学祭戦記、夏 ― 歩が大切
気付いたらもう50話みたいです汗
パチン
心地良い音が響く
パチン
「君なら…どのように見るかな?」
パチン
「彼を選んだのは他でもない私だよ?」
パチン
「はっはっは それもそうだね」
パチン
「それとも何でしょう 私の目は節穴とでも?」
パチン
「そうは言ってないよ だけどねー…」
パチン
「君だって人間だ 完璧ではない
君は詰めが甘い それが命取りになるんじゃないかな?」
細目がさらにきゅっ ときつくなる
まるで蛇に睨まれたようだ
パチン
だが
「今回は私の出る幕じゃありませんが―
私はいつでも詰めまできっちりですよ」
挑発的な笑みでそれを受け流す
「はっはっは 慢心や自惚れは滅びに繋がる ほら…」
パチン
「飛車を取られてしまっただろう?」
「…必要なのは有能な駒だけじゃない
有能な駒と それを思い通りに動かす頭脳」
パチン
「どちらかでも欠ければそれは則ち 敗北を意味します」
「君を評価してはいるんだけどね…」
パチン
「時々君の考えが読めないんだよ 今度は角だ
いまの君に有能な駒はないだろう?」
「…私の考え?そんなの唯一無二
飛車角を切ろうとも…」
口元に歪んだ笑みが浮かぶ
「勝利を得る ただそれだけですよ
そして有能な駒が欠けることと有能な駒を自ら捨てることは同じではない」
パチン
「つまり…すべては勝利のため…学園長 王手です」
「はっはっは やっぱり君は強いな だが…」
パチン
「やっぱりまだ詰めが甘いよ 簡単に逃げられる」
パチン
「逃げられる?追い詰められるの間違いですよ
…しかし往生際が悪いですね そろそろ観念したらどうです?」
「まぁまぁ そう慌てない」
パチン
「まだまだ時間はある そうだよね 総会長君?」
「…えぇ まったくです」
パチン
「しっかり見極めましょうか
彼が私の後任に相応しいかどうかを」
パチン
「はっはっは そうだねー
彼らが勝てばご褒美を用意していることだし」
パチン
「彼ら ではなく 彼 では?」
「いや 彼ら だよ」
パチン
「そこが…君と彼らの違いだ」
再び鋭い目線が真正面から襲い掛かる
「…いいでしょう」
パチン
「拝見しましょうじゃないですか 彼ら とやらを」
真正面から睨み返す
学園長は 間の抜けた笑い声をあげるだけだった