NMS ― いいじゃないですか
ホテルに帰ってきたはいいが 何もやることが見当たらない
なぜなら――はしゃぎすぎて見事に疲れ果てた少女の寝息×3
なにせ夕方まで浜辺で遊んでいたのだから仕方ない
ちなみに昼食は なんとホテル側が持ってきてくれた
相変わらず凄いもてなされてるな…
「満ち潮とお転婆娘の畜生が…」
そしてこっちで拗ねているのは 奇妙にこんがり焼けた義手義足少年×1
やっぱり義手は焼けなかったため なんとも言い難い外見になっている
例えるなら――日サロで横を向いた状態で寝てしまって 気付いたら左右で見事に焼け具合が違う といったところか
…まぁ日サロなんて行ったことないからわからんが
ちなみに 拗ねてる理由は
砂浜に描いていた巨大なユキの絵を波にさらわれ あまつさえまひるに散々踏まれたためだ
うーん 青春だねぇ…(しみじみ
はっ いかんいかん
なんか俺だけオッサン化してしまった
まぁ 俺にまともな青春はしばらく必要ないかな…
毎日が賑やかで楽しくて…
こんな夢のような日々が続けばな…
「痛っ…またか?」
そんな具合に理想のいまを思い描いていると また鋭い頭痛が
やっぱり疲れてるのかな…?
今日一日だけでもずいぶん疲れたからな…
…主に少女×3のお世話にね
…しかしまぁ 寝顔はかわいいんだけどな
この満足しきったような寝顔を見てるとさ…まぁ色々な厄介事に巻き込まれてもいいかな?なんて思っちまうな…
…はっ いかんいかん
俺までもがマゾ化してどうするんだ!!
マゾは本多だけで十分だ
だいたい俺がマゾになったらどうするんだ?
サディスティックな少女に弄ばれるマゾ少年×2の学園ストーリーになっちまうだろうが!!
そ…そんなの嫌だ…!!
「いいじゃないですか…先輩…」
「良くねぇー!!」
「私と楽しいコトしましょーよ…むにゃむにゃ」
「って寝言かよ!!」
しかも夢の中ですら俺はまひるに迫られているのか…!!
…正夢になりませんように
…そういえば 最近夢を見てないような
1番最近の夢は…あぁ 確か彼女と別れた夜に見たあの夢か
…不思議な夢だったよな
ともかく あれ以来約1ヶ月経つわけだが――夢を見た記憶が無いな…
…まぁ夢って見ても覚えてないことってよくあるらしいし きっとそんなとこだろう
「ふぁ~…っ」
そんな安易な考えで納得すると 俺にも眠気が襲ってきた
俺も寝ようかな…
水平線に沈んでいく夕陽が窓から射すなか 俺は眠りについた