直味方でよかったよ





「んんーっ」



大きな伸びをしてベッドに倒れ込む



気が付けば

すでに日付は変わっていた





「ふぅー 今度こそ寝ますかな」



電気を切り

目をつむった



やはり疲れていたのか

思った以上に早く意識が遠ざかる





しばらくして

静かな部屋に

静かな寝息だけが響いた




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