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星の丘学園戦記  作者: 東雲 暁星
学園祭準備編
11/91

学園祭準備編 ― バカと天才はなんとやら


キュッキュッと

シューズが廊下を擦る音だけが響く



丁寧に磨きあげられている廊下のみ発することを許された音



それはどこまでも響き渡っていた



普段気にならないこの音が響き渡るのは

いつもならそれを掻き消す雑音がいまは存在していないから





7時半



こんな時間―しかも夏休み初日―の廊下を歩く人間などほとんど居ない



例外は

実際にシューズの音を響かせている俺





…それと





「こそこそついてくるなよ」



俺は振り返りもせずに歩いたまま静まりかえった廊下に言い放つ



「ふっ 流石は会長

と 言ったところだな」



姿と気配を消して俺の数m後ろをついてきていたマゾ本多ぐらいだ





「相変わらずだな 本多」


再び振り返りもせず

人間離れした能力を有する後輩に言う



「ふっ… それより…だ

"例のブツ"は完成した」



いつのまにか真横にならんでいたマゾ本多が話を振った



「早いな…

まだ頼んでから一週間じゃねぇか?」



いくらこいつの技量でも

このブツをつくるのに二週間はかかると思っていただけに驚きだ



「いや 正式には6日と7時間18分だ

そして早いのも当然だろ?

寝る間も削って作業に明け暮れたのだからな」






そんな詳しい時間は知らんが

とにかく予想以上の素晴らしい働きだ



というか寝る間を削る必要性なんてないのに…

無駄に頑張ったこいつに敬意を表すよ



そして隈ひとつないその目の下の機能を俺にもわけろ



「とりあえずお疲れ よくやった」



「当然だな」



本多の仕事のひとつ


それが"兵器開発"



まぁ

兵器と言っても物騒なものではない



…まぁ時々ある意味物騒なもの―高性能な手枷や振動数のハンパない電動マッサージ機とか―を作ったりしてるけど



(才能の無駄遣いというか 使い道を間違えてるというか…)


とにかく今回頼んで造ってもらったのは変に物騒な物ではない





"例のブツ"を手渡される



知らない人が見ればどこかのキャリアの新モデルのケータイか多機能携帯端末にしか見えない



もちろんそのすべて―小型液晶画面からネジ一本まで―が本多お手製





さらに洒落たことにケータイでいう二ツ折タイプではなくスライドタイプ



…相変わらず妙に凝ってるな……





「しかし 俺は相変わらず会長が羨ましい」



かしゅかしゅスライドで遊んでいると

突然マゾ本多が意味不明の台詞を云う



何の脈絡も無しに だ



「急になんの話だ?」



とりあえず聞いてみる



「いや それは…」



なぜか顔を赤らめ

視線を宙に漂わせたと思ったら

"例のブツ"をチラ見して

また目を逸らして…



(意味わからん とうとう壊れたか?)



そう思いながらも絶賛かしゅかしゅ継続中の"例のブツ"をふと見てみる



「………」



相変わらずマゾ本多がなぜか"例のブツ"の液晶にチラ見を繰り返す



頬を赤らめて



「…ん?」





待受画面がなぜかユキになっていた



しかもなぜかサディスティックな笑みを浮かべている画像



いかにもといった感じの不気味な笑い声が聞こえてきそうなほどだ



この笑みには恐ろしいくらいに鞭とか蝋燭とか…


…そんなアイテムが似合いそうだ



「はぁ…

俺にゃ理解らんな

そもそもあんな凶暴女のどこがいいんだよ?」



そういってふと思った



マゾだからか



「…そこがいい」



うっとりとした声で呟くマゾ本多



こいつもうダメだ…



みてくれは中性的で決して悪くないから黙ってりゃモテそうなのに…



性格に難アリ


いや 性癖に か



「もったいねぇよな…」



俺の零した素直な感想も聞いておらず

ひたすら自分が蹂躙される妄想をぶつぶつ呟きながら俺の隣を歩いている





「はぁ…」





生徒会メンバーのキャラの濃さに改めて頭が痛くなってきた



言動がちょっと(?)危ない天然少女(もしかしたらすべて演技かもしれないが)


サディスティックでアクティブな少女



なかなかのイケメンで頭脳明晰なマゾ



そして………至って普通の少女





………あれ?ひとりだけ………?





…まぁいっか







しばらく歩いていると 目的地が見えてきた





…附属生徒会室だ



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