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星の丘学園戦記  作者: 東雲 暁星
学園祭準備編
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学園祭準備編 ― はじまりの夢



暑い


そしてまぶしい



最初に思ったのはそれだった



そもそも ここはどこだ?



気が付けば

俺はかげろうがゆらめく

学園の屋上に居た



まだ夕方なのに

学園が静かなのは

一体なぜなんだろう?



そもそも―


なぜ俺はこんなところに?





屋上は基本的に解放されているが

誰も好き好んで行くような場所ではない



そりゃそうだ


特に何か面白い物があるわけでもなく

ただ殺風景に

フェンスが佇んでいるだけなのだから



まぁ ときどき

カップル共が

いわゆる午後の甘いひとときを過ごしていたりするが―


少なくとも俺は

そんな奴らを冷やかす為に屋上に行くほど暇を持て余していない


とりあえず

いまもただ殺風景な屋上がそこにあった





…と思った



いつのまにか

俺の足元にはひとつの影が伸びていた



影の持ち主は

俺に背を向けて

夕日をバックに佇んでいた



格好から

学園の女子生徒みたいだ





すると



「ごめんね

急に呼び出して」



ふと夕焼けの中の少女が口を開いた



「話したいことがあってさ」



そう云って振り返る少女



夕日で顔がわからない



でもどこかで聞いたことがあるような


そんな声だった



「あのね…」



やっぱり聞き覚えのある声



思い出せないのがもどかしい



そんな俺をよそに

少女は思ってもみなかった台詞を口にした



「いきなりだけど…

わ 私と…

付き合ってくださいっ!!」



いきなりの告白に

俺の心臓はハンマーで殴られたように跳ね上がった


や まぁ

ほんとにハンマーで殴られたら

とてもじゃないが平気でいられない


あくまで例えだ



まぁ

それくらい衝撃的だったってわけで…



ふと彼女の方を見ると

彼女は

右手を俺の方へ差し出して

下を向いていた



その手は

小刻みに震えているように見えた



えっと…


なんだ?



とりあえず

この手を俺が握れば

それは俺と彼女が

付き合うことになるんだろうな





断る理由なんて…


そんなものは当然なかった



いまだに

彼女の顔が見えないため

彼女が誰か思い出せずにいたが


聞き覚えのある声だったし


告白してくるくらいだから

きっと元々仲のよかった人なんだろう


そう俺は解釈していた



だから俺は

彼女の期待に応えるため

自分の右手を

震える彼女の右手へ伸ばした





…その瞬間だった



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