学祭戦記、夏 ― 独り言劇場
『…により解決致しました
引き続き学園祭をお楽しみ下さい
以上 生徒会でした』
「ちっ…サトミの奴しくじったのか」
周囲を気にしながら移動を試みる
とは言え誰も居ない
でもなんかスパイみたいな気分だからコソコソ動く
「まぁ サトミは十分に役目を果たしてくれたよ」
人気のない廊下を歩く
「ふっ そこでこの俺様の出番って訳だな」
独り言を呟きながら閑散とした廊下を見渡す
「…ってか ほんとにあいつの言った通りだぜ
ネズミ一匹見当たらねぇや」
特別教室棟 最上階
学園祭の真っ只中である学園内で唯一と言っていいくらい静かだ
「そりゃ普通に考えてこんな誰も来ないとこで出し物なんてやらねぇよな それに誰も来ないし」
なんか言葉がおかしい気もするが問題ない
長い廊下を歩く
「しかしなぁ…大事な物があるハズなのに 学園の犬どもすら見当たらねぇ
ほんとに気ぃ抜きすぎじゃねぇの?」
廊下の突き当たり
ここが目標地点
渋谷から指示された通りにやってきた
「…ほんとにここかぁ?」
そう言いながらも躊躇せずに曲がる
「しかし俺も随分信用してもらってるなぁ
この任務はお前しかできないんだ!!だってよ
ったく 照れるじゃねぇか」
渋谷の台詞を思い出し 思わず顔が綻ぶ
1番奥のドアの向こうにそれはあった
「おっ マジであったぜ!!
操作マニュアルを徹夜で読破した甲斐があったってヤツだな」
電源スイッチを入れる
一斉にパネルに光が灯る
「えぇと…これとこれと…」
次々とスイッチを入れる
「あ 間違えた こいつだ」
一夜漬けで叩き込んだ操作方法を必死に思い出す
元々暗記系は苦手なんだけどな…
「こいつか?…ビンゴ!! 次は…っと」
一際大きなスイッチに手を伸ばす
「これでオッケーか?
くそっ 相変わらず機械は苦手だぜ 電子レンジは得意なんだけどな」
いまどき決して誰にも自慢できない自慢を呟く
「…しまった!!電子レンジもこの前ぶっ壊したんだった
…ま まぁな 俺様にかかれば電子レンジなんてイチコロだぜ…ってイチコロの意味が違うっ!!
…じゃなくって いいか落ち着け自分?」
パンパンと頬を叩いて気合いを入れる
「っしゃ いくぜっ!!」
マイクに手を伸ばしたその瞬間
『…どこにだ タケ?』
あいつの声がした