NMS ― 平和
「ざっばーん!!」
まひるが後ろから飛びついてきた
「おわ…っぷ 危ないだろ…」
というわけで身支度を済ませ ビーチにやってきた若者×5
そしてはっちゃけてる少女×3
浜辺で寝てる少年×1
少女らに遊ばれてる俺×1
ちなみに本多が海に入らないのは さすがに海水に浸かると義手義足のメンテナンスが面倒になるかららしい
なにせ本来は兵器として開発されていた代物だ
一般に出回ってるそれらとは全然違う
その分手入れも大変なのだそうだ
まぁ潮風に当たってる時点でダメだと思うが 本人が大丈夫と言うならいいのだろう
というわけで 大人しく浜辺で日焼けするらしい
………義手って焼けないよな?
手足が左右で違う色って 不気味じゃ…?
…まぁあいつがいいならいいか
そして俺はと言うと――
「あーもうわかったから首にしがみつくのはやめろって!!
こら ぐりぐりするなっ!!背中…背中当たってるから…って いてっ
誰だビーチボール投げたヤツ!!
ユキだろ!!どうせユキなんだろ!?」
「せ 先輩~そんなに激しく動かないでくださいよ
あんっ…擦れちゃいますっ!!」
「だったら離れろー!!
そしてわざときわどい台詞を吐くなぁ!!」
「ちょっとハセ君 ハメ外しすぎだよ!!」
「俺か!?俺が悪いのかー!!
いてっ!!また投げやがったな!!
しかもいまの絶対ビーチボールじゃねぇだろ!!
野球の硬球だよな!?
死ぬぞ!!下手したら俺死んでるぞ!!」
「うっさい!!沈めるぞ!!」
遊ばれていた…
ぬかった…
この5人しかいないってことは 俺を助けてくれる人がいないってことか…
いや 待てよ…
普段から俺を助けてくれる人っていねぇじゃねえか…!!
俺って…人望ねぇのか…?
「はいはい…降参ですよ」
「えーっ つまんないです!!もっと遊びましょうよ!!」
遊ぶ?
弄ぶの間違いじゃねぇのか?
「す…少し休ませてくれよ…」
「なんだ長谷川 だらし無いなぁ」
「お前らのせいだろ!!畜生が!!」
「ちょっとハセ君!!私何もしてないじゃない!!」
あぁ 確かに
何もしてなさすぎて影が薄いくらいだ…
「…なんか失礼なこと考えてない?」
「いや…サヨはこのままで十分だよ…」
「……………?」
これ以上振り回す側の人間が増えてもらっちゃ困るからな…
「ふぅ………」
なんとかまひるを首から引っぺがし 砂浜にはい上がる
「つ…疲れた…」
「軟弱だな 会長よ」
「…お前と一緒にすんなよ」
「ふっ…しかし 平和だな…」
「あん?急に何だよ」
「いや…ふと思ったんだよ
俺達がガキの頃は大国ですらとても平和とは言えなかった
それがここ数年でこの有様だ
…とはいえ 水面下では各大国とも動いているだろう――つまり冷戦
しかしそれでも平和だと思ってしまう
…何か忘れてるような気がしないか?大切ななにかを…」
「はぁ…?そう言われてもなぁ…
大切ななにかねぇ……っ!!」
「どうした?」
「い…いや ちょっと頭痛がしただけだ
疲れてるのかな…俺」
「…まぁ学園祭も終わったばかりだ ゆっくり休め」
「俺は休みたいんだけどね…
どうもそれを邪魔してくれる方々がいらっしゃるみたいで」
相変わらずはしゃいでいる3人を見る
それを見て…平和がいいと思った
争いなんてなくなれば…
そう願う人は山ほどいれど 争いはなくならない…
矛盾した世の中だぜ…まったく…
…そうだろ?母さん
あんたは何のためにあいつを生かしたんだよ…?
…いや もういいか
過去は変えられない
とりあえず いまは"いま"を楽しまなくっちゃな
「先輩ー!!いつまで休んでるつもりですか?
早く来て下さいよ!!」
さて…行くかな…
「わかったからそう急かすなって!!」
第2ラウンド開始…かな?