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下宿生活とゆうれい

作者: ゆうレイ

4月5日

「ウラメシヤ〜…。」

「……まだ昼だぞ。」

午後12時48分、もうすぐ1時になるところで幽霊のレイは起きてきた。ここのアパートに引っ越してきて二週間。ようやく幽霊のレイの存在にも慣れてきた。もっとも幽霊らしい要素が全くない。性別不明、身長はだいたい80cm、ダジャレ好き、好きな食べ物はドライマンゴー、この世の未練も知らない、幽霊のくせに起きるのはいつも昼で夜に寝る。どうしたらそんな幽霊が生まれるんだよ…。

「いやー、やっぱり朝には起きられねいよねー。休日は昼まで寝るに限る!!。」

お前は夜まで寝てろ!それにお前は毎日休日だろ!。そんなことを思いつつ今日の昼飯の炒飯を出す。レイは幽霊のくせにいっちょ前に飯食う。おかげで食費は二人分。だから毎日お金はギリギリだ。幽霊が家にいると不幸が来るとかよく言うがもしかしてこれが不幸なのかもしれない。

「え〜。朝から脂っこいものはちょっと…。」

「じゃあ早く起きろっての。」

もっとも幽霊が朝から起きていても変なのだが。

「それは無理で〜す。なぜなら…。」

レイはそう言いながら手を大きく広げて宣言する。

「陽気な妖気だから!。」

…おそらく今地球温暖化が少しマシになった気がする。

「…ふざけたこと言ってないでぱっぱと食え。」

炒飯を口に運ぶ。焦醤油が効いたいい味がした。


7月14日

レイと過ごし始めて約3ヶ月。今日は夏一番の暑さだ。このアパートにはもちろんクーラーなんてない。だから一日中扇風機の前にいるに限る。そう決め込んで扇風機の前で昼寝をしていた時だった。

「トリックオアトリートメント!。」

突如レイのそんな声で飛び起こされる。無視して寝ていようとも思ったが眠い頭を必死に回転さしてつっこんだ。

「なんでイタズラか髪をサラサラにする液なんだよ。あと今秋じゃねえ。そして今こそウラメシヤ使え!。」

「いやーさすがのツッコミ!。こんな長文のツッコミを噛まずに言えるとは!。いやーこのレイ、洗顔の至り‼︎。」

「それを言うなら汗顔だ!。寝起きのやつにそんなに突っ込ますんじゃねえ!。」

レイは相変わらずこのテンションだ。こいつのダジャレには休日の二文字がないらしい。いい加減そろそろネタが尽きてもいいんじゃないか…。そんな事考えてるなんて知らないレイは続ける。

「まあそんな話は置いといて…今日はなんの日か知ってます?。」

会話のキャッチボールというものを知らないのか?。そう言いたくなるくらい急な話の変えかただ。しかしそう言うのも面倒だったので素直に話を聞く。

「何の日だよ…。」

そう言うとレイはニタニタしながら答えた。

「今日はレイの誕生日でーす‼︎。」

「…は?。」

 おめでとう と言おうとはしていた。だがその言葉よりも先出た疑問が先に言葉に出てしまう。

「…お前死んでるのに誕生日ってあるの?。」

的確な疑問だったと思う。死んでいるのに自分が生まれた日の事を祝うなんてあるのだろうか。

「もちろんあります!、今日は自分が幽霊のレイとして生まれたた記念すべき日なので〜す!。」

人はそれを命日と言う。そう言う暇もなくレイは続けて話す。

「というわけで今日の夕飯にピッツァを、デザートにフルーツがたっぷりのったタルトを所望します。」

「しれっとご馳走を要望してんじゃねえ。今月少しピンチなんだよ。」

「もちろん知ってますよ。2ヶ月前の週刊誌に挟んである一万円のことも。」

こいつ…いつからそのへそくりを知ってたんだ…。おそらく俺が買わなかったら俺の一万円をピザ屋の厨房に置いてピザをもらってくるだろう。

「分かった、ピザは買ってやる。」

寝ていた体を起こして電話を手に取った。ちょうどその時一つの疑問が浮かぶ。

「レイ、お前いくつなんだ?。」

「紳士は乙女に年なんて聞きませんよ。」

「お前乙女じゃないだろ。」


1月1日

「あけおめ!ことよろ!。お年玉!」

幽霊のレイが今年最初に言った言葉がこれだった。ぶっちゃけ欲まみれすぎるにも程がある。

「新年の挨拶を略しすぎだ。そんなんじゃお年玉なんてやれんぞ。」

「あけましておめでとう!。お年玉!」

挨拶はしっかり治したが相変わらず欲まみれ。まあ渡してやるか…。そう思い財布に手を入れた時にふと気づく。

「レイ、お前見えてないのにどうやって店で商品買うの?。」

その時レイは最初キョトンした顔をしていた。しかしすぐに気づき床に項垂れる。

「そんな…身長170cm以下に人権がないことは知っていたけどまさか幽霊にも人権がないなんて…。」

「その知識どこで拾ってきたんだよ。そしてその情報間違ってる。」

身長169cmに自分は…まだ少し伸びるよな?。そう少し信じながらレイを慰める。

「まあ、お年玉の代わりになんか買ってやるよ。」

そう言った瞬間レイは床につけていた頭をあげ目を輝かせる。

「さすがの太っ腹‼︎。その財布のお金はやはりレイのためにあるんですね!」

「うなわけあるか!。」

お前が勝手に俺の金を吸い上げてくんだよ。誰のせいで節約生活を心がけていると思っているんだ…。

「じゃあ今から買いに行くか。何か欲しいものあるか?。」

「実は長年欲しかったものが…。」

「何だ?。」

「自転車!!」

「…お前足ないのに?」


3月22日

レイと初めて会ってから今日でちょうど一年。レイは多分起きた途端に記念に何か買おうと言ってくるだろうけどそれがレイらしい。またこんな一年が続いて欲しい。そう願ってる。

「おっはよー!。」

「今日はえらく早起きだな、レイ。まだ11時だぞ。」

皮肉な感じで少しいじってみる。レイはそんなことも気にせず誇らしい顔をして答えた。

「そっリャもっちローン!今日は特別だもんね!。」

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― 新着の感想 ―
[良い点] レイちゃんみたいな幽霊だったら、同居してもいいなと思いました。 でも、三日が限度かな……笑 楽しいお話、ありがとうございました!
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