学園祭準備編 ― 特別会員は30分で25ドルとお得になっております
日付が変わった頃に俺はようやく部屋に戻るところだった
俺の部屋の前に人影を見付けたときに…今夜は長くなりそうだと覚悟した
あるいは―それが奴の狙いなのかも知れない
「遅かったではないか同志長谷川よ
ずいぶん探したのだぞ?」
「それはこっちの台詞だ渋谷
いままでどこで何をやってた?」
「…それはプライベートな質問か?」
「生徒会側としての質問だ」
「ならば答えれん!!」
「やましいからか?」
「愚問だな 長谷川よ
俺はいつでも正々堂々だ
フェアプレー精神を忘れたことなど一生に一度たりともありはしないっ!!」
「…その嘘丸出しの言い訳
ある意味正々堂々としてるな」
「褒めるな 照れるであろうが」
「勝手に照れてろ」
「むぅ」
俺のあっさりとした返答に渋谷が唸る
「ちなみにプライベートな質問だったら答えたのか?」
「無論 当然だ
この俺の誕生秘話から現在まで ありとあらゆる角度から話してやるぜ?
ちなみに30分で30ドルだ」
「聞いた俺が馬鹿だったよ…」
どうせ本当は話すつもりなんてないくせによ
…しかしこうしていては話がいっこうに進まない
俺は早く寝たいのに…
「…仕方ないな 一応聞いてやる 何の用だ?」
すると渋谷は待ってましたと言わんばかりに腕を広げ
「よくぞ聞いてくれた!!
何を隠そう俺が直々に伝えたいことがあるから来たのだよ」
と言った
「だから早く言えよ」
「むぅ… そう急かすな」
「俺は早く寝たいんだよ」
「知ってるさ だからわざわざこんな時間に邪魔しにきたのだよ」
「そうか じゃあ俺は寝る そこをどけ」
「まぁ待て ほんの冗談ではないか?」
「…言ってるそばから時間稼ぎじゃねぇか」
「…仕方ない 本題に入ろう」
「あぁ そうしてくれ…」
眠気と鬱陶しさのせいで話半分に流す
「宣戦布告…だ」
「…あぁ?」
急に何を言い出すんだ?
俺が呆気にとられていると 渋谷は驚いた
「貴様…宣戦布告も知らんのか!?」
「や 知ってるよ」
あれだろ?要は戦争を起こす前にあらかじめ相手に戦争をすると伝える ってことだろ?
そんなことはわかってる
「だから…それが?」
そう いまさらなのだ
まったく意味不明だ
するなら準備期間の初日にでもしろよ
「礼儀に倣ってやったのに…なんだその態度は!!」
…そして何故俺は怒鳴られた?
「まぁよい…ついでにひとつ聞け」
「断る と言ったら?」
俺の台詞を聞いた渋谷は俺を一瞥して
「…近頃世界情勢が不安定だ」
結局話し始めた
…俺の意見無視かよ
「近々戦争が起こるとも言われている 無論…大国同士で だ」
俺はため息をつき 仕方なく話を聞くことにした
聞き終わらないと解放されそうにないからな…
「特に関係が悪化しつつあるのはこの国とEEUだ」
それは知っている
最近ニュースでよく両大国のお偉方が会談をしている様子が伝えられているからだ
…しかも両大国の思惑は一致していない
素人目でもわかる
決して良い状況ではないと
「で それがどうかしたって?」
投げやりに返した言葉に対し 渋谷は呆れたようにこう言った
「少なくとも長谷川 お前にはかなり関係がある話だと思うが?」
「なにを…?
って…まさかお前…!!」
「ふっ…話は終わりだ
お互いベストを尽くそうぞ」
「ちょ…待てよ!!」
「待てと言われて待つ悪党がどの世界に?
それにだな…いくら俺が待ったってお前は俺を捕まえられないさ…
だがその半面 期待してるぞ」
「おい…!!」
…もう返事は無かった
「戦争…か」
無意識に呟きようやく部屋に入る
昔の話だなんて割り切れない
あの事件
忘れない…絶対に忘れない…
気が付けば…歯が欠けるほど歯ぎしりをしていた
…どうやら今晩は あまり眠れそうにないな
まんまと術中にはまっちまったぜ…
ようやく準備編が終わり 次回から当日編に入ります
ずいぶん長かったです笑
…まったく関係ありませんが
作者は今日高校を卒業してきました←
…では また次回で