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星の丘学園戦記  作者: 東雲 暁星
学園戦記、夏
57/91

学祭戦記、夏 ― 救世主



相変わらず附属棟裏では暴徒の一方的な攻撃が続いていた





「サヨ…聞こえるな?」



『あ うん 聞こえるよ』



「特別教室棟の2階を経由して附属棟2階に来てくれ

間違っても附属棟1階には近付くな」



『あ うん 了解 いまから行くね』



サヨの返答に おう とだけ答え 再び視線を外に移す





…敵勢力 およそ40人



味方勢力 2隊16人…か





俺は附属生徒会室から持ってきた黒い塊をを懐から取り出す





…弾数は60ちょい



昔クソ親父に教わって以来だからギリギリ足りるかどうかだな…





「附属棟裏で抗戦中の役員に告ぐ

ただいまより附属棟2階より暴徒へ制裁を下す暴徒に俺の位置がバレるのは遠慮したいから決してこっちを見るな

暴徒にいま以上に近付かず かつ 暴徒への牽制を続けてくれ

…もう少し堪えてくれよ」



かろうじて了解を言える役員はいたが あまり長くもちそうにない



…とっとと片付ける!!





俺はゆっくり窓を開き 黒い塊を構えた



パンッ!! パンッ!!



暴徒の用いる癇癪玉とは微妙に違う音が響く



次の瞬間には 暴徒が2人倒れた





…当たる!!





クソ親父に教わったのは実弾だがこれは違う ゴム弾だ



死ぬことは基本的にないが当たれば痛い



悶えるほどに





俺の口元に笑みが浮かぶ





まさかユキのサディスティックなアイテムがほんとに役に立つとは…





…というかゴム弾って サディスティックなアイテムじゃ済まないよな



…しかしいまはそんなことを考えてる余裕はない





暴徒集団は騒然としていた



おそらくそれなりのエリートで組まれた集団なのだろうが―突然味方が倒れたため焦りを隠せないでいる





…が



次の瞬間には暴徒は攻撃を再開していた



「くっ…中途半端な攻撃だと逆効果かっ!!」



盛大に舌打ちをし 再び構える



パンッ!!パンッ!!パンッ!!パンッ!!



マガジンに残っていた弾をすべて撃つ





今度は3人うずくまる



…ちっ 1発損したか…





さすがに暴徒集団も状況がおかしいことに本格的に気付いたようだ



役員への攻撃を止めたわけではないが―数人があたりを気にしている



俺は窓の脇に身を潜めながら様子を伺う



この位置なら暴徒には見付からない



…だが ここからは撃てないために撃つときは窓の前に立たざるを得ない



そのタイミングで暴徒に見られたらバレる



だから慎重にいきたいところだが…



時間をかければかけるだけ味方の役員が傷付く




俺には役員を駒扱いすることは…できない…!!





空になったマガジンを捨て 新しいのを突っ込む



カチャ という音が鳴る





相変わらず火薬の臭いと破裂音が止まない





すぅ と息を吸い 即座に狙いを定める



パンッ!!パンッ!!パンッ!!



3発撃ったところで慌てて身を隠す





………バレたか!?



間違いなくこっちを見たヤツがいた…!!





…しばらく無音が続いたが―



パンッ!!



俺のすぐ頭上で破裂音



「なっ…やっぱりバレたか…」



それは立て続けに続いた



慌てて廊下を這いながら移動する



バレないように別の窓を開け…



パンッ!!パンッ!!



2発撃ち すぐ壁に隠れる



どうやらまた1発外したようだ…



やっぱりじっくり狙いを定めれない分命中率が下がるか…



ただでさえブランクがあるというのに…





暴徒の攻撃は2方向に分かれていた



一方は同じ校舎裏の役員に



もう一方は俺のいる附属棟2階へ



癇癪玉とロケット花火の雨が降り注ぐ





学園の設備がいいため窓はまだ割れていないがずいぶん危険な状況だ



一般生徒が附属棟に近付けないように手配しといてよかったよ…





だがしかしだ



この騒動に役員を割きすぎている…



校舎裏に2隊16人


バリケードの裏に1隊+αで10人以上


附属棟閉鎖に2隊16人


さらに校舎裏へ2隊16人を応援に向かわせてある



…他の場所が隙だらけだ



いまだけは他の場所で騒動が起きないことを祈るしかないな…







パンッ!!パンッ!!



ぴゅーパンッ!!



「くっ…そったれがぁ!!」



正直他のことを考えてる余裕なんてねぇ





結構暴徒の数が減ってきたが それ以上に俺の体力 精神力 そして残弾が減っていた



「くそっ…あとちょいじゃねぇか…」





しかしまさにその時救世主が…!!





「は ハセ君~…お お昼ご飯…持ってきたよぉ」







…この救世主は状況を打破してくれない代わりに 俺の空腹は救ってくれそうだ




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