学祭戦記、夏 ― はじまりの朝
『…は可もなく不可もない感じかなぁ~?
ラッキープレイスとかも特にないのよん?
だからテキトーに頑張りなさい?あはっ
んじゃ次 射手座の皆さん~
今日はきっとなかなかハッピー?
あ でもぉ~火には気をつけてね~?
とゆーわけでラッキーカラーは青色よん
続いて山羊座のあなた
うぅ~ん残念 今日の運勢は最悪かもかも?
だけど大丈夫~大丈夫~
悪い運勢を吹っ飛ばすラッキーアイテムは夜空を彩る打ち上げ…』
「もぅ…朝かよ…」
いつもより早い起床
いつもとは違って 通称"ハイテンションお姉さんの今日のテキトー占い"で目が覚める
占いお姉さんのイマイチなやる気とテンションのギャップ それを見事なまでに表現した口調が何故か人気で 学園内の生徒の中には録画をする人だっているくらいだ
そして何故かバンバン当たるらしい
…不思議だな
そして俺は結局渋谷の思惑通り盛大に睡眠不足だった
「あと5分…と言いたいところだが…」
そう呟きながらベッドから這い出す
「今日ばかりは…そうも言えないな…」
んーっと伸びをしながら欠伸を噛み殺す
洗面所へ向かい 顔を洗う
とうとう…とうとうこの日がやってきた
「…さて と」
身支度を済ませた俺は 今日の"鍵"となる秘密兵器をポケットに突っ込む
本多特製の小型端末
スライドケータイにしか見えない外見
ある意味パソコン以上の性能
…そしてユキの待受画像
…いや 待受はいまのうちに別のに変えとこう
「…取説読破するまで何日かかったことか」
ベッドの上に投げ出されている広辞苑並に分厚い本を一瞥する
…おかげで使い方は完璧だ
「…さて 行くか!!」
気合いを入れるように叫び 俺は部屋を出た
「おはよ」
俺の部屋の前でサヨが俺を待っていた
「行くか」
「行こう ハセ君」
…まずは腹ごしらえに