NMS ― 世界規模の
約2週間ぶりですかな…?
ご無沙汰ですみません
これから新章スタートです
クルーザーのエンジン音と水しぶきが弾ける音がハーモニーを奏でる
「海だねー!!」
ハーモニー
「海ですよー!!」
ハーモニー…
「ちょっ…長谷川!!
もっと安全運転しなさいよ!!」
「あーっ!!るっせぇ!!
お前らのせいで風情が台なしじゃねぇか畜生!!」
あぁ…騒がしい…
「でもびっくりだな
ハセ君がクルーザーの運転免許持ってるなんてさ」
「あぁ 俺もびっくりだぜ
まさかこんなとこでお披露目することになるとはな」
俺たち5人はいま海上にいる
5人というのは
俺と本多 サヨとまひるとユキだ
さっきまでは学園長がチャーターしたプライベートジェットで空を飛んでた
しかし せっかくだからクルーザーに乗りたいと騒ぎ出した女子約3名のおかげで わざわざ途中からクルーザーに乗り換えて目的地に向かう羽目に
あぁ…頭痛がする…
そもそもなんでこんなことになってるのかって?
あぁ ぜひ聞いてくれよ
あの日――学園祭の翌日
留置場から帰ってきた俺と本多を出迎えたのは 学園長と満面の笑みを浮かべる例の女子約3名
職員会議で審議の結果 学園祭は僅差ながらも生徒会の勝利という結論に至ったそうだ
そこで学園長からのご褒美を受け取ることになった俺たち5人
そしてなんだかよくわからないうちに空港に連れていかれ
気が付いたらプライベートジェットに乗せられていた
そして続きはさっき言った通り
直接ジェットで目的地に行くはずが クルーザーに乗ることになったので 急遽目的地の近くの島に着陸
そしてクルーザーを借りて目的地に行くことに
しかし ここで本多が言った一言
「長谷川がクルーザーを運転できるぞ」
それのおかげで俺が運転する羽目になったというわけだ
「あ もうすぐ到着ですねー」
説明してる間に目的地の島がすぐそこまできていた
島を出てから20分程で目的地の港に着いた
「ようこそいらっしゃいました
お荷物をお預かりします」
クルーザーを降りた俺たちを出迎えたのは――お揃いの制服を着た数名の大人たち
「あ あぁ…よろしく」
「お車の用意ができておりますので こちらへどうぞ」
そう言った青年のあとに続いて歩きだす
噂に違わぬもてなしっぷりだな…
…いや 前言撤回
「うわ…リムジン…」
噂以上のもてなしっぷりだった…
ここは かつて常夏の島と呼ばれ たくさんの観光客で賑わった太平洋に浮かぶ島
…そう かつては だ
現在この島は厳重な警備の下 一般人の立ち入りが厳禁となっている
なのになぜ俺らがここにいるかって?
だから学園長からのご褒美だって言っただろ?
この島に出入りできるのは この島の施設で働く従業員
そして――W2会員という特別な人間と それに招待された客のみ
ちなみにW2というのは 様々な分野で世界に貢献している人間のみ会員になることが許されている世界で最も入会基準の厳しい組織だ
そしてなんと…学園長もW2会員である
学園長は知っての通り 孤児を引き取り 自分の経営する学園で彼等が卒業するまで無償で面倒を見ている
つまりこれも世界貢献
まぁ簡単に言えば 金持ちなら誰でも簡単に入会できるわけではない
そりゃまぁ確かに金がなければ 世界規模で貢献なんてなかなかできないが…
とにかくこの組織は 金に物を言わすような人間は存在しない
その証拠に W2会員は現在13人しか存在していない
世界を愛する人々だけがメンバーになれる それがW2だ
そして世界連合(旧国連)が W2の為に用意した楽園
それがこの島だ
…まぁ用意したといっても 維持費などはすべてW2会員が払っているのだが……
とりあえず世連の狙いはこうだ
W2に入会すれば楽園で過ごせると謳い 世界中の大富豪に本当の意味で様々な世界貢献をさせ すべての人々が平等に暮らせるような世界をつくる
…しかしだ W2は強制退会制度をとっている
つまり W2会員になったはいいが その後に世界貢献を怠るとすぐさま退会させられる
それだけ厳しい組織なのだ
そして学園長は 俺たちにご褒美として 3泊4日の慰安旅行を企画
そしてこの楽園を貸し切りにしたのだ
「ああ見えて無茶苦茶凄い人だったのね…」
慣れないリムジンのなかで 珍しくおとなしいユキが呟く
「知らんかったのかよ…」
「知ってるわけないじゃない!!
というか想像つかないわよ
普段ずっと日の丸扇子扇ぎながら笑ってるだけじゃないの」
「や まぁ…そうだけど」
「というかアンタもアンタよ
なんでクルーザーなんて運転できんのよ?」
「あ?あぁ…昔クソ親父に教わったんだよ」
「あっそ…ってかアンタ 親父さん嫌いなの?」
なぜか食いついてくるユキ
「あぁ…大嫌いだね
…死ぬほど嫌いだよ」
俺のひとことで一瞬にして空気が凍り付く
「あ 先輩先輩!!
見えましたよー!!おっきなホテルです!!」
気まずい沈黙を破ったのはムードメーカー(ムードブレイカー?)のまひるだった
丁寧に磨きあげられた窓ガラスの向こうに 巨大な建物がそびえていた
数百…いや千人くらい余裕で宿泊できそうなホテルだ
あれ…俺ら5人だぞ…?
しかも貸し切りって…
どんだけ豪勢なんだよ
唖然とする5人をよそに リムジンはホテルのゲートをくぐり 広すぎるくらいのエントランスに停車する
「お荷物は後ほど部屋にお持ちいたします」
そう運転席から声がする
運転席と客席の間には壁があり 運転手が若い青年であるということしかわからない
若いのにこんなとこで働いているなんて…きっと世界規模のエリートなんだろうな…
とか思ってみる
音もなくドアが開く
エントランスで待っていた青年が リムジンのドアを開けていた
「あ…どうも」
リムジンから降りた俺たちは再び唖然とした
「ようこそいらっしゃいました」
数十人の若い男女が2列に並び 見事なまでのお辞儀をしてみせる
「………あ あぁ」
こんな世界は 漫画やドラマの中だけだと思ってたんだけど……
そう思わずにはいられなかった
新章はこんなような設定でいこうかと
しかし更新頻度はこんな感じになりそうです…
出来るだけ頑張るので 時々覗いてやってくださいね笑