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星の丘学園戦記  作者: 東雲 暁星
学園戦記、夏
39/91

学祭戦記、夏 ― やっぱり紅茶は譲れない



学食は当然誰も居なかった



俺とサヨとまひると学食の従業員以外は





「…眠いでふおぉー 先輩ぃ~」



「まぁ仕方ねぇよ これが仕事だ」



まひるは朝にめっぽう弱いみたいだった



「さっさと朝食とらないと 時間ないぞ」



「らっへぇ~…眠いんで…すぅ」



後半はもう言えてない


…というか寝ちゃったよ



「…仕方ねぇなぁ トーストでいいか?」



「ふぁい… トース…と?

…先輩が奢ってくれるんですか!?」



あ 飛び起きた



「まぁ たまにはな」



「ほんとですか?嬉しいです!!先輩大好きです!!」



「あーもう わかったから トーストでいい?」



「いえ 先輩のすべてが欲しいです!!」



「じゃあトーストと紅茶ね」



「じゃあ私はトーストとミルク よろしくね ハセ君」



「…よろしくって 俺?」



「そうだよ?

まひるちゃんには奢るのに私は自腹なの?」



ぐっ…痛いとこを突くなぁ…



「…わかったよ」





部下の機嫌取りも上司の役目



注文をするためカウンターに行く





カウンターにいた学食のお姉さんに「両手に花だね こんちくしょー」と言われたので



「それどころじゃないっすよ」



と 苦笑いで返しておいた





テーブルに戻ると なにやら盛り上がっている



「どうかしたか?」



「そうそうハセ君

私今日運勢最高なんだよ!!

きっと今日うまくいくってことだよね?」



「私も運勢いいみたいなんですよ!!」



どうやら占いの話らしい



まぁ俺はあんまり信じないんだけどね



だってさ

例えば今日はうお座が1位!!みたいな占い結果がでたとしても 全国のうお座の人間全員にいいことがあるとは限らないだろ?



結局いいことがあるかどうかは本人の頑張り次第なんだと思う



「そういえばハセ君ってなに座?」



とはいえせっかくモチベーションがあがっているのをわざわざ下げるほど俺は馬鹿じゃない



「俺?確か山羊座だったかな…?」



「えっ…!?」



しかし一瞬にして女子二人の表情が固まる



「おいおい どうしたってんだ?」



「山羊座って…今日運勢最悪だよ…?」



なるほど そりゃ気まずいな



「でっ でも先輩!!

ほらアレですよ ラッキーカラーみたいなのを身につけてれば運勢上昇しますよ ね!?」



まひるがあたふたしながら言う


確かに 占いで最下位でもラッキーカラーやラッキーアイテムを身につければ大丈夫!!みたいなシステムがあるらしい



個人的にはそれも気にくわない



たったそれだけで運勢があがるなら迷いなくみんな真似するよ



実際なにも変わらないと思うんだけどね



だからまぁ 占い自体を信じてない俺にとって

運勢が最悪でも運勢が上昇するでも

なんでもいいんだけどね



「ちょっと待ってね…確か…」



それでもサヨは運勢上昇の条件を思い出そうとしていた



「えっと…確かラッキーアイテムが…」



「ラッキーアイテムがなんですか?」



「夜空を彩る…なんだっけ…?

うぅ…思い出せない~」



「そんなぁー…」



さっきとは打って変わって女子二人がうなだれるような格好になる



朝から元気だな 君たち…



というか 占いで最下位だった当の本人がまったく気にしてないというのに…



まぁ 夢を壊すようなことは言わないでおく





「…とりあえずさ トースト冷めちまうぞ?」



その言葉で同時に顔を上げる二人



…現金だな



「そうですね 冷めちゃいますよ」



「そうだね

まぁ私たちが運勢良好だからハセ君の分までカバーだね!!」



そういって二人ともトーストにかじりつく



…運勢をカバーってなんだよ?




サクッ



…うん 今日もうまいな





でも微妙に気になるな…



夜空を彩る…なんだろう?



…まぁいいか










時間を秘密兵器で確認する



もうすぐAM06:00か



そろそろ生徒が起きる時間かな?



「そろそろ行くぞ?」



「ちょっと待ってよー」



そういってサヨがミルクを飲み干す



「ふぅ… 行こうか?」



「うん じゃあハセ君よろしくね?」



そう言って手渡される学食のトレー



「…は?」




「片付けよろしく!!」



「…はぁ」







カウンターにトレーを返したときにまたお姉さんが話し掛けてきた



今度はさっきみたいに茶化さず


「頑張れよ」


とだけ言ってくれた





運勢は最悪みたいだけど―負ける気がしなかった




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